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GOMIGEN ─ごみ減量─ 最前線 #14 生ごみ資源化の先進地・志布志市

この記事はさとびごころVOL.49 2022 springよりの転載となります。内容は掲載当時のものです。

 

リデュース(そもそも減らす)、リユース(もう一度使う)、リサイクル(資源化する)、etc…

ごみを減らす面白い取り組みを、全国からみつけてお届けします。ゴミ減、GO!

サンサンひまわりプラン(有限会社そおリサイクルセンターHP より)

焼却施設のないまち

 皆さんは、リサイクル率が日本一高い市はどこかご存じですか。正解は鹿児島県志布志市。なんと15年連続の1位です(町村を含めると日本一はお隣の大崎町)。2019年度の全国平均が19・6%なのに対して、志布志市は3倍以上の75・1%。

 なぜこんなに高いかというと、まず焼却施設を持たないことが挙げられます。資源化できないごみは埋立処分とするので、できる限り埋立量を減らすため徹底した分別・資源化を進めています。なかでも、2005年度から市内全域で生ごみの分別回収・堆肥化を行っているのが大きいでしょう。

 もう一つ特筆されるのは、衛生自治会という全戸加入の組織があること。ここと行政が連携して、まちぐるみでごみ減量を進めています。各地域の衛生自治会では、市職員を講師に招いて頻繁に環境学習会を開催。私も一度おじゃましたことがありますが、近所の主婦たちが自家製のお漬物やお菓子を会場の公民館に持ち込んで、学習会というより車座になっての懇談会というくつろいだ雰囲気だったのが印象に残っています。

サンサンひまわりプラン

 生ごみについては、週3回の収集です。各ステーションに設置された専用バケツに、各家庭からの生ごみを投入するのですが、バケツにはおがくずが入っているのがポイント。おがくずが水分を吸収し、腐敗を防いでくれます。バケツごと収集し、委託先の民間事業者(そおリサイクルセンター松山有機工場)へ。ここで、別途分別回収した剪定枝や戻し堆肥(畜産で出る糞尿混合物を発酵させたもの)と一緒にして撹拌し、切り返しや散水などの工程を繰り返した後に熟成させます。季節にもよりますが、約4か月半で「循ちゃん堆肥」と名づける完熟堆肥ができ上がります。

 志布志市では、この堆肥を活用して「サンサンひまわりプラン」という資源循環の仕組みをつくっています。「菜の花プロジェクト」のひまわり版です。循ちゃん堆肥を畑に入れてひまわりを栽培し、花を楽しんだ後は種を収穫して搾り、食用のひまわり油を製造します。また、循ちゃん堆肥でつくった野菜を学校給食で提供。調理くずなどは回収して堆肥に戻すという、学校を舞台とする循環もできています。

 こうして全市的な生ごみリサイクルの体制が確立されている志布志市ですが、基本的には自家処理を推奨しています。それが難しい場合は分別して出してくださいというスタンス。収集や堆肥化の過程でも新たなエネルギーを使い二酸化炭素を排出するので、できる限り環境負荷がかからないように各家庭で生ごみ堆肥をつくることを勧めているのです。

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さとびごころVOL.49 2022 spring掲載

文・北井 弘(ごみ減量ネットワーク主宰)

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さとびごころ連載

北井 弘

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