さとびの自己紹介のときによく使う「リトルプレス」という言葉ですが、あまり知られていない言葉なのでしょうか、「なんですか」と質問されることがあります。
リトルプレスとは、小規模(リトル)な出版物(プレス)という意味で、自費出版(※)とも言えるかもしれません。個人や少人数で運営されているものを指すことが多く、出版の流通に乗らずに販売されます。それだけに、商業的な収益を目的とするというより、表現やコミュニティーへの貢献などのために作られることが多いです。(普通は、さとびよりも、もっとアート性があったり、かわいかったりするみたい。。。小さな声)
※商業出版社から発行されるけれども経費をすべて著者が負うのも、自費出版と言えますね。
さとびは創刊からリトルプレス。
編集人あなんがさとびとご縁をいただいたとき(創刊準備のころ)から、形態としてはそうでした。
それもあって、形態そのままに引き継ぎました。というより、昔からリトルプレスばっかりやってきたので、それ以外考えられませんでした、というのが事実。発行元の個人事務所も、編集工房ではあっても出版社といえる事務所ではないため、等身大を表して、「大手の立派な出版社による雑誌ではないけれど、独立して頑張って出します」みたいな意味をこめて「リトルプレス」というようになりました。
わずか500円といえども価格を設定していることもありすし、発行の動機としても、趣味や気まぐれではありません。その表明として、創刊から15年目、当オフィス発行から8年目、休刊なく継続してきました。我ながら、よほどしっかりとした意志がなければ、続かないと思います。
それを支えているのは、「自然にも人にもやさしい未来」と「現在地」を結ぶために何か役にたちたいという思いです。これがなければこんなに頑張れません、さすがにー。
やってみてよかったと思うこと。
出版業界の情報によると、出版物は書店に並んだ後、売れ残ったものは返品され版元に戻ってきて処分されるそうです。食品ロスのように出版ロスというものがあるんだろうと思います。さとびは、作っている本人が発行しているので、部数を自分で決められますから、ロスをふせぐために必要な部数を考えて印刷しています。そのぶん、リサイクルに回らずに済んでいます。(最初の数年はロスが出ていましたけど!)
紙の原料は木ですよね。木を砕いて製紙されたものが紙。紙をロスることは木がかわいそうじゃないですか。なので、読者メンバーさんの数やお取り扱いいただく部数を基本に、ロスのないようにしています。
「売れるかどうかわからないけど手広く並べてみる」というリスク受容力が幸か不幸かさとびにはなくて、これはこれでよかったと思っています。
いまどき、なんで紙媒体?
これだけSNSが普及し、報道もドラマも何もかも「インターネットで」がメインの時代になっているのに、今だに紙媒体を作っているのは遅れているも甚だしいとお思いの方もあるかもしれません。
その理由は?「だって好きなんだもん」というのがまずありますけれど、こんなふうにおっしゃってくださる方ももあります。
「ネットの時代だからこそ、わざわざ手をかけて、紙で、なるべく顔の見える関係で、というのはほんとに貴重だと思います。これからも、応援させてくださいね」
きっと、すこし励ましの気持ちもあってこのように書いてくださったかもしれないのですけれども、とっても嬉しいです。Sさん、ありがとうございます。
「だって好きなんだもん」について、いくつか、紙で読む良さをわたしなりにあげてみると、
・紙で読むのは目にやさしい(RGB光線を浴びながらモニターに向かう時とは違います)。
・電源不要、充電不要。
・パラパラと全体を俯瞰できる。
・コレクションする楽しみがある(後で読みたくなることがあるものです)。
・なんとなく、おちつく。
そんなわけで、雑誌と並行して出版している「さとびこブックス」も電子書籍は今のところ作らず、お金をかけて印刷しています。データではなくて「物質」ですので、邪魔な人にとっては邪魔かもしれまませんが(^^;)わたしにとっては我が子のように愛しいです。
だけどウェブも大切
このブログもウェブでお伝えしています。日々のこと、お知らせなどはウェブのほうが断然便利ですし、向いていますよね。また、デジタルといえども蓄積は可能ですので、(サーバー契約を続ける限りは)みなさんにアーカイブをお手軽に読んでいただけます。
ウェブで試読していただいたうえで、さとびが伝えたいさとびのこころ=さとびごころに共感してくださる方、応援しようと思ってくださる方がありましたら、是非さともだちになってくださいませ。
いつか、「ウェブ読みました」「さとび読んでますよ」とかいう会話ができたら、沁みるほど嬉しいのですけど(^^)。
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