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GOMIGEN ─ごみ減量─ 最前線 #05 食品ロスダイアリーで我が家のムダを見える化

この記事はさとびごころVOL.39 2019 autumnよりの転載となります。内容は掲載当時のものです。

 

リデュース(そもそも減らす)、リユース(もう一度使う)、リサイクル(資源化する)、etc…

ごみを減らす面白い取り組みを、全国からみつけてお届けします。ゴミ減、GO!

市民モニターを公募

 レコーディング・ダイエットってご存じですか。そう、毎日の食事の内容とカロリーを記録することで食生活を見直し、体重を減らそうというダイエット法です。単に体重を毎日記録するだけでも、「痩せよう」という動機付けになるといいます。

 今回ご紹介する「食品ロスダイアリー」は、いわば「食品ロス版レコーディング・ダイエット」です。本来食べるはずだったのに、賞味期限が切れたり食べ残したりして捨ててしまった食品を記録。これを1か月ほど続けることで、どんなものをどんな理由で多く捨てているかという傾向がわかり、無駄の出ないお買い物につなげることができます。

 この取組みは、神戸市が2016年度から実施していますが、ここでは私が昨年研修会でお伺いした兵庫県加古川市での事例をご紹介します。

 加古川市は2018年7~8月に市民モニターを公募。71名の応募者は4週間にわたって、食品ロスダイアリーに記入しました。未使用食品の廃棄と食べ残しに分けて、品名、捨てた数量、捨てた理由に加えて、前者については長持ちする工夫をしたか、どうすれば捨てずに済んだかなどを書き入れます。とはいえ、品名や数量以外は選択肢から1つ選ぶ方式なので、それほど手間はかかりません。

加古川市食品ロスダイアリー 記入例より

子どもの食べ残しが問題

 71人のデータを集計・分析すると、面白い傾向が見えてきます。

 まず未使用食品の廃棄については、季節柄、キュウリ・ナス・トマトなどの野菜が圧倒的に多かったこと。ちょうど夏野菜の旬の時期であり、安かったのでまとめ買いして使い切れなかったのかも知れません。廃棄を防ぐには、新鮮なうちに冷凍や乾燥で保存する、トマトソースや佃煮のように大量消費できるレシピを覚える、などの方法があります。

 一方、食べ残しについては、子どものいる家庭の方がいない家庭の約2倍も多いことがわかりました。これだけは食べてほしいという親の思いと、これ以上は食べられないという子の事情のアンマッチです。これに関しては、「少なめに盛り付けて、もっと食べたければお代わりしてもらう」といった対策が考えられます。

 モニターとなった市民からは、「記録して初めて分かったことが多い」「考えないで衝動的に買ったものを多く捨てている」などの感想が寄せられ、効果のほどがうかがえます。

 日本では、世界中の飢餓に苦しむ人々への食料援助量の2倍に相当する646万トン( 年間) が廃棄されています。環境省のサイトには、7日間でできる食品ロスダイアリーの様式がアップされていますので、みなさんもぜひチャレンジを!

ONE STEP to GOMIGEN
空腹のときは買い物に行くな!
 食品ロス問題ジャーナリスト・井出留美さん
の書かれた『賞味期限のウソ』(幻冬舎新書)は、
食品ロスが大量に生まれる原因やそれを減らす
ための知恵が、とてもコンパクトにまとめられ
た好著です。
 なかでも面白かったのは、「空腹の状態で買
い物に行ってはダメ」というアドバイス。アメ
リカのミネソタ大学で実験をしたところ、空腹
のとき買い物をした人はそうでない人に比べて、
最大64%もお買い物金額が多くなったというの
です!
 そう言われてみる
と、なるほどと思い
ますよね。お腹が減っ
ているときスーパー
に行くと、「これもお
いしそう」「あれも食
べたい」ってなりま
す。ほかにも、お得
でエコな“ お買い物
マナー” が満載の本
です。

さとびごころVOL.39 2019 autumn掲載

文・北井 弘(ごみ減量ネットワーク主宰)

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ごみ減量ネットワーク

さとびごころ連載

北井 弘

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