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身の丈しごと研究室 #01 起業するなら未熟な方がいい?

この記事はさとびごころVOL.40 2020 winterよりの転載となります。内容は掲載当時のものです。

 「身の丈起業」、「身の丈しごと」などの取り組みを地味~に行っております。精神的、技量的、器量的な丈も含めた「身の丈」を精一杯に使い、「仕事」の囚われから脱却し、自由に自分の「しごと=すること」について考えてほしいという願いを込めて「しごと」とひらがな表記にしてあります。この連載では、かく言う私自身が身の丈しごとに至る話から始まり、身の丈しごとに関する様々な話題を提供したいと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。

 私は長く学生をしていたのですが、29歳になっても研究で芽が出ず。これ以上の在学が難しくなるも、今さら新卒就職も考えづらく、行き詰まってしまいました。

 「自分で何か始めるしかない」。私の決断は起業でした。とはいえ理系の私は経営に無知。そこで「起業へ向けたインターンシップ」として働かせてくれる零細企業の社長を探したのです。この時の村田元夫氏(株式会社PS サポート)との出会いが身の丈しごと人生への最初の転機となりました。

 経営コンサルである村田氏が目指すのは「脱競争社会」。(えっ⁉︎コンサルって顧客企業を競争に勝たせて儲けさせることじゃないの?)村田氏は環境や福祉に関心が高く、当時は珍しいNPO との協働も当たり前でした。私の育成方法も面白く、私がもらう給与(生活するに最低限の額)とは別に「もし君が独立し、当社のパートナーだったら渡す報酬」を計算してくれていたのです。当初その額は給与の半分しかなく、お金を稼ぐ大変さを思い知らされました。しかしその額が同額になり、維持できる見込みが出た1 年半後には自然と独立を考えられるように。それでも稼げる額は最低限。悩む私に村田氏が一言。「起業するなら未熟な方がいい」。

 その意味は独立してすぐ分かりました。インターン中に関わった方々から「独立したらしいね。じゃ、こんな仕事できる?」、「どう、食えてる?こんな仕事あるけど?」と声をかけられるのです。私はその温かさに見守られ、独立後も無理なく成長させてもらうことができました。後日、村田氏が言いました。「完璧に準備して起業したら、こうはいかなかったと思うよ」。そうなのです。私が未熟だったが故に、周囲が私を心配して関わってくれたのです。

 私の身の丈しごと人生は、こうしてスタートを切りました。(つづく)

さとびごころVOL.40 2020 winter 掲載

戸上昭司(とがみしょうじ)

NPO法人起業支援ネットほか(多足の草鞋)

1973年大阪身の丈しごと研究室 #14 身の丈起業のプロセスを読み解く(下)生まれ。神戸、名古屋、福島、釜石と渡り歩き、2015年に奈良に落ち着きました。「理念」と「身の丈」を両軸に、仕事起こし、自分起こし、地域起こしのお手伝いをしています。

さとびごころ連載

戸上昭司

身の丈しごと研究室

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