この記事はさとびごころVOL.38 2019 summerよりの転載となります。内容は掲載当時のものです。
京都府舞鶴市出身の僕は少年時代、昆虫に夢中でした。自然の中で生きものたちに遊んでもらった原体験から得たセンス・オブ・ワンダーはいくつになっても心の底流にあります。日々の活動拠点である清澄の里では、無農薬で野菜を栽培しているので、四季を通じて様々な生きものや昆虫が暮らしており、それらが今も変わらずに胸を踊らせてくれるのです。今回は、そんな僕の大好きな昆虫ランキングベスト5をご紹介したいと思います。ちなみに、全くの主観ですよ。
まずは、第5位から。アリとミツバチ(写真上)。どちらか選べないので同時ランクイン。みんなが女王になろうとして争うのではなく、それぞれの役割を全うして暮らしているところに惹かれます。続いて第4位は、ナナフシ。これは一見したところ枝のように見える擬態化する虫。レアなところが魅力的で子どものころから見つけると大興奮でした! 清澄の里にも棲んでいますよ。
そして第3位は、ヤマトタマムシ(写真下左)。よく「玉虫色」と言われる緑色の金属的な光沢のある虫です。日本で一番美しいとされ、法隆寺にある仏教工芸品、「玉虫の厨子」にはこの虫の羽が使われていますね。幼虫はエノキの葉に寄生します。一里塚、という言葉がありますよね。昔は、一里ごとの道しるべとして塚にエノキが植えられていて、旅人はその周りに飛び交うタマムシの美しい姿を見ると、「塚は近いぞ」と励まされたといいます。
第2位は、オニグモ(写真下右)。クモの苦手な人って多いかもしれません。オニグモは、3センチくらいある大きめのクモで、大きな巣を張ってハエや蚊を狙ってじっとしていますから、なおさらです。でも、僕は大好き。別名ケンカクモと呼ばれる通り、ケンカさせて遊べるからです。れっきとした益虫です。
さていよいよ栄えある第1位、それは、カマキリ(写真中)! ビジュアル最高、機能美溢れるハンター、ダントツお気に入り。擬態もでき、蘭のように見えるカマキリもいます。幼虫でも一丁前に成虫と同じ姿をしていて、なんと小さい体で威嚇してくるんですよ、勝てない僕に!昆虫界では生態系の頂点にいて、農作物を食べる厄介な昆虫を食べてくれる益虫です。昆虫たちが姿を見せてくれるのは、農薬を使っていない証拠。人間が健康でいられるバロメーターです。皆さまもぜひ、昆虫に愛を。(聞き書き 阿南セイコ)
さとびごころVOL.38 2019 summer掲載
文・三浦雅之&陽子
《三浦雅之さんのプロフィール》
1970 年生まれ、奈良市在住、京都府舞鶴市出身。1998 年より奈良県内の在来作物の調査研究、栽培保存に取り組み、大和伝統野菜を中心に年間約 120 種類の野菜とハーブを栽培。 2002年農家レストラン清澄の里「粟」、2009 年粟ならまち店をオープン。2015 年5 月より奈良市との官民協働プロジェクト「cotocoto」を運営。株式会社粟、NPO 法人清澄の村、五ヶ谷営農協議会を連携協働させた六次産業によるソーシャルビジネス「Project 粟」を展開。 株式会社「粟」代表取締役社長 。NPO法人清澄の村理事長 。はじまりの奈良フォーラム プロデューサー 。主な著書に『家族野菜を未来につなぐ』(学芸出版社2013 年)『種から種へつなぐ』( 共著 創森社 2013 年) など。