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季節によりそう暮らしと食養生 4 ─春─ 菜食ごはん 休日ダイヤ 三瓶歌奈子

この記事はさとびごころVOL.45 2021 springよりの転載となります。内容は掲載当時のものです。

いよいよ春本番になってきましたね。毎年この時期になると、我が家の横にある樒の木には、ウグイスがやって来て、朝の目覚めに彩りを添えてくれます。

 春告鳥とも呼ばれるだけあって、ああ、やっと春がきたなぁと感じるひとときです。

ウイルスがもたらしたもの

 早いもので、未曾有のウイルスが私たちの日常に変化をもたらしてから1年が経ちました。

 まだまだマスクも常に携帯しなくてはならず、不穏な状況が続いていますが、山の中の小さな集落での暮らしは、都会と比べるとのどかなもので、家に長くいるようになったことで、ずっとやりたかったことをようやく始めることが出来ました。

ニホンミツバチとの共生を目指して

 ひとつめが、ニホンミツバチの巣箱の設置です。昨年の春、友人や近所の養蜂家に教わりながら、木材で巣箱を作り、家の周辺に3つの巣箱を設置しました。

 ニホンミツバチにはひとつの巣に新しい女王蜂が誕生すると、母女王蜂が新しい巣を作るために引越しをする「分蜂」と呼ばれる習性があります。

 この時期を狙って、巣箱を設置し、蜂を誘引するフェロモンを放つキンリョウヘンというラン科の花を元にした誘引剤を置いて、あとは蜂たちの意思に任せて待つだけ。

 現在では、農薬の影響や自然林の減少により、絶滅の危機にあるニホンミツバチですが、植林だらけのこの吉野の山でも、確実に生息していることを知って、彼らと共に暮らしてみたい、と思うようになりました。

 古代から森や動物、人々の営みを育んでくれているニホンミツバチが安心して生きられる環境を取り戻し、共生していきたい。そのためにまずは自分ができる小さな第一歩から。昨年は残念ながら、巣箱をお気に召してもらえなかったようなので、今年こそは!と期待して待つ日々です。

ぼちぼちでいい

 ふたつめはご近所さんに借りて始めた畑です。化成肥料は使わず、無農薬の米糠からボカシ肥料を作り、出来るだけ種から栽培しています。

 市販の苗は手軽ですが、その殆どが「F 1種」という遺伝子操作されて作り出されたもの。発芽や生育が揃いやすく、収穫が容易というメリットはありますが、その性質は一代限りのもので、毎年新たに苗を買わなければなりません。その苗自体も連作障害を避けるために、消毒された種子や土壌で生育されるそうです。

 それに対して、自家採種によって受け継がれた「固定種」や「在来種」と呼ばれる種は、個体差や生育速度にバラツキはあるものの、代を追うごとに土地に適応していく強さを持ち、味や栄養面でもF1種を上回ります。

 今はまだ、固定種の種を買うところからのスタートですが、ゆくゆくは自家採種で種をつないでいきたいと思っています。

 畑の土に触れていると、何だか身体が浄化されるような、とても穏やかな気持ちになれます。そして、まだまだ駆け出しで慣れない畑作業をしている私に、ご近所のベテランの方々はいつも「ぼちぼちやんなさいよ」と声をかけてくれます。

 「頑張る」という言葉は、響きも字画もなんだかガチガチに力が入ってしまう感じだけれど、「ぼちぼちやる」というのは、肩の力が抜けて気持ちがふわっと軽くなるいい言葉だなぁ、といつも思います。今年も無理せず、ぼちぼちでやっていこうと思います。

・・・ 春のおすすめ食養レシピ・・・

ブロッコリーとわかめの塩麹ナムル

〈分量〉2 人分
ブロッコリ 150g
わかめ(生) 15g
松の実(ロースト) お好みの量
醤油 小さじ1
塩麹 小さじ1
ごま油 小さじ1/2〜1
すりごま お好みの量
にんにく(すりおろし)お好みの量
糸唐辛子 適宜
〈作り方〉
1. 松の実はオーブン160℃で5分ローストする。
2. わかめは洗って水気を切り、一口大にする。
3. ブロッコリを小房に分けて茹で、ザルで自然に冷ます。
4. 水気を絞ったあと、醤油(分量外)を回しかけ、少し置いてから
水気を絞る。(醤油洗い)
5. ボウルに1、2、4 を合わせ、調味料で味付けし、にんにくとすり
ごまを和える。
6. 糸唐辛子を飾る。
きちんと水気を絞ることで味が入りやすくなりますので丁寧に。
他の青菜でも美味しくできます。

春の養生

 春はすべての生物が活動を始める季節。新陳代謝が活発になり、冬の間に溜まった老廃物を排出する季節でもあります。それが血液中に流れ出すことによって春には様々な不調が起こりやすくなります。

 汚れた血液をキレイにするのは肝臓の役目ですが、肝臓の働きが悪くなると、循環が滞り、自律神経の乱れに繋がります。

 目が乾く、筋肉がつる、不眠、イライラする、お腹が張るなどの症状も肝臓の働きの低下によるもの。

 ストレスや、過労、目の使い過ぎや白砂糖、油ものの取りすぎなどは肝臓に負担をかけますので注意しましょう。

 肝臓の働きを促すのは菜花、小松菜、春菊などの緑黄色野菜や野草、山菜などです。

 特にこの時期だけのヨモギやふき、筍、たらの芽などの野草の苦味は、陽気に誘われて過剰になるエネルギーを抑えたり、毒素を排出してくれる効果があります。

 また、天然醸造の味噌や梅干し、柑橘類の酸味も油を分解し、肝臓の食薬となります。この時期だけの美味しい野山の恵みを、ぜひ逃さず味わってください。

さとびごころVOL.45 2021 spring 掲載

筆者プロフィール さんぺい・かなこ

宇陀市にて穀物菜食の店「菜食ごはん 休日ダイヤ」を運営ののち、2020年4月より食養アドバイザー、ケータリング等の活動をはじめる。

菜食ごはん 休日ダイヤ

facebook https://www.facebook.com/qjitsudaiya/

Instagram https://www.instagram.com/q_jitsu_daiya/

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