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身の丈しごと研究室 #07 「身の丈」を健全に伸ばす 

この記事はさとびごころVOL.46 2021 summerよりの転載となります。内容は掲載当時のものです。

 「身の丈起業」、「身の丈しごと」などの取り組みを地味~に行っております。今回も、私自身が身の丈しごとに至る過程で思考した「身の丈しごと」にまつわる話題を取り上げていこうと思います。先回は、自分の身の丈を知るために、私自身は自分のしごと(=為事)に対して「ふりかえり」というものを行ってきた話を書かせていただきました。今回は、身の丈を健全に伸ばすための話をしたいと思います。

 多くの人にとって20代前半は、学生から社会人になり、自立へ歩み始める時期だと思います。しかし、私はその頃「私を育ててくれる師匠が見つからない」と言って嘆く若輩者でしかありませんでした。鬱々としたエネルギーを貯めたまま20代後半になり、(誰も導いてくれないなら自分で切り拓いてやる!)と空虚な勇ましさとともに起業へと足を踏み出したわけですが、運が良かったことに(今から思うと本当にそう!)、その第一歩で出会ったのが「理念」という言葉でした。

 起業の足がかりに選んだ経営コンサル会社で、まず最初にさせられたのが「人生、何のためでありたいですか?」という問いに答えることでした。どうでしょう?あなたならどう答えますでしょうか?この問いは「理念」を導き出すための問いです。一見何でもなさそうな問いですが、この問い一つに、理念を研究してきた先人の成果がギュッと詰まっているのです。

 結局私はこの問いに、足掛け7 年かけて答えを出すことになります。今では、理念が私の良き導き手です。20代の頃に求めていた師匠は、実は自分の中にいたのですね。今の私にはメンターと言える方もたくさんいるわけですが、それも理念のおかげだと思っています。理念に忠実に、ブレずに行動することが、メンターからの信頼を得ているのだと感じています(そうか!「君は頑固だ」と言われるのもこのせいか!)。

 今では、人や組織や地域の未来を、理念を軸に作っていくことをサポートするのが私のしごとになるなど、理念との関わりは深まるばかりです。健全な理念からは納得の行動しか生まれず、後悔することがない、というところが特に気に入っています。

 次回は、「身の丈」と「理念」の架け橋となる話をしたいと思います。キーワードは「最善を尽くす」です。

さとびごころVOL.46 2021 summer 掲載

戸上昭司(とがみしょうじ)

NPO法人起業支援ネットほか(多足の草鞋)

1973年大阪身の丈しごと研究室 #14 身の丈起業のプロセスを読み解く(下)生まれ。神戸、名古屋、福島、釜石と渡り歩き、2015年に奈良に落ち着きました。「理念」と「身の丈」を両軸に、仕事起こし、自分起こし、地域起こしのお手伝いをしています。

さとびごころ連載

戸上昭司

身の丈しごと研究室

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