/

web article

GOMIGEN ─ごみ減量─ 最前線 #06 初のゼロ・ウェイスト宣言 徳島県上勝町は今

この記事はさとびごころVOL.40 2020 winterよりの転載となります。内容は掲載当時のものです。

 

リデュース(そもそも減らす)、リユース(もう一度使う)、リサイクル(資源化する)、etc…

ごみを減らす面白い取り組みを、全国からみつけてお届けします。ゴミ減、GO!

まず徹底した分別

 2003年に日本で初めてゼロ・ウェイスト宣言を行った徳島県上勝町。宣言は、「2020年までに焼却・埋め立て処分をなくす最善の努力をします」と明記しています。そう、今年がその目標年なのです。

 ゼロ・ウェイストに向けてまず取り組んだのは、徹底した分別。上勝町では行政がごみを収集しておらず、町内でたった1か所の日比ヶ谷ごみステーションに町民がごみや資源を持ち込む方式です。

 公式には34分別で、鏡・体温計、ライター、使用済み紙おむつなども分別されています。ところが、日比ヶ谷ごみステーションの現場ではもっとずっと細かく、「トイレットペーパーの芯」「マジック・ボールペン」のような区分まであります。一見煩雑なように思えますが、このほうがどの区分に入るのか迷いようがないので、かえって楽なのです。

 現在、すぐ近くで新しいごみステーションの建設が行われており、宿泊研修施設もつくられます。分別拠点としてだけでなく、ゼロ・ウェイストに向けた実践を体感する学習拠点としても活用しようというねらいです。

上勝町内、唯一のごみ収集所、日比ヶ谷ごみステーション

NPOが内外に情報発信

 もう一つの柱は、NPO法人ゼロ・ウェイストアカデミーを立ち上げたことです。前述のごみステーションや併設するリユース拠点「くるくるショップ」・リメイク拠点「くるくる工房」の運営、小中学生に対する環境学習プログラムの企画・実施、事業所に対する指導・助言など、幅広い取り組みを展開しています。ゼロ・ウェイストに取り組むお店などを独自に認証する仕組みも構築しています。

 それだけでなく、町内外、いや国内外への情報交流・発信も、このNPOの重要な役割であり、また得意とするところです。

 日本初のゼロ・ウェイスト宣言という称号がネームバリューとなり、国際感覚を備えた優秀な人材を山間の小さな町に引き寄せています。

あと一人一日100g

 上勝町のリサイクル率は、2017年時点で79.7%。残りの約20%は、靴のように複合素材でリサイクルできず、町外で焼却されたり埋立処分されているものです。やむなく焼却・埋立に回されているごみの量は、町民一人一日あたりでちょうど100gあります。全国平均は734gなのでごくわずかですが、この100gをごみにしないためには製造段階でのリデザインが不可欠。とても一自治体が解決できる問題ではありません。

 だからこそ、ゼロ・ウェイストアカデミーのような発信力とネットワーク形成力を持った団体の存在が大切なのだと思います。今構想中という、次のゼロ・ウェイスト計画に期待です。

ONE STEP to GOMIGEN
ごみゼロゲームが誕生!
ゼロ・ウェイストアカデミー理事長の坂野晶さん
が、「ごみゼロゲーム」を開発しました。2~5
人で遊べるボードゲームで、小学校高学年以上の
子どもと大人が対象です。遊び方は、「ガラスびん」
「ストロー」などと書いてある「ものカード」を
順番に引いていき、その「もの」をどうやったら
ごみにせず救えるかを考えて発表。救えた場合は、
その方法に応じてポイントを獲得し、最後にいち
ばんポイントをためた人が勝ちです。たとえばプ
ラスチックのストローだったら、「使わないで飲
む」というリフューズ(不要なものは断る)の方
法を提案できればポイントが高くなります。
ごみ問題の教育に力を入れている小学校などに
は、無償で配布しているそうです。問い合わせは
ゼロ・ウェイストアカデミーまで。

さとびごころVOL.40 2020 winter掲載

文・北井 弘(ごみ減量ネットワーク主宰)

GOMIGEN ─ごみ減量─ 最前線 #01 サルベージパーティーでフードロスを楽しく解決!

GOMIGEN ─ごみ減量─ 最前線 #02 フードドライブで家庭の余った食品を活用

GOMIGEN ─ごみ減量─ 最前線 #03 SDGsは未来の子供たちへの約束

GOMIGEN ─ごみ減量─ 最前線 #04 天神祭ごみゼロ大作戦市民の力で大きな成果

GOMIGEN ─ごみ減量─ 最前線 #05 食品ロスダイアリーで我が家のムダを見える化

GOMIGEN ─ごみ減量─ 最前線 #06 初のゼロ・ウェイスト宣言 徳島県上勝町は今

GOMIGEN ─ごみ減量─ 最前線 #07 子どもへのアプローチは一石三鳥の効果!

GOMIGEN ─ごみ減量─ 最前線 #08 大阪プラごみゼロに向けネットワーク会議を設置

GOMIGEN ─ごみ減量─ 最前線 #09 上勝町にオープンしたゼロ・ウェイストセンターを訪問

GOMIGEN ─ごみ減量─ 最前線 #10 レジ袋提供禁止条例を施行した京都府亀岡市のねらいは?

GOMIGEN ─ごみ減量─ 最前線 #11 ごみは減っているのか?

GOMIGEN ─ごみ減量─ 最前線 #12 コロナ禍とごみ問題

GOMIGEN ─ごみ減量─ 最前線 #13 激変する古紙輸出事情

GOMIGEN ─ごみ減量─ 最前線 #14 生ごみ資源化の先進地・志布志市

GOMIGEN ─ごみ減量─ 最前線 #15 脱ペットボトルへ 広がる給水スポット

GOMIGEN ─ごみ減量─ 最前線 #16 みどりの食料システム法が施行されました

GOMIGEN ─ごみ減量─ 最前線

ごみ減量ネットワーク

さとびごころ連載

北井 弘

latest article

/

サポーターになりませんか

定期購読メンバー様には毎号さとびをお届けします。また、さとびのコンセプトに共感&応援してくださる方は、ぜひサポーターになってください。100年住み続けたい地域づくりのなかまとしてつながりましょう。

購読コースについて

サポーター 5,000円 /年(送料込み・複数口対応)
定期購読 2,500円 /年(送料込み)

原則として自動継続となりますので、停止されたい方は個別にご連絡ください。

お支払方法について

下記タブよりお申し込みの方は銀行振込みとなります。
デジタル決済OKのオンラインショップからもお申し込みいただけます。

購読の
お申込み

入力内容に誤りがあります

以下の内容でよろしければ、
購読申込ボタンを押してください

ご購読期間は、毎年1月からの1年間となっております。年度途中からお申し込みいただいた方には、登録と同時に既刊の号をお送りさせていただき、新刊発行分から通常のお届けとなります。ご了承のほどよろしくお願い申し上げます。

購読方法

お名前(必須)



メールアドレス(必須)

確認の為、もう一度ご入力ください。

発送先住所(必須)





購読開始年

その他