畑活デビューガイドを特集したのは、vol.49。コロナで社会が揺れていた2021年の夏のことでした。さとびがリスペクトする羽間農園さんから、実に丁寧に親切に教わりました。
わたしもその前の年から畑と縁ができ、やっとこさ畑活デビューをしていたので、取材のひとつひとつが沁みるほどに面白かったです。
あの頃は、多くの人が在宅時間が増えて、自宅でベランダ栽培を始める人が増えていたようでした。その後、やめてしまった人もあろうかと思います。思ったよりうまくいかない、仕事が元通りになり面倒になった、育てるにしても何かとコストがかかる。。。など、やってみてわかることってあるものです。わたしも、何度もやってはめげ、やってはめげを繰り返してきたので、畑と縁ができたからには今度ばかりは継続したいと思ったものでした。
当時の様子をvol.49に中に書いていますので、お持ちの方はどうぞ。
そして、早いもので、今年で5回目の夏を迎えているわけです。5年も続けていれば、販売してお小遣いにしていてもおかしくないのですが、うちの場合はとてもとても、そんな、換金できるような作物はできません。でも、土とつながる深い喜びや安心感を得て、ポストコロナのほうがずっと豊かに暮らせていると実感しています。
もし、「畑活?いやいや、無理だったわ、、、」という方は、賢い消費者となって、自分にも自然にもいい食べものを買いませんか。あるいは、畑でなくても、コップで水栽培からでもなんでも、食べられる植物といっしょに暮らす楽しさ(お得さ)を味わう方法はいくらでもありますし、頑張らずにできることからトライしてみると、面白いですよ。
2024年夏現在の、頑張らない畑活だよりをお送りします。興味ある方、どうぞ。
特集のエッセイにあるようなやり方は今もほとんど変わっていません。この間に興味を持ったこと・調べたことは、有機栽培、自然栽培、菌ちゃん先生のやり方、協生農法、炭素循環農法、BLOF理論、大地の再生などなど。それらをもともとの知識(いつか畑活できる日を夢見て読んできた本など)を重ねあせて、あくまでも「自分が実行可能なこと」「借りている畑の環境や条件を考慮すること」「楽しいこと」を念頭において、結局は自分なりのやり方を見つけてきたように思います。
いくつか、マイルールに近いものが見えてきました。
畝について。
田んぼの跡地なので基本的には水浸しになります。野菜を育てても、根っこが水に浸かってしまうとうまく育たない。また、土壌菌も水に流れたり死んだりしますので、畝は必須です。土を盛るだけでなく、最初に草やもみがらくん炭、あれば木のチップや枯葉、それからコンポストなどを埋めると、野菜が元気に育つように感じます(本に書かれていることは参考であって、自分がそう感じるかどうか、観察と感覚が大事だと思う)。
土を肥やすには。
農薬はもちろん肥料もなるべく使いたくないのです(自分にやさしく土にやさしくお財布にやさしくのため)。でも、やせた土のままで「自然」に野菜が育つわけではないことは実感できました。肥沃さのためには、化学肥料、有機肥料、堆肥などが考えられますけど、わたしの場合は、なるべく家や畑のまわりで調達できるものを使います。なぜ土が豊かになるのか。それはやっぱり、菌ちゃんに元気になってもらうことにつきます。菌の活動という自然の現象に便乗する形で野菜の栄養をいただくわけです。そのためにも、(菌の棲家となるという)炭だけは、入れたくて。でも作れなくて。今のところ購入です。
炭素(草、葉、枝など)は、たっぷり入れるほうがいい。太いものは2年後3年後のため、葉っぱは今シーズンのため。
不耕起について。
はじめて畝を作るときは耕します。畝を修理するときも、耕します。でも、トラクターは初年度だけ。深く激しく耕すことは、やめました。なんだか、菌のネットワークをご破産にしてしまう気がするんです。ですから、耕すといってもクワで、人力で。ということは浅く、混ぜる程度しかできませず、それでいいんだと思います。クワは上等なのを買ったので、とっても気持ちよく使えます(草もスパスパ)!2年目に作った畝を今もずっと使用中。がんばらない畑活は、不耕起のおかげといえるかも。
