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国産の麻から作られた麻炭を購入

11月も、もうすぐ終わりですね。そして2023年も。
ブログを読みにきてくださって、ありがとうございます。決してたくさんの方がいらしているわけではないはずですが、さとびのこと、編集室のこと、思い出してくださって、嬉しいです。

今日は、先日の旅で購入してきた麻炭と、日本の麻のことについて書きます。長文になりましたので、読み飛ばしたいところはスクロールしてくださーい。


昨今のブログ風に、目次から書こうかしら。
1.麻(大麻・ヘンプ)は縄文時代から日本人が慣れ親しんできた農産物
2.戦後に禁止され、今では免許制。使用目的は限定
3.数少ない日本の麻農家
4.麻を暮らしに取り入れる方法
5.夢がいっぱいの麻が日本中で復活しますように

このようなことが書けたらと思います。

1.麻(大麻・ヘンプ)は縄文時代から日本人が慣れ親しんできた農産物

麻というと麻薬を連想する人が多いと思いますが、さともだちの多くは麻に大賛成の人が多いです。例えば恵古箱さん。早くから麻の素晴らしさを提唱されていました。

麻の誤解を解く説明がありますので、ご覧ください

サポーターさんの中にも麻炭に大注目の方が

麻を正しく知りたい、もっと普及してほしいと思う人たちが増えているのを感じます



わたしも若い頃は「ダメ絶対」のポスターを見て凍りついていましたが、神職をされているお知り合いから「麻は神事に使われ、日本人にとって当たり前の植物であって、幻覚作用を起こす成分も少なく、禁止されるべきものではない」とお聞きしてから「なんだか誤解がありそうだし、情報がごちゃまぜになっているなあ」と感じ、少しずつ調べてきました。

ネガティブなイメージのために、きちんとした知識が広まりにくい麻。ですが、縄文時代から日本でおなじみの植物で、福井県の鳥浜遺跡(2021年、行ってきましたよー)からは1万年前の麻の繊維が見つかっているんです。どこかの先進地からもたらされたー、とは言えない土着ぶり!!
麻とひとくちに言っても、リネンやジュート、ラミーなど植物として別種類のものが何でも麻と呼ばれており、最初、わたしはここでつまづきましたわー。「麻は禁止?でも売ってるよね?」的な混乱です。
奈良晒の麻は苧麻(ちょま・ラミー・からむし) のほうで、大麻とは別種でした。

ここで、この際、まとめましょう!(なかなか完全に記憶できませんが)
日本麻紡績協会の「麻の基本知識」よりお借りしました。

(上記の表内で大麻=桑科となっていますが、アサ科のはず)

堂々と流通している麻と呼ばれるものたちがある一方で、禁止されているのは、日本古来の大麻(カンナビス・サティバ・エル)のこと。しかも七味唐辛子の「麻の実」はOKであり、産業用大麻もOKであり、禁止されたのは葉と花。

葉や花には向精神性のテトラヒドロカンナビノール (THC) が多く、摂取すると陶酔しますので、禁止されるのもわからないでもないのですが、これは依存性の高い麻薬なのでしょうか。THCの多いマリファナは大麻の「花」(禁止)から作られています。それでも外国では嗜好品として認められている例があり、健康的に楽しむかどうかは本人の責任なのでしょう。本当に危険な麻薬であれば、どの国でも厳しく禁止するのではないかしら。
マリファナでないほうの大麻は「茎(OK)、葉(禁止)、種子(OK)」から作られていて、THC成分はマリファナの半分以下。陶酔するらしいですが、中毒にはならないと聞きました。(それを言うならお酒も中毒になりますけど大麻ほどには禁止されていませんよね)。

ここで、覚えておきたいことがひとつ!食品や医療用などに使われるカンナビジオール (CBD) は、大麻から作られますが「規制されていない部分」を原料としています。(でも、国産のものはなさそう。国産ブランドであっても、CBDは輸入。国産できるはずの風土が日本にあるのに、そこは残念ですね。道はまだ遠い?)

