この記事はさとびごころVOL.36 2019 winterよりの転載となります。内容は掲載当時のものです。
はじめまして、愛菌家のみなみです。このコラムでは、菌にまつわるみなさんと共有したいことをお伝えしますね。
早速ですが、最近やたらと耳にする「菌活」「腸活」「プロバイオティクス」という言葉たち。同時に「抗菌」「除菌」「殺菌」が大好きな現代人。これ、不自然に感じるのはわたしだけでしょうか? 菌を含む微生物の世界は、空気中・水中・土壌中・動植物表面や体内・目には見えないけれど必ずそこに存在するもの。膨大かつ複雑未知で摩訶不思議、人が完全にコントロールできるなんて夢のまた夢のお話。では、そんな菌たちとはどうお付き合いすればいいのか?
忘れてはならないのが、「あなた 菌」だということです。わたしたちの日々の営みは、実際に体を共有している1千兆個を超える常在細菌の活躍の上に成り立っています。それを忘れて(または知らずに)余計な事をすると、もともと何もしなければ保たれていたバランスが崩れて、悪循環に陥ります。
あなたの常在細菌たちは、そのままでもう完璧なんです。そのままを受け入れられれば、そうしてひとりひとりが満たされていて幸せなら、世界も平和なはず。わたしが「菌からはじまるWorld Peace☆」を掲げる所以です。
というわけで、第一回となる冬編は、石けん無し・お湯シャン(シャンプー・リンスを使わずお湯だけで頭を洗う)生活のすすめを。もともとわたしたちの肌は、自然に分泌される皮脂やそれをエサに表皮常在菌がつくる脂肪酸膜のバリアで覆われ守られています。石けんやシャンプーを使うと必要以上にそれらが洗い流され、外界からの刺激に無防備になり、それををカバーしようと皮脂が過剰に分泌されるため、匂いやかゆみが出てまた石けんやシャンプーで洗い流すことが必要になります。この流れができたのはつい最近、第二次世界大戦後に石けんが広く普及してからことです。
何もしなければいいのです。昔から人がそうしてきたように、お湯で流せば十分なのです。ただし開始後一ヶ月位は皮脂も落ち着かないため、元々皮脂分泌の少ない冬場に始めるのがおすすめというわけ。やり始めに日常生活でべた付きや匂いが気になる場合は冬場なら毛糸の帽子でも被ってしまえばいいですしね。ちなみにわたしは石けんシャンプー歴10年の後、石けん無し・お湯シャン生活になって3年目ですが、全く問題ありません。
通常一ヶ月もすれば肌のターンオーバーに伴い皮脂の分泌も落ち着き、いつの間にかお湯シャンだけで扱いやすい髪になっているはずですよ♪ 体も同様です。
さとびごころVOL.36 2019 winter掲載
文・渡部みなみ
東京農業大学短大醸造学科出身。ライフワークとして「発酵ワークショップ」を随時開催。