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身の丈しごと研究室 #06 「身の丈」を体験から学ぶ 

この記事はさとびごころVOL.45 2021 springよりの転載となります。内容は掲載当時のものです。

 「身の丈起業」、「身の丈しごと」などの取り組みを地味~に行っております。先回に引き続き今回も、私自身が身の丈しごとに至る過程で思考した「身の丈しごと」にまつわる話題を取り上げていこうと思います。

 先回、「身の丈しごと」は「身の丈を精一杯使ってするしごと」である、と書かせていただきました。しかし、「自分の身の丈がどれほどなのか」分かっていないと、精一杯使うことは難しいですよね。私が社会人になって最初に入った零細企業の、私に対する育成方針が面白かったということは40号で書かせていただきましたが、同じ時期の別のエピソードから、このことについて考えてみたいと思います。

 社長は若輩者の私に、いつもなぜか仕事を「命令」ではなく「依頼」してきました。しかも「この仕事、やりたいですか? やりたくないですか? 」と聞いてくるのです。将来起業するつもりで働かせてもらっている身としては、「やる気見せなきゃ」とガツガツ仕事を受けました。するとどうでしょう。パンクしちゃいますよね。やり切れないほどの仕事を抱え、納期に間に合わない事態となってしまいました。

 「怒られる!」と思った私に、社長は冷静に「ふりかえり」というものをさせました(もちろん後始末に取り組んだ後)。どうしてそうなってしまったのか、そうなるとどんな気持ちか、どうすればよかったか、私が自分で答えを見つけるのを、見守ってくれたのです。

 もしこれが「命令」された仕事なら、社長の管理不足を糾弾できたのに、なにせ自分で「やりたい」と志願した仕事ばかりです。誰の責任にもできませんでした。

 「ふりかえり」というものは、体験から学び成長していく「体験学習」サイクルの重要な一過程です。やがて私は、自分の役割を自覚して仕事の選別眼を養い、仕事が溢れた時のSOS を出すための事前の関係づくりも学び、自分の「身の丈」を自覚していくわけですが、その助けとなったは、この体験学習サイクルを回し続けたことだと考えています。

 独立後、社長にこの時の話をしたら「失敗した方が学びが大きいでしょ」とニヤリと笑いながら言われました。やはり意図的でしたか!

さとびごころVOL.45 2021 spring 掲載

戸上昭司(とがみしょうじ)

NPO法人起業支援ネットほか(多足の草鞋)

1973年大阪身の丈しごと研究室 #14 身の丈起業のプロセスを読み解く(下)生まれ。神戸、名古屋、福島、釜石と渡り歩き、2015年に奈良に落ち着きました。「理念」と「身の丈」を両軸に、仕事起こし、自分起こし、地域起こしのお手伝いをしています。

さとびごころ連載

戸上昭司

身の丈しごと研究室

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