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身の丈しごと研究室 #05 「身の丈」の生き方は後ろ向き? 

この記事はさとびごころVOL.44 2021 winterよりの転載となります。内容は掲載当時のものです。

 「身の丈起業」、「身の丈しごと」などの取り組みを地味~に行っております。今回からは、その過程で思考した「身の丈しごと」にまつわる話題を取り上げていこうと思います。

 「身の丈」と聞いて、時々、「夢を持たないこと」「チャレンジしないこと」と勘違いされることがあります。確かに、自分の能力以上の取り組みをして失敗をした時、「身の丈を知れ」、「身の丈をわきまえろ」と言われることがあります。しかしこの日本語、間違っていることにお気づきでしょうか。正しくは「身の『程』を知れ」、「身の『程』をわきまえろ」です。「身の丈」にネガティブな意味はなく、単に「身長」を表す言葉に過ぎません。

 私が伝えたい「身の丈」はもちろん「身長」という肉体的な丈だけでなく、精神的、技量的、器量的な丈も含めたいと思っています。丈の長さに良い悪いはなく、ただただその人に備わっているものだと思っています。私がお勧めしているのは、自分自身に与えられた丈をちゃんと使いましょう、というものです。決して、身の程をわきまえて、こじんまり生きて、身の丈を余らせて一生を終えることではありません。また、身の丈を大幅に超えて無理をした結果、丈を損傷させたり、命を短くさせたりするような生き方でもありません。身の丈は年齢や経験によって成長しますから、今の身の丈が足らないからと言ってすぐに諦めることもありません。こういったことも踏まえて、自分自身の「身の丈」を精一杯使ってする「しごと(為事=すること)」という意図で、「身の丈しごと」は命名されました。

 「身の丈」と聞いて良いイメージが得られる時、それはおそらく「足るを知る」イメージと結びついた時かもしれません。私も好きな言葉です。「足るを知る」の語源は老子だと言われています。「足るを知る者は富み、強(つと)めて行う者は志有り。」私なりに意訳すると、「身の丈を知っている者が本当の豊かな人間であり、努力し続けられる者は志(自分本来の目的)を持っている者である。」老子が「身の丈」に続けて「志」について述べていることは、私にとって非常に示唆的です。なぜなら私の得意なしごとは「理念(=志)」づくりだからです。身の丈と理念の関係についても、いつか書きたいと思います。

さとびごころVOL.44 2021 winter 掲載

戸上昭司(とがみしょうじ)

NPO法人起業支援ネットほか(多足の草鞋)

1973年大阪身の丈しごと研究室 #14 身の丈起業のプロセスを読み解く(下)生まれ。神戸、名古屋、福島、釜石と渡り歩き、2015年に奈良に落ち着きました。「理念」と「身の丈」を両軸に、仕事起こし、自分起こし、地域起こしのお手伝いをしています。

さとびごころ連載

戸上昭司

身の丈しごと研究室

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