今頃、甲子園では準決勝が行われています。今日も個人的な投稿を少し。
先日、夏の思い出の中でもちらりと触れていましたが、島根県立大社高校はベスト8まで勝ち上がり、神村学園の前に散りました。そのとき、地元で応援している人たちがXに投稿してたのが、虹でした。
甲子園では雨がざあざあ降る中での試合となり、5回から登板した馬庭くんは雨にうまく対応できなかったと言っていました。どうやら島根ではそのときは降っていなかったらしく、大社高校が2−8と大差をつけられたなかで最後の攻撃にはいる9回裏が始まるころから虹がかかり始めたそうです。
そして神様が戦い抜いた選手たちを労うように、試合後も出雲平野の空に浮かんでいました。この写真は、Xに投稿されたものをお借りしました(ご了承ください)。鉄道好きな方が撮影されたようで、一畑電車と虹をフレームにおさめてくださるなんて、心憎い。実家の真裏を一畑電車(地元の私鉄・映画RAILWAYSの舞台)が走っていますので、幼い頃からこの電車の「プワー!」という警告音やガタンガタンと鳴る車輪の音、子守唄のように聞いたものです。
日本には、なにかと発展している華やかな場所と、忘れられそうになっている静かな場所があります。島根県は後者の代表のような土地です(出雲大社には全国からお参りする人が集まったり、近年は地域活性の面でモデルになったりしていますが)。子供の頃は、「何をしても、他県には敵わない…」というムードがありました。でも時代が変わっていますね。
ここまでくるのに、出雲大社の神様の力なのか、全国にファンが増え、大社高校を応援する人たちの集合意識の力なのか、神がかった不思議なシーンを何度も見ました。バントがなぜ、ぎりぎりフェアになるのか、なぜここで相手がミスをするのか、なぜこの場面でヒットがそのコースに転がるのか。
それでも最後の試合は、さすがにエースの疲労が気力を上回っていて…無理はあったと思います。
複数のエースを持たないチームの宿命。そこは覚悟して見ていました。
負けるにしても最後までくらいつく、誇りに満ちた善戦が展開され、途中で諦めることがなかった。勝っても、負けても美しい選手たち。応援も驚きの一体感。出雲の人たちって、こんなに熱かったっけ??と思うほど!内気で控えめな人が多いのに、いざというときの温かい心、情熱、ほんまに、ふるさとが誇らしかったです。母が生きていたら、きっと電話でにわか評論家みたいな話を聞かされた(つまり喜んでいる)ことでしょう。
とにかく驚きました。
馬庭選手の気持ちの強さ。
エースだけに依存しないチームの一体感(少年野球をしていた仲間が、大社へ進学して甲子園へ行こうと集まったそうです)
応援の音楽(トランペット、ドラムなどプロの応援もあったそう)
奈良智弁学園も応援しなきゃ、と思いながら今回だけは大社高校にくびったけになりましたことをお許しくださいませ。
付け足し。印象的だったのは監督さんですよね。はきはきとされながらもひょうひょうと?、本当なのかとぼけてはるのかよくわからないような(笑)でも、うるうる泣いちゃったりして、純粋な人。選手たちからも好かれているようでした。高校野球強豪校にありがちな、監督が絶対君主のようなムードがないところが好きでした。主人公は十代の選手たちなんですよね。大人の野望をのっけたらだめで(ついついそうなりますからね)、選手の可能性を引き出すのが教育者。すばらしい国語の先生でした。過去に同性の監督さんがおられたそうですが、偶然でしょうか。
「負けちゃったね。お疲れさん」そう思って朝のベランダに出ると、ふっと涼しい風が吹いてきて、鉢植えのアメリカンブルーの枝先が揺れました。毎年、甲子園が決勝に近づくにつれ、秋の訪れを知らせるような風が吹きますね。