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PHOTO ESSAY これからの、これから No.07 応援歌

この記事はさとびごころVOL.45 2021 springよりの転載となります。内容は掲載当時のものです。

 

「休みが土日だけじゃ少ない」とぼやきながらも登校

 

 4歳で発達障害の診断をもらい、小学校2年生になった息子へ。

 夜の風呂場で息子イトと話す。イト「学校に行きたくない…」僕「なんでよ」イト「だってみんながうるさくするから先生に怒られる」僕「イトは静かにしてるの?」イト「うん」僕「自分に怒られる理由がないなら堂々としとけば?」イト「う~ん…でもさ」僕「いいよ、言ってみな」イト「ふんふんふ~ん♪」僕「…?」イト「ふふふーん♪」僕「なんで歌ってんの?」イト「丸(プロ野球選手)の応援歌!」僕「いまパパとお話ししてなかったっけ?」イト「あ、ごめん…えへへ」

 会話の途中で野球選手の応援歌を歌ってしまうほど野球が好きな息子は、当然野球がしたいようだ。個人プレーならまだしも、チームでのスポーツは厳しいのでは?

 普段の息子の言動をよく知る僕たち夫婦の見解は一致している。なにより夫婦そろって野球に一切興味がない。野球がしたいという息子に「練習時間めっちゃ長いねんで」と吹き込む。そういわれた息子が絶対にあきらめるであろうことは織り込み済みだ。チームスポーツでうまく溶け込めない息子の姿を想像するだけで胸が苦しくなるし、ひとりぼっちでオロオロする彼を見てきた。

 ある日息子を叱った妻がひどく落ち込んでいた。叱られた息子が向ける、自分への機嫌をうかがうような怯えた目線に気づいたからだ。「なにか間違っている」僕たち夫婦の見解は再度一致した。息子が経験するはずの失敗を、親が嫌がってそれをなかったことにしていた。叱ったり怒ったり説得したりは、まずはやってみてからでもいんじゃない?「野球、やってみたらいいと思う」妻の言葉で決心した。体験練習初日、会場に着いた途端「イトー!」と友達に囲まれている息子。「200㎞/hの球を投げた!」とのことで、ものすごく楽しかったそうだ。

 「テーテーテーン♪」風呂場に息子の歌うYMO のライディーンが響く。「なんで知ってんの!?」と聞くと「ん?応援歌」。あっそう。

さとびごころVOL.45 2021 spring掲載

文・都甲ユウタ(フォトグラファー)

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都甲ユウタ

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