この記事はさとびごころVOL.36 2019 winterよりの転載となります。内容は掲載当時のものです。
フォレスターギャザリングとは「日本型フォレスター」(森林総合監理士• 有資格者のほか森林や林業を愛してやまない者)の全国レベルでの相互交流を目指す集まりです。行政、民間、教育研究機関など所属は違っても同じフォレスターであるという認識の下に「ヨコ」のネットワークを強化することを目的として開催されています。あすならもり第8回は、このフォレスターギャザリングとの共催となりました。
全国から「我こそはフォレスター」が集う
2015 年10月に岐阜県高山市で開催された第1回に始まり、第2 回は京都府京都市・福知山市(2016 年10月)、第3 回は東京都(2018 年2 月)で開催されてきたフォレスターギャザリング。第4回の今回は、昨年12月8日に奈良県森林総合監理士会の「明日の奈良の森を考える学習会」と共催の形で実行委員会を形成し、奈良県での開催となりました。
今回の参加者は北は北海道札幌市から、南は鹿児島県と、幅広い地域の自称フォレスター約60名が、橿原市の今井まちなみ交流センター「華甍(はないらか)」に集いました。
「明日の奈良の森を考える学習会」は、開催地実行委員として奈良県開催のギャザリングを参加者に印象付けるため、プログラムの構成から参画いたしました。
奈良県側からは、奈良県でも最も尊敬されるフォレスターであり、川上村で十一代目の山守を務められていた(今は十二代目を息子さんが継承)川上社中理事長の下西昭昌さん。吉野町で7 代目の山守を務められている吉野町議会議員の中井章太さん。本誌でもその熱心な取り組みが連載(※)されている大規模森林所有者の谷茂則さんというパネリストにご登壇頂きました。
(※)36号の谷茂則さんの連載「十四代目林業家ドタバタイノベーション奮闘記」
奈良で開催するからには
当地で開催するからには、参加者に当地の林業の特殊性を感じて欲しいし、林業施行の多くは、北海道から沖縄までほぼ同じ方針で押し付けられることが多いですが、森林や林業の施策は地域特有の文化や自然の条件に沿った、きめ細かな対応が必要だという観点から、日本各地の参加者の其々の地方と、ここ奈良の林業の歴史や営み、それに関わる人々の姿勢、地域で生活する者の実情や努力…などの違いを、直の声で感じ取っていただきたいと考えたのでした。
各パネリストは、林業の再興に取り組んでいる日々の事例を情熱的に紹介してくださり、参加者からは「驚きと発見刺激を得た!」との声を頂きました。
ギャザリング後半のフラッシュトークでは、参加者の活動や悩みが次々炸裂し、全国から参加してくださった皆様はここで、ストレスも発散でき、より和やかで気持ちの良いギャザリングになったのではないかと感じました。夜の交流会や、翌日の天川村バイオマス施設見学のエクスカーションも、貴重な情報交換・収集の場になりました。
もの言わぬ森に思いを
森林は日本の国土のほぼ7割を占めます。これら森林は都市住民から距離のあるところで何も言わず密かに生き続けていますが、水や空気、自然環境や生物の多様性を育む地球人にとって最も大切な生態系の基盤です。その森林を舞台に「中立・公正・公平」の立場から、持続可能な森づくりを総合的に監理することを求められているのが森林総合監理士です。各々は自分が過ごした地域の範囲の中で、経験し知り得た事実や書籍による知見はあるものの、それに留ることなく、常に拡充する意識を持つことが大変重要です。各地で同じ目標に向かって活動する者同士の情報や意見の交換は、その意味から大変有意義であると考えます。今後も日本の森林・林業を主体的に考えることのできる組織として、フォレスターギャザリングの益々の発展に大きな期待を寄せています。
さとびごころVOL.36 2019 winter掲載