この記事はさとびごころVOL.27 2016 autumnよりの転載となります。内容は掲載当時のものです。
なんとなく不調を感じるとき、薬や病院に頼る前に、自然の力や自然治癒力により安らぎや楽しさをもたらしながら癒すホームセラピーを提唱されているクレメンツかおりさんに、誰もが取り入れやすい自然療法について紹介していただきます。
里山の秋は驚くほどに急ぎ足でやってきます。あんなに強かった夏の日差しも朝夕の風が肌寒く感じる季節。夏の疲れが残ったまま秋を迎えると、なんだか体がだるかったり、気分もすぐれなかったりと、意外と不調を感じやすいのがこの季節です。
東洋医学や薬膳の考えでは、秋は五行の金の季節で、肉体的には肺や大腸が影響を受けやすいと考えます。風邪をひきやすかったり、便秘になったりしがち。また感情的には憂いの気分になりがちです。理由もなくもの悲しくなったり、落ち込んだり。心当たりのある方も多いのではないでしょうか?
こんな季節にお勧めなのが、スパイスを効かせたカレーです。スパイスというと、辛い刺激物というイメージを持たれる方も多いのですが、実はスパイスは辛味だけでなくその香りがお薬に使われるほど、お腹の調子を整えたり免疫を高める働きもあるのです。
たとえば、フェンネルはういきょう、シナモンは桂皮として漢方薬としても処方されています。スパイスの香りは、どんよりベールがかかったような気分をシャキッと明るく、前向きにしてくれてこの季節にぴったりです。
また、ターメリックはカレーに欠かせないスパイスですが、漢方ではウコンとして有名です。ウコンと言えば、肝臓をいたわるだけでなく、最近ではアルツハイマー症の予防にも良いことがわかってきました。
このように、スパイスを使ったカレーはまさに強力な薬膳なんですね。大きく育った山椒の葉やシソの実、ゲンノショウコ、ツユクサなどの薬草とアケビの実を食べ終わったら、皮をカリッと素揚げしてカレーにトッピングしてみては?
こんなにすごいスパイスも薬草も、自然からの贈り物。上手に使って、小さな秋を楽しみましょう。
【クレメンツかおり】
1984 年フランスでアロマテラピーに出合ったことをきっかけに、色彩心理療法、気功療法、クリスタルヒーリング、フィトテラピーなど様々な自然療法を学ぶ。自然療法士(ナチュロパス)養成校” 自然療法森の学校” では、アロマテラピーを中心に、薬膳療法、鉱物療法、日本の薬草療法などのセミナーも開講。
さとびごころVOL.27 2016 autumn掲載