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醤油小噺 第1話 

この記事はさとびごころVOL.27 2016 autumnよりの転載となります。内容は掲載当時のものです。

 

 初めまして、片上(かたかみ)醤油、片上裕之と申します。私は1960年奈良県大和高田市生まれ、東京農業大学醸造学科卒、卒業後実家である片上醤油へ就職し、1984年から同、代表者です。

 これから醤油にまつわる四方山話を醤油小噺としてお届けしていきます。あくまで私個人の自説であって、勝手放題書いているものです。誤りや事実誤認もあるかも知れません。その際はどうぞ遠慮なくご指摘くださいませ。脱線も多いと思いますが、よろしくお願いします。

 醤油って、毎日使います。日本人なら当たり前のことですが、知っているようで意外と知らない、知られていないのが醤油なのです。うんちくと言うほどではないのですが、皆さんがお持ちの知識が繋がっていくような(合点がいくって奴ですね)そんな小噺になれば良いなぁと思っています。今回は第1話ですから醤油っていう「字」のお話です。

 日常当たり前に醤油に接している私達にはちょっとイメージしにくいのですが、醤油ができた時にそれを醤油と名付けた人は醤油がなかった時代の人ですから、それが他の人にどういうものかわかるように、名が体を表すように名付けたはずです。醤油=醤+油です。ハテ?醤油には油は含まれていないのに不思議ですね。実は「油」はoil の意味だけでなく、トロリとした液体、あるいは液状の調味料であることも表します。ということは醤油は液状の醤「ひしお」ということになります。「ひしお」って何かというとこれがとっても広義なのですが、食物を塩漬けにして発酵させたものです。中国では紀元前8世紀周王朝の文献に「醤」の記述があります。日本でも弥生時代には製塩をして、塩辛状の「ひしお」が有ったことが分かっています。奈良時代には中国から伝わった「ひしお」を作っていた役所があったようです。「ひしお」の中でも大豆や麦を発酵させた「穀醤」(こくびしお)はその美味しさからさまざまに形を変え、発展していきます。古代の「ひしお」はその後姿を消しますが、室町時代、布で液体を濾しとる技術ができ、「ひしお」や味噌状のものから美味しい液体を取り出し、醤油となりました。

 食レポでも「味が滲みていて美味しい!」なんでよく言いますが、これも調味料が液体なればこそのことなのです。液体調味料の醤油は登場当時大変珍重され、喜ばれたのです。

さとびごころVOL.27 2016 autumn掲載

文・片上裕之(片上醤油蔵元)

さとびごころ連載

片上裕之

片上醤油蔵元

醤油小噺

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