この記事はさとびごころVOL.42 2020 summerよりの転載となります。内容は掲載当時のものです。
森林施業プランナー
昨年秋、ひょんなきっかけから平日の朝8時からの15分間、森林総合監理士を目指すスカイプ勉強会が始まった。当初数人で始めた勉強会も登録人数は25人を数え、毎朝10人を超える人が朝のラジオ代わりに聞いてくれている。早いもので9ヶ月目に突入。この間欠かさず継続することが出来たのは、関係してくれた参加者の熱意の賜物だ。毎朝の参加に感謝しつつ、一緒に目標に向かう心強さを感じながら一日を始めてきた。
チリも積もれば山となるで、毎日わずか15分の積上げは着実に学習成果をあげ、森林総合監理士テキストを読了し、森林総合監理士試験の7年分の過去問も一通り解き終えるところまできた。
勉強会は、下北山村役場の北直紀さんの助けを借りながら運営している。毎朝八時ぴったりにスカイプの通話ボタンを押すのも意外と大変だ。確実に実行していくためには、事前の準備も大切で、過去問をワープロで打ち直し、テーマごとに区分して、データで参加者に届けた。
15分間で解答を解説しなければいけないので、章ごとに先行して問題を解き、解説する担当を決めて各章に挑んだ。元森林組合職員の石丸慎吾さんを中心に、木材輸出事業に取り組む山中耕二郎さん、谷林業のサポーター堀田弘之さん、森の探偵事務所を営む高橋啓さん等の助けを借りた。折々には、オフ会と称した半日程度の勉強会を、オンラインから飛び出して顔をあわせて開催し、アイスブレイクを行ってきた。運営側と参加者で一緒に創り上げた貴重な9 ヶ月であったと思う。
森林総合監理士の勉強が一段落した時、その受験資格が厳しく、参加者のうち限られた人しか受験できないという現実にぶち当たった。せっかく勉強したのに受験出来ないとなると、いかにモチベーションを維持すれば良いのか。
ちょうどその頃、すでに申込の期限が過ぎていた森林施業プランナー試験がコロナウイルスの関連で延期される事を知った。森林施業プランナー試験なら受験資格がないので、参加者全員が受験できる。延期された試験日は9月6日。毎朝15分、森林施業プランナーテキストを継続して読めば、読み終えてしばらくしたら試験日が来る。
さらに森林施業プランナー試験は、一次試験を合格すると二次試験に至るまでに、集約化の実績を提出しなければならない。そこで初めて最終試験である二次試験を受験できる。その為には、実際に集約化するという実務をこなす必要がある。
時を同じくして、当管理協会が世話役を務める「吉野の森林所有者の有志が集う会」では、森林所有にまつわるそれぞれの課題を話しあっていた。そのうちに、人材育成、情報の共有化、施業の共同化が大切だという事になり、どこかで集約化のプロジェクトを一緒にやろうという機運が高まっている。
その中で、吉野郡川上村井戸地区の事業地で集約化施業を行っていこうという流れになった。勉強会メンバーの多くが関わっている下北山村でも同様の課題がある。さらに、集約化を推進する為の助成金にも巡りあった。これも何かの巡りあわせ。実習しながら実績を作るには、最適の機会に巡り合った。
森林施業プランナーテキストを読み、過去問を解くところまでを一緒にしようと、新たに皆が横一線に立ち、試験合格を目指す人も現れている。
物好きが始めた勉強会は、文明の利器の機能を活かしながら、いつか画期的な結果につながるのではないかという雰囲気を持ち始めている。
【森林施業プランナーとは?】事業体が森林所有者に代わって地域森林管理経営を行う提案型集約化施業において、中心的役割を担います。路網設計や間伐方法等の森林施業の方針、利用間伐等の施業の事業収支を示した施業提案書を作成し、それを森林所有者に提示して、集約化施業の提案と合意形成、利用間伐や木材販売等の業務の遂行と、コスト分析等を実施し得る専門的能力が求められます。(森林施業プランナー育成委員会HP をもとに編集部作成)
さとびごころVOL.42 2020 summer掲載