杉浦農園での田植えイベント「秋津穂の里プロジェクト」
杉浦農園の杉浦英二さんには、毎号連載「里山再生考察録」を書いていただいています。
杉浦さんたちは有志(あなんやさともどたちの戸上さんも紛れ込んでおります)でNPO法人さとやまからを設立され、今年からはNPOの主催として開催されました。
御所市、金剛山の山麓に広がる棚田。耕作放棄地が広がり続ける現実とはうらはらに、心が洗われるような美しい景色が、今はまだ残っています。ここに、毎年のように100人越えの人たちが集まり、地元の酒蔵油長酒造さんで醸造される風の森の原料米「秋津穂(お米の品種名)」を、みんなであえて手植えするイベントです。(このイベントに参加してくれた人たちが、再び草刈りに来ていただきたいというのが大事なので、よかったら苗の成長を見るためにもお運びくださいませ。水源地の棚田では除草剤を使いたくなかったというのがプロジェクトの理由です。人が草取りをする必要があります)
NHK奈良のニュースでも報じられたそうですので、またいっそうの人気が高まりそうです。イベントの詳細は、さとびが書くまでもないことでしょう。@gambafarm 杉浦さんのSNSや、ファンの方がたくさん投稿されていますので、ぜひご覧になってみてください。
このイベントが立ちあがってまもないころ、さとびは杉浦さんに出会いました。
あなんがさとびの発行人になるデビュー号、vol.32で奈良酒を特集しようと取材をしているとき、特集で全面的にお世話になった登酒店さまから、この取り組みのことを教えていただきました。
葛城山や金剛山の山麓線は大好きな道。でも、そんな取り組みがあるとは全く知りませんでした。
いざ、行ってみようとすると、なかなか見つけられなかった秋津穂の里のポイント。雪のちらつく寒い日。
初対面の杉浦さんはニット帽をかぶってあられわれ、棚田の畦道で立ち話して取材しました。
そのときの記事です。
この田植えイベントは、最初は風の森の取り扱いのあるお店関係者を対象として始まり、だからこそ登さんもご存知だったのです。一般も参加できるようになったとき、あなんも参加させていただきました。田植え、草取り、稲刈り、、、ひととおり経験してみて、どんどん集客が増えて行く様もみました。(ちなみに、このイベント以降、あなんは『マイ鎌』が欲しくなったのでした)
田植えイベントそのものは、いろんなところで行われていますが、どうしてこんなに大きくなったのでしょう。
杉浦さんの信念と努力。
人気酒風の森醸造元、油長酒造さまとのコラボ。
飲食店や酒店のネットワークから広がる「飲み友」への口コミ。
ランチやお酒のふるまいなど、魅力的なプログラム。
人手を多くし、2時間ほどで終わる未経験者にも負担の少ない田植え。
どれが欠けても、こんなに成長しなかったのではないでしょうか。
(さとびも、頑張って杉浦さんを掲載し続けまして、今は連載していただいるという流れです)
過去の杉浦さんのコラム連載1回からお読みいただけます
ご本人が語る杉浦農園の「誕生」から「道」が見えるまで
今年の田植えイベントの話にもどります。
オープニングでの杉浦さんの言葉
「あきらめかけたこともあった
酒蔵とみなさんに
背中をおされて…」
(動画)を、インスタグラムで投稿(2枚目)しております
あきらめかけるほどにやりきったとき、新しい展開が始まるのかもしれませんね。
……..
奈良のちいさな地域マガジン「さとびごころでは」毎号杉浦農園杉浦さんの胸の内を書いていただいています。里山再生のリアルタイムの物語をさとびで共有していただけましたら幸いです。
日本の里山を守る。いまひしひしとこの思いが広がることを願います。
次号は夏号、7月10日発行します。
今自然を守り、農を守り、日本を守り、地域でしあわせを創り出していこうとする動きが始まっているように思います。それこそ、さとびがずっと夢見てきた展開です。奈良では、こんな人がいますよ、こんな取り組みがありましたよ、そんな情報をお伝えし、同時多発的に人々の思いが目に見えないネットでつながっていき、秋津穂の里に限らず、さまざまな条件の違いを特色として、それぞれの地の里山再生にも人が集まるようになってほしいと願わずにはいられません。
秋津穂の里がNPO法人の主催になったのも、いち民間事業者のイベントにとどまらず、日本の里山を守っていくための事例になるためではないかと思うのです。そこには酒蔵とのコラボはないかもしれません。そこには、まだ誰も来てくれていないかもしれません。
実は、わたしがこの日、田植えではなく見学として行ったのには、この現場をリアルで見てほしい人たちと出会ったからでした。
大淀町に越部谷という場所があります。地元出身のUターンの方を中心に、越部谷を流れる川流域の農的環境を保全、再生する取り組みが始まっています。でも、まだスタートラインにたったばかり。今、いろんな事例に触れてほしいと思い、ご紹介しました。
これはひとつの例にすぎません。
さとびが(一人編集ということもあり)何でも取材できる体制があるわけでもございません。
それでも、自分が出会った縁ある人たちを通して、100年住み続けたい奈良をみなさんといっしょに考えたり共有できたりしたいと思っております。
さとびごころ、ご興味のある号だけでもいいですし、バックナンバーを通してお読みいただくのも大変面白い内容になってます。「さとびで読みましたよー」という言葉があちこちで聞こえてくるようなイメージをもって、みなさまからのお申し込みをお待ちしています。
(あああ、夏号を頑張らないと!)
これだけは知っておきたい奈良酒のこと、わかります!そろそろ在庫切れ間近。今のうちに、いかがでしょう。
さとびごころ vol.32(2018 winter) 特集「地酒で味わう奈良」
掲載の酒蔵
水と緑の恵に向き合い 風土が醸す味わいを追う蔵|千代酒造(御所市)
若き四代目が蔵元杜氏に 休蔵をくぐり抜け 山廃にこだわる蔵|大倉本家(香芝市)
「伝統ある樽酒を廃れさせたくない」念願を叶えて醸造を開始した蔵|長龍酒造広陵蔵(広陵町)
農家が無農薬で酒米をつくる|秋津穂の里プロジェクト(御所市)
執筆いただいたみなさま、ありがとうございました。
第2段も作りました
さとびごころ vol.44(2021.winter)特集 地酒で味わう奈良2
掲載の酒蔵
奈良の地酒とともに紡がれた小さな酒屋の大きな物語 登酒店(天理市)
「野生の思考」で 吉野の土地と風土に寄り添う蔵 美吉野醸造(吉野町)
「オレの酒」から「みんなの酒」へ 若き蔵杜氏へと継がれ守られた蔵 倉本酒造(奈良市)
システムエンジニアが蔵元杜氏に 廃業寸前から復活した蔵 福持酒造場(三重県名張市)
執筆いただいたみなさま、ありがとうございました。