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書く人にとことん寄り添い伴走するさとび。それを理解していただけたことが嬉しい。谷茂則さんの連載。


思えばずいぶん長い間、連載「十四代目林業家ドタバタイノベーション奮闘記」(通称ドタバタ)を続けてくださっている谷茂則さんが、フェイスブックで本サイトをシェアしてくださり、コメントをいただきました。ドタバタは2016年からの掲載です。

連載ドタバタのきっかけ

唐突ですが昔、『森は海の恋人』(※)の著者として知られる畠山重篤さんの講演を聞いたことは忘れられません。それまで地球環境危機の枠組みの中で森林破壊に関心を持っていたものの、もっと地元の森林のことを知らなくてはならないと思うきっかけになりました。まだ1990年代のことだったと思います。(その後畠山さんは、大変有名になられました。多くの人が心を動かされたことでしょう)

※「森は海の恋人」は、宮城県気仙沼市のカキの養殖漁業を営んでいた畠山重篤さんが、水質悪化の危機感を抱いて漁師仲間とともに山に植樹を始めた運動です。この運動は、上流から下流まで一体となって取り組むことで牡蠣の養殖漁場を守る必要があると訴えたもので、国際的にも評価されています。


地元の森林……奈良には吉野林業がある……でも、わからないことだらけ。インターネットもない時代、断片的に調べ、「山守制度」という言葉とも出会い、「吉野ダラー」という言葉も知り、「清光林業」という名称も知り、謎の吉野林業を少しづつ理解しはじめましたが、なんといっても存在感が遠すぎる。自分と縁がなさすぎる。

それから年月が流れて、さとびごころと関わるようになって以後「谷林業」という林業家は吉野の大規模山林所有者のひとつだと知りました。それでも、なんの縁もゆかりもありません。
しかし、2014年ごろだったでしょうか、チャイムの鳴る森や、奈良県で行われたあるセミナーに参加するなどのうちに、谷林業の谷茂則さんという方を知ることになります。そして、ある時・ある件で電話がかかってきたあたりから、わたしと谷さんとの交流が始まりました。自分からは、なかなかコンタクトをとりずらい(これは単にわたしの性格の問題笑!)立場の方でしたので、驚きながらもありがたかったです。「この人を通して奈良の森を見つめてみたい。伝えてみたい」。ただ、その頃、谷さんはまだ吉野林業という言葉は好きではなさそうでした。そして悩みを抱えていらっしゃるようでした。

話は少し戻りますが、畠山さんの講演を聞いた同じ日に、登壇されていたのが近自然河川工法の提唱者・福留修文さんで、わたしはそこで初めて「近自然」というコンセプトを知り、衝撃をうけていました。今のさとびをご覧になれば感じられると思うのですが、「自然に近い」「自然に近づく」を連呼するわたしがここから始まっています。近自然を求めていたからこそ、下記のできごとに大きく反応したのでした。

谷さんを通じて、奈良でも近自然森づくりが始まろうとしていることを知り、またまた衝撃を受けました。さらに当時谷林業の社員であった久住さんが近自然森づくりに関心を持ってくれそうだとかぎつけまして、久住さんに連載をお願いすることになりました。この連載は、今でも読み返したい記事として、このサイトでも公開しています。それが終了するのを前にして「谷さんも自分の足跡を残していきませんか」とお声かけしたのが「ドタバタ」のきっかけです。山守制度が崩れていく、広大な森林は忘れられていく、まさに谷さんは答えのない問いのただ中で、ドタバタと奮闘している人でした。それでいて、ひょうひょうと、堅苦しいだけの林業家ではない谷さんを表したくて、タイトルはすぐに決まりました。

谷さんのコメント転載

平成28年夏から足掛け8年にわたり、100年住み続けたい奈良のリトルプレスマガジン「さとびごころ」にて 十四代目林業家ドタバタイノベーション奮闘記というタイトルをいただき、連載をさせていただいております。大学を出てから、20年を超える期間向き合ってきた森林を抱えて生きることを徒然なるままに書かせていただいています。長い期間をかけて、現在第29回。やっとスタート地点がかすかに見える程度の進捗ですが、さとびごころの編集者阿南誠子さんには、長い期間伴走していただいています。(現在進行形)

さとびに書くことで、様々な波乱や困難を言葉にし、消化し、次に向かうことができるのですが、今も継続して挑戦の日々が続きます。阿南さんの伴走に温かく見守っていただき、今も挑戦できているなと思います。まきおこる出来事が、わりとヘビーな変化をともないますので、今回の原稿でやっと連載を始めた頃のことまで追い付いて来ました。

お時間ありましたら、読んでみてもらえたら嬉しいです。ぜひ、感想などももらえたら尚嬉しいです。ちなみにめちゃくちゃ長いです。



原稿ができるまで

多忙な谷さんですが、連載には熱心に取り組んでくださいました。原稿が届くと、まず読み、疑問点などを洗い出します。その確認をするために電話でうちあわせをし、話がついつい森づくりのことになり、長電話になることがしばしばでした。基本的にはわたしは聞き役で、それも取材のうちでもありましたが、「社会にも環境にも貢献するようなことがしたい」という意思を感じ、またその困難さもお聞きするなかで、うちあわせはわたしからの応援メッセージのような、または森林に対するあなんの思いなどをぶつける場もなっていきました。

 以前は、たまに鋭角な言葉を発してしまい、おわびを言うこともありました。そんな時も、柔軟に受けとめてくださり、より良い原稿になるよう、納得できるまでブラッシュアップされるんですよね。そんなこんなで、谷さんの活動や思いの変化をずっと見つめてきました。わたしの場合、まず聞き役をするのが得意(好き?)で、それに対してアイデアやアドバイアス、自分の(また編集部としての)コメントがあればそれも伝えて、いっしょに作り上げていくことが多いです。谷さんはそれを伴走というふうにおっしゃっているのかな。

自分の頭の中を自分で整理しようとするとなかなかうまくいかないときは、さとびこ編集室あなんがお役にたつかもしれません。実際、よく言われます(笑)。

そのドタバタがひとつの区切りを迎えようとしています。今年11月に陽楽の森を会場に開催されたツリーフラッグフェスは、その「区切りの始まり」的なものだったことでしょう。「まだまだ挑戦は続くんです」とおっしゃる谷さんのこれからを、連載のあるなしにかかわらず、そっと見せていただきます。

わたしが生きている間に、陽楽の森はどうなっていくでしょう。。。人間の都合が勝ってしまうか、人間と森が調和するのか、どんな価値観の人たちが集まる場所になっていくのか、ぜひ素敵なモデル事業になっていただきたいと思っています。


最新・第29回のドタバタは、来年1月10日発行のさとびvol.60に掲載されます。
発行と同時にオンラインショップに並びますので、よろしければご利用ください。

第1回 十四代目林業家ドタバタイノベーション奮闘記はこちら(谷さんのFB記事にあるものと同じです)







さとび連載

ドタバタ

原稿作りに伴走

吉野林業家

編集コンサル

谷 茂則

谷林業

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