この記事はさとびごころVOL.29 2017 springよりの転載となります。内容は掲載当時のものです。
なんとなく不調を感じるとき、薬や病院に頼る前に、自然の力や自然治癒力により安らぎや楽しさをもたらしながら癒すホームセラピーを提唱されているクレメンツかおりさんに、誰もが取り入れやすい自然療法について紹介していただきます。
春ですね。ミツマタや木蓮、土佐水木などの花が咲き、心も体も緩む季節。でも、この季節、花粉症の方にとってはつらい時期ですね。この世の敵のように言われる、嫌われ者のスギとヒノキですが、自然療法では立派な役割をしています。
最近は、お餅やおまんじゅうを載せて運ぶケースはプラスティックのものがほとんどですが、昔はスギの真ん中の部分を使って作った麹蓋(こうじぶた)という箱を使っていました。麹蓋につきたてのお餅を並べておくと、カビが生えにくく、長持ちして美味しく頂けます。それはスギの真ん中の赤い部分に香りをもつ精油成分が多く、それが抗菌、抗カビの役割をしてくれているからです。
お寿司やさんの鮮魚の下に敷いているヒノキの葉にも、香りのある精油成分があり、これに抗菌の働きをして、お魚を新鮮に保ってくれます。お魚をきれいに見せるためだけではないのですね。ヒノキのお風呂もまた、リラックスできたり、お湯がきれいに長持ちしたり。これもヒノキの精油成分の働きによるものです。
自然のものを使って食品を長持ちさせたり、虫やカビを防いだり、気持ちを安らかに整えたりと先人の知恵はすばらしいですよね。 便利な生活を手に入れた今、質の良い生活を失った気がします。
スギやヒノキ以外にもモミやコブシなど、木の香りは、α – ピネンという成分を持つ精油を多く含みます。森林浴で、ほっとリラックスしたり、スッ~と何かがぬけていくような感じは、実はアロマテラピー効果なのです。森でゆっくりする時間のない方はお家の中で、森林浴はいかがでしょうか? スギとヒノキ、じっくり見ると葉っぱに個性があって、お部屋に生けておくと空気が澄んでくるのを感じますよ。
【クレメンツかおり】
1984 年フランスでアロマテラピーに出合ったことをきっかけに、色彩心理療法、気功療法、クリスタルヒーリング、フィトテラピーなど様々な自然療法を学ぶ。自然療法士(ナチュロパス)養成校” 自然療法森の学校” では、アロマテラピーを中心に、薬膳療法、鉱物療法、日本の薬草療法などのセミナーも開講。
さとびごころVOL.29 2017 spring掲載