雑草について。
梅雨あけの雑草の伸びったら、すごい!というのは、畑活をしてみてよくわかりました。農業をしている人は、「あれ?ここ、刈ったよな????」と思うほどに伸びるとおっしゃいます。
これが今のわたしにとっては、もはやウェルカムなんです。大面積であれば仮払い機が必要ですが、畑周り程度なら鎌でいい、いや、鎌がいい。クワもいい。小回りがきき、電気もオイルもいらない。運動になる。マルチの材料になる。食用にもなる(知識必要)。そして土に近づけるのが好き。いいことずくめ。
ただし、真夏の草刈りは熱中症の危険があるため、作業は夜明けから早朝限定です。
「雑草を敵にしない」とは、かの川口由一さんのお言葉。だからといって、ほったらかしにするだけでは、たちまち野菜が雑草に埋もれ、光合成できなくなり、負けて、育ちません。これ、今年(別の場所で借りた畑にて)ほんとうに体験したので、実感ありあり。敵にしないとは、雑草ありがとう!なんて言って、ありがたく使わせてもらうという意味ではないでしょうか。
草刈りと草マルチ
畑周りの草は、刈ってその場に置いておくと数日で枯れてきて、見つけやすい。この枯れた草を集めて草マルチにします。畝の中の草は、地際から、少し高め(3センチくらいかな)を刈るようになりました。
というのは、ですよ。
草マルチというものは、夏はすぐに分解され、消えちゃうんです(腐食になる前に水と二酸化炭素になる感じ)。すると土が露出。雨や日照りが直撃して、野菜にやさしくない。少々の草マルチで土を裸にするくらいなら、生きた雑草でマルチしておこうというのがわたし流。もちろん刈った草もその場に敷きます。
畝の雑草が伸び切るまでには、また畑にくるので、その時また同じように繰り返し、刈っては敷き、刈っては敷くのです。かわいい花は残したり。食べられる草は収穫したり。地生えしてきた野菜を発見したり。畝の草刈りは楽しいですよ。
ただ、この程度では足りません。そこで周囲の草刈りをしたものをたっぷり集めて載せるんですよ。どんなに載せてもしゅーーーっと減りますから。こうしてくりかえすうちに、下のほうの草が腐食化してくれます(ほんのわずかずつ)。草マルチをどけてみると、5年めの畑の土はしっとりしていて、いわゆる団粒化?らしきことになっているようです。
草がたっぷり欲しいから、草刈りは歓迎。これが苦痛に感じるときが、わたしにとって広すぎる畑なんだと思います。
マルチは雑草に限らず、もみがらや藁なども使います。ビニールマルチは否定はしていないのですけど(使用後にちゃんと処理すること前提)、個人的には見た目が残念なので、あまり使いません。
最近の楽しみは自生えくん。
vol.49の取材中、羽間さんが強調されていたことは「種をトル」ということ。また、他の情報からしても、その地で生まれ育った野菜の種は、その地に合うようになっていくとのことで、自然栽培をするのであれば必須らしいです。わたしは「なるべく」レベルなので苗も購入しますが、期せずして芽生える自生えくんと遭遇することがあり、嬉しくなって育てます。
うっかり草刈りしてしまわないように!が大事です。「これ野菜やん!」と識別できるようになった自分を褒めてあげたい。
今年の自生えくんは、青シソ、赤シソは定番で、ピーナッツ、ディル、オクラ、コンポストからなのか?かぼちゃ、野菜ではないけどコスモス。番外編として、芽かきしたトマトを土にさしておいたら順調に育っている件。
育てようと思うとうまくいかないのに、自生えくんは元気です。人も、自ら能動的に取り組むほうがいいパーフォーマンスできますものね。
長くなりました。お読みくださり、ありがとうございます。
畑活デビューガイドの号は、こちらからお求めになれます。古くならないバックナンバー。もう残り少なくなってきました。羽間さんのお言葉、どれも沁みますよ。