当サイトの「ウェブ記事」コーナーでは、オフィスエルインク発行になる2018年以降の連載や企画記事を中心にアーカイブしてきましたが、それ以前にさとびこ編集室あなんが当時の編集委員として企画した記事をご紹介します。
久住林業・久住一友さんは、明日香村を拠点にフォレスターとして活躍され、奈良県フォレスターアカデミーで講師を務めるなど、今では奈良県内の林業関係者の間では広く知られる人となっています。その久住さんが奈良の大規模森林所有者である谷林業株式会社(=王寺町)社員であった時、わたしはさとびごころの編集委員として「連載をしてみませんか」とお声かけしました。奈良県の中で近自然森づくりに一番近い人(推進者の佐藤浩行氏は別格として)だと思ったからです。木材を生産するだけでは先が見えなくなったと言われて久しい林業界にあって、久住さんが発見し、実験し、実践されてきたことは、さとびにとってもおそらく地域社会にとっても、希望を感じさせてくれるものと思います。
アーカイブを投稿するにあたり、今読み返してみてあらためて心の中に森林の清々しい風が流れていくような感覚を味わいました。記事が連載されたのは、2015年の夏から一年間。最終回の2016年春は、谷林業を退社して久住林業として個人事業主になられた記念すべき門出のタイミングでした。
もしも、近自然の森づくりや、これからの森林業に関心のある方、そして住民として森林の価値を尊重したい方、森林の存在を愛する人がいらっしゃったら、きっと読み応えのあるものとなるでしょう。1990年代に「近自然」というコンセプトに出会ったことが、後にさとびを発行する動機となったわたしは「奈良でも、近自然森づくりが始まってゆくのだ」という震えるような気持ちで最終回の連載を編集したものでした。
久住さんのロールモデルはスイスで出会ったフォレスターであるロルフ・シュトリッカー氏(アイキャッチ画像はロルフ氏と久住さん)です。わたしには、久住さんが明日香村のロルフに見えてきています。森林の中だけにとどまることなく、積極的に地域の人たちと出会う場へ出向き、関係性や信頼を築いてこられたことは、森と人をつなぐ実践と言えます。
ぜひお読みいただければと思います。
森とともに生きる 第一回 都会生まれの昆虫少年が、奈良で林業に携わるわけ(2015年夏)
森とともに生きる 第二回 山から木を収穫する架線集材という技術(2015年秋)
森とともに生きる 第三回 環境と経済を両立する自然にさからわない森づくり(2016年冬)
森とともに生きる 第四回 地域とつながったこれからの森づくりを(2016年春)
2017年までのさとびごころは、在庫がございません。あしからずご了承ください。
久住さんにはその後も度々執筆いただいたり、取材させていただいています。
特集に掲載されたものはまだウェブ記事にはしておりませんが、紙面に掲載された主な号をご紹介しますのでぜひお手にとってご覧ください。下記の特集の中に久住さんの記事があります。
さとびvol.47 特集いつまでも豊な森
さとびvol.52 特集 森を選んだ生き方その後