麻に興味をもったら覚えておきたいカタカナ
1.THC(テトラヒドラカンナビノール tetrahydrocannabinol)=向精神薬、大麻には少ない
2.CBD(カンナビジオール Cannabidiol)=向精神作用なし、依存性なし、安全

上の表の中では、主な用途がロープ、衣料となっていますね。それだけではありません。大麻が本来、どれだけ役にたつ植物か、そのポテンシャルを見ていくと膨大です。禁止している場合ではないとさえ思います。

2.戦後に禁止され、今では栽培免許制。使用目的は限定的

1945年、第二次世界大戦後にGHQが麻薬に関する覚書を日本政府に発行した際に、麻を麻薬と定義しました。これ、かなり乱暴だと思いませんか。それまで日本中で栽培され農産物として価値があり問題にならなず、アヘン(ケシ科ケシ属)のような麻薬ではないのに、「麻薬」ですと。
このときに、栽培、製造、販売、輸出入が全面禁止。でも日本では麻は魚網や下駄の鼻緒など、あげたらキリがないほど使われていたので困ります。そこでなんとか、交渉して全面禁止ではないけれども、栽培が免許制になりました。

ややこしいことに、大麻といえどもTHC成分がないでもない。もしも、法律のほうが間違っていたとして、大麻を嗜好品として楽しんで健康に問題はないと仮定したとしても、法律は法律ですから、無許可で栽培したり、こっそり摂取すれば逮捕されます。スポーツ選手や芸術家が陥りがちなところ。逮捕者が出ると、それが大きく報道され、「ダメ絶対」のイメージが引き続き浸透していくのです。


まずは禁止されていることではなく、OKな部分に注目しましょう。そして、時間をかけて大麻への理解を広め(もともと広める必要なんかないほどに当たり前だったはずですけどね)、大麻が価値ある植物であることを共有しましょう。そしていつか、農業の主要品になればいいと思います(売れて売れてしょうがない!みたいな)。

神社のしめ縄・横綱のしめ縄
神事・縁起物の用品
高級な鼻緒
畳糸(おそらく絶滅してる)
アクセサリー(魔除け、邪気払い)
おがら(お盆の迎え火に)
麻紙
麻炭(備長炭より竹炭より多孔質!パウダーにして食用にも)
麻の実
麻油
麻布
住宅用の資材
CBD
(まだあったら、追加しますのでメッセージください笑)

限定されているなら、限定の限界まで十分に普及することが大切。人々の多くは、すでに「大麻ある文化」を忘れてしまっている、いや知る機会さえもなくなっているのですから。限定内でも、まだまだ、まだまだ、使える大麻の余地は広々としています。

ですが、気軽にどんどん使えるような日用品ではなくなりました。大麻の栽培は、今や栃木県にわずかに残っている(国産の90%を生産)だけであり、高級品です。その麻栽培農家へ行ってきました、というのが今回の出張でした。(ほんとに、ただのお客さんとして行っただけ。最初から「雑誌を作っておりましてー」という話をしないのが、わたしらしいところ。いいのか、悪いのか笑)
誰でもどんどん使える日を迎えるためには、まずは自分が使いたい。というわけで、せっかくならば本場栃木県の代々続く麻農家さんを訪ねようと思ったのです。

ちなみに、栃木県内には大麻博物館もあります。(福島県寄りで今回のルートから遠かったので、またの機会に)

3.数少ない日本の麻農家

野州麻紙工房・野州麻炭製炭所 さんへ。栃木県は鹿沼市。園芸好きな人なら、鹿沼土をよくご存知だと思いますが、あの鹿沼です。その旧粟野町というところに、高谷山という600メートルほどの山の麓の川沿いにひらけた場所に集落があり、その中で数台の車が止まっていて、おしゃれな古民家風のカフェのように建っているのが野洲麻紙工房・野洲麻炭製炭所さんでした。



下の写真は8代続く麻農家、麻紙作家の大森芳紀さんのメッセージです。もとはデザインのお仕事をされていて、実家の麻農家に就農なさったそうで、なるほど新しいアプローチで麻の魅力を発信されているのですね。麻の栽培が厳しくなり、日本中にあった麻農家は消えていきました。その中で今でも残り、麻の普及にも尽力されています。

店内にあった麻の説明。これだけでもいいから暗記したいと思うほど。

農薬化学肥料が不要
麻は害虫に強く、栽培寺に農薬・化学肥料を使用する必要がありません。


成長が非常に早い
100から120日で3〜4mほどに成長し、採取することが可能です。雑草よりも早く成長するため除草剤を使う必要がありません。


輪作が可能
麦やトウモロコシなどの輪作体系の中で栽培することができます。モノカルチャー(大規模単一農場)による環境負荷の増大がありません。


土壌が改良される
麻は根をくまなく張り巡らせるため、収穫後の土壌はふかふかになります。日本では、昔から痩せた土地を改良するために麻を植えてきました。また土壌中にたまった硝酸性窒素濃度を低減させる効果もあるといわれています。


不良土でも育つ
麻は少しの水で育ちます。年間降水砂漠の緑化に貢献できる可能性があるとして、注目されています。それだけでなく、山腹地や荒地、塩分(アルカリ性)を含む土壌など、通常は農作物を育てるのに適さない不良度と呼ばれるような土地でこそ、良い麻が育つと言われてます。そのため、用途がなく放置されてきた土地の有効活用にもなると期待されています。


