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身の丈しごと研究室 #13 身の丈起業のプロセスを読み解く(上)

この記事はさとびごころVOL.52 2023 winterよりの転載となります。内容は掲載当時のものです。

 「身の丈起業」、「身の丈しごと」などの取り組みを地味~に行っております。今号では、独立林業家・久住一友さんの取材記事を書かせていただきました。彼はまさに身の丈起業家。そこで、彼を話題に取り上げながら、身の丈起業のプロセスを考察していきたいと思います。なおこのプロセスは、私が講師で関わる起業支援ネットが、コミュニティビジネス事業者62社を対象に起業プロセスを調査した研究報告書に基づくものでもあります。

「身の丈起業」、「身の丈しごと」などの取り組みを地味~に行っております。今号では、独立林業家・久住一友さんの取材記事を書かせていただきました。彼はまさに身の丈起業家。そこで、彼を話題に取り上げながら、身の丈起業のプロセスを考察していきたいと思います。なおこのプロセスは、私が講師で関わる起業支援ネットが、コミュニティビジネス事業者62社を対象に起業プロセスを調査した研究報告書に基づくものでもあります。

 身の丈だろうとベンチャーだろうと、いきなり起業する人はいません。起業前には必ず「想い醸成期」があります。

 何かしらの体験が動機となり、時間をかけて想いが高まる時期です。理念が醸成される期間とも言えます。久住さんの例だと、小学生時代の体験と高校生の時に読んだ本が動機となったものの、森林組合等で働くことで動機と社会との間に違和感を得て、「何かがおかしい」との想いが醸成されていった時期がこれにあたるでしょう。

 ベンチャー志望だと、この後、事業計画をつくり、投資家にプレゼンをして資金を集め、スピード感ある起業を目指します。しかし、身の丈起業はゆっくりです。そもそもが今日明日のアイデアで解決しようと思っているわけではありませんから、一歩でも早く他社に先んじる必要もないのです。

 身の丈起業の次の段階は「共同学習期」。同じ志を持つ仲間とネットワークを広げ、共に学ぶ時期です。

 久住さんの例だと、林業フォーラムで谷氏に出会ってから、谷林業で研鑽を積む時期でしょうか。この時期に多くの視察に出かけたそうですから、まさに共同学習期といえましょう。

 自分自身を主体的に成長させていくことになる共同学習期は、身の丈起業の肝と言えます。この期を経ると必ず起業できるわけではありませんが、今の職場で働き続けるにしろ、主体的な取り組みが自分と周囲の相互関係と相まって変化を生み出していく感覚を知ることは、身の丈しごとの手綱を自分自身で握る感覚を身につけるためにも、大事なことだと思っています。

 次回は、この続きの「社会実験期」と「事業展開期」を説明します。

さとびごころVOL.52 2023 winter 掲載

戸上昭司(とがみしょうじ)

NPO法人起業支援ネットほか(多足の草鞋)

1973年大阪身の丈しごと研究室 #14 身の丈起業のプロセスを読み解く(下)生まれ。神戸、名古屋、福島、釜石と渡り歩き、2015年に奈良に落ち着きました。「理念」と「身の丈」を両軸に、仕事起こし、自分起こし、地域起こしのお手伝いをしています。

さとびごころ連載

戸上昭司

身の丈しごと研究室

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