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GOMIGEN ─ごみ減量─ 最前線 #16 みどりの食料システム法が施行されました

この記事はさとびごころVOL.51 2022 autumnよりの転載となります。内容は掲載当時のものです。

 

リデュース(そもそも減らす)、リユース(もう一度使う)、リサイクル(資源化する)、etc…

ごみを減らす面白い取り組みを、全国からみつけてお届けします。ゴミ減、GO!

環境配慮型の農林水産業を国や自治体が支援

 今回は、一見ごみ問題とは関係がなさそうで、実は密接な関係がある話題です。この7月1日、「みどりの食料システム法」が施行されました。国は昨年5月に「みどりの食料システム戦略」を発表しており、これを進めるための法的根拠として制定されたものです。その趣旨を一言でいえば、農林漁業の生産性向上と持続可能性を両立させること。また、生産の段階にとどまらず、調達から流通・消費・廃棄に至るすべての工程について、環境負荷低減を目指しているのも特徴です。

 背景には、第一次産業をめぐる環境の激変があります。地球温暖化の進行をはじめ、世界の人口増加と経済発展、新型コロナウイルス、さらには今年に入ってのロシアによるウクライナ侵攻。そして、国内においては人口減少、少子高齢化がますます進展し、第一次産業の担い手不足は深刻化の一途をたどっています。食料安全保障という面からも、自立的かつ持続可能な農林水産業の仕組みを確立することが強く求められているのです。

 法律の核心は、環境負荷低減事業活動の認定制度にあります。農林水産業者やその団体が、化学肥料・化学農薬の使用低減や温室効果ガス排出量削減につながる取り組みを行う場合、都道府県の認定を受けることで税制上の優遇措置などを受けられる仕組みです。

有機農業の耕地面積を25%に拡大

 また今年の6月には、「みどりの食料システム戦略」に関する数値目標を明らかにしました。その主なものは次の通りです。▼ 農林水産業から排出される温室効果ガスをゼロエミッション化▼化学農薬使用量(リスク換算値)を50%削減▼化学肥料使用量を30%削減▼耕地面積に占める有機農業の割合を25%に拡大。これらはいずれも2050年を目標年とする数値です。それに向けて、2030年までの目標も示しています。

 画期的・野心的な目標のように感じられます。ただEUでは、2020年の「ファームto フォーク」戦略において、ほぼ同様の目標を掲げており、しかも日本より20年前倒しの2030年を目標年としています。これと比べれば、やや腰が引けていると言ってもいいでしょう。とはいえ、重要な第一歩には違いありません。

 戦略の具体的取り組みを見ると、ごみ問題に関わるものがたくさん出てきます。たとえば、▼食品残渣・汚泥等からの肥料分の回収・活用▼脱プラ生産資材の開発▼需給予測システム・マッチングによる食品ロス削減、など。

 ほかにも、剪定枝を炭化して農地に撒くことで炭素を固定するなど、ごみ減量を通じて戦略実現に資する実践例はいろいろ考えられます。

ONE STEP to GOMIGEN
食品残渣から生まれた
食品容器エディッシュ
イベントなどの飲食スポットでは、どうしてもプラ
スチックの使い捨て容器が大量に発生します。最近
はリユース食器も使われるようになりましたが、そ
れも例外なくプラスチック製です。丸紅(株)が開
発した「エディッシュ」は、精粉時に出る小麦ブラ
ンなど、これまではごみとして捨てられていた残渣
を原料とする新しい食品容器です。パルプの中に混
ぜ込み、パルプモールドの製法で成形します。
使い切りではありますが、回収して堆肥にしたり炭
化することでもう一度畑に戻すことができ、すでに
イベントなどで回収・堆肥化の実験を繰り返してい
ます。大阪ごみ減量推進会議では、2025 年大阪万博
でこの容器を導入すべく、協働の取り組みを始めて
います。

さとびごころVOL.51 2022 autumn掲載

文・北井 弘(ごみ減量ネットワーク主宰)

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さとびごころ連載

北井 弘

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