あらゆる土地で栽培可能
冷帯から温帯、熱帯まで、痩せた土地から肥沃な土地まで幅広い土地で栽培可能です。暖かい地方では、二毛作も可能です。


いかがですか。スーパー農作物ではないでしょうか。食べ物にもなる、薬にもなる、衣服にもなる、民具になる、建材にもなる、産業用にもなる、まさにあらゆる場面で活用でき、栽培すれば土地を改良し、栽培から製品化までのサイクルが早く、作っても作っても環境負荷がかからない。木材は切りたいだけ切っていては環境が壊れます。ですから、今石油や消えゆく森林に依存していることを、麻のほうへ少しでもシフトすれば、自然にも人にもやさしい社会に大きく前進できるのでは。

これはまさに神様の植物にちがいない。

どうしてこんなに素晴らしい農作物が、複雑なルールに縛られているのか、どうしてこれまでルールを変えることができなかったのか。おそらく、昔のわたしのように誤解している人やまだ価値を知らない人がたくさんいるからではないでしょか。法律は、世論を無視はできません。だからこそ、プロパガンダで世論を操作して、世論にマッチしているという形態を整えようとするのです。でも世論を作るのは名も無いわたしたち。大森さん一人では不可能なこと。人々が麻を知っていけば、「実はなんとかしたかった」という上のほうの人が動きやすくなるはずです。

4.麻を暮らしに取り入れる方法

インターネットでは麻製品(食品や衣類、ファブリックなど)を簡単に購入できます。そのとき、メーカーや原材料が海外であることがよくわかるでしょう。野洲麻紙工房さんでお取り扱いの麻オイルや麻の実もそうでした。
でも、麻炭は違います。地元で栽培されたものが原料でした。わたしはブックカバーとペンケース、そして麻炭を購入しました。毎日、少しずつ飲み物にして摂取しています。当分なくなりそうになく、長持ちします(笑)これが腸内環境が整えてくれたり、体内の不要なものを吸着してくれたらハッピー。毎日ちゃんと摂取すればですが(いつのまにか飲まなくなった経験あり)、旅のことを思い出しながらすっと手が伸びる感じなので、ネットで購入した場合とは違いますねー。

5.夢がいっぱいの麻が日本中で復活しますように

野洲麻紙工房内のポップにあるとおり、麻が栽培する土地を選ばないとしたら?
日本中に麻農家が復活できますよね。
しかも土地ならではの産物と共存できそうです。メガソーラーのようにその土地にもともとあったものを蹴散らし環境を破壊して広がるのではなくて、その土地の農業をサポートするように広がるといいなあと思います。

今年、大麻取締法の改正が閣議決定され、今国会で成立する流れになっており、関係者の間では期待がふくらんでいます。
NHKのニュース 大麻取締法などの改正案 閣議決定 大麻草が原料の医薬品容認へ
(政府は、大麻草を原料にした医薬品の使用を認める一方、若者などの乱用を防ぐため、すでに禁じられている「所持」や「譲渡」に加えて「使用」も禁止することを盛り込んだ大麻取締法などの改正案を24日の閣議で決定しました。)
医療用に限らず解禁が進むといいですね。ただ、大麻の価値が認められても、輸入ばかりで日本の大麻農家が消えていくのでは意味がありません。そこは注目したいと思います。


さとびが価値を置くのは、「ただいいから」というだけの、一方的な良さではなくて、副作用の部分も考えて、それでもいいと判断できることです。ひとつのことには表と裏、光と影があるのは当たりまえのことで、表がよくて裏が悪いということはなく。それがどのように作用しあうのか、バランスがいいのはどこかを考えるのは人間の役割だと思います。
テレビ番組で白身魚がいいと報じられると、スーパーの白身魚がたちまち売り切れになる、という現象がありますよね。バナナならバナナ。トマトならトマト。まるで踊らされているようだと思いませんか。同じことが、今この社会にもあると思います。
そういう、一方的なことをお伝えしたいのではなくてですね。
麻の良さを、今は多くの人がこれから知っていく段階。次に、麻が欲しい人や、栽培したい人が増えていく段階。自然に負荷をかけたくない、人間も健康に暮らしたい、国際的な事情に左右されずに安心して必要なもの(麻)を手に入れられる体制を持ちたいという願いがかなう段階です。

そんな夢を抱きながら、奈良でも、コツコツと麻に興味のある人たちや、伝える人たちと繋がっていこうと思います。

PS 長文おつかれさまでした。わたしも(笑)






ヘンプ

大麻

大麻取締法

栃木県

環境負荷

麻炭

麻紙

麻農家

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