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GOMIGEN ─ごみ減量─ 最前線 #11 ごみは減っているのか?

この記事はさとびごころVOL.46 2021 summerよりの転載となります。内容は掲載当時のものです。

 

リデュース(そもそも減らす)、リユース(もう一度使う)、リサイクル(資源化する)、etc…

ごみを減らす面白い取り組みを、全国からみつけてお届けします。ゴミ減、GO!

法整備が市民と企業の意識変化をうながした

 今回は、「日本のごみは減っているのか」という根本的な問いに答えてみたいと思います。まず表をご覧ください。調査結果が公表されている直近10年間のごみ量の推移を示したものです。

 2019年度の総ごみ量(燃えるごみや不燃物だけでなく、資源物として収集されたものや資源集団回収で集められたものも含みます)は、約4274万トン。ピークだった2000年度と比べると約22%減りました。その背景には、経済の低成長や人口減少といった社会の大きな動きも絡んでいます。

 しかし、より大きな要因となったのは、法制度の整備とそれに伴う市民・事業者の意識及び行動の変化です。奇しくもごみ量が最多となった2000年には、循環型社会形成推進基本法が制定されました。文字通り循環型社会を目指すという方向性を明らかにした理念法で、リデュース→リユース→リサイクルという3Rの優先順位を示したのも、拡大生産者責任の考え方を取り入れたのも、この法律が最初です。

 その後、容器包装リサイクル法をはじめとするリサイクル関連法が次々に制定されました。これに伴って、従来は2~3種分別だった自治体も資源を細かく分別収集するようになり、市民もそのルールを守ることで、資源化は飛躍的に進みました。事業者も、ペットボトルの薄肉化など3Rの推進に努めてきました。同時に市民意識も、排出段階で「何もかもひっくるめてごみ」から「資源とごみ」へと変わったことが、リサイクルだけでなくリデュースにもつながったのです。

分別の徹底だけでは さらなる減量に限界

 ただ、表から見えてくるもう1つのポイントは、ここ数年明らかにごみ量減少のスピードが鈍っていることです。2016年度は対前年度比1・8%減だったのが、翌年度以降0・6%、0・4%と減少率が下がっていき、2019年度にはついにわずかながら増加に転じました。リサイクル率も、2007年度以降横ばい傾向が続き、ここ5年ほどは毎年低下しています。

 その要因も複合的であることは確かですが、一つ言えるのは「分別の徹底だけではこれ以上のごみ減量と資源化は難しい」ということです。リサイクルできないものは最初から作らないという事業者側の姿勢、使い捨ての商品はできる限り買わないという消費者の姿勢など、新たなステップへ踏み出すことが強く求められています。

 なお、国の統計はまだ2019年度までしか公表されていません。2020年度になると、新型コロナウイルスと

いう新たな要因がごみ問題に少なからぬ影響を及ぼすことになります。この点については次号で詳しく触れたいと思います。

ONE STEP to GOMIGEN
マイクロプラスチックの
流出を減らす洗濯ネット
 最近少しずつ知られるようになったマイクロプラスチッ
ク問題。その発生源の1つは私たち消費者自身です。たと
えば化学繊維の衣類を洗濯するたびに、大量の微細なマイ
クロプラスチックが水と一緒に流れ出てしまいます。
 それを少しでも減らすための工夫として、「プラなし生
活」というサイト(めちゃくちゃ役立つ実践的な情報が満
載!)で紹介されていたのが、オーガニック・コットンの
野菜保存袋です。ネット通販で購入しました。
 これを洗濯ネット代わりに使うことで、ある程度のマイ
クロプラスチック流出を防ぐことができます。100%とい
うわけにはいきませんが、何もしないよりははるかにまし
です。内側にたまった繊維かすは、もちろん水で流さずご
み箱へ。

さとびごころVOL.46 2021 summer掲載

文・北井 弘(ごみ減量ネットワーク主宰)

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