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季節によりそう暮らしと食養生 5 ─夏─ 菜食ごはん 休日ダイヤ 三瓶歌奈子

この記事はさとびごころVOL.46 2021 summerよりの転載となります。内容は掲載当時のものです。

 この原稿を書いている今は梅雨の真っ盛り。深い山合いにある東吉野村では、ひと雨ごとに緑が濃くなり、時にはその濃密さに息苦しさを感じるほどです。

 以前は、ありとあらゆるものにカビが生え、鉄鍋や包丁すら錆びてしまうこの時期は憂鬱でしかありませんでしたが、畑を始めてからは、作物を潤してくれる恵みの雨と感謝できるようになりました。

 5月の連休明けに植えた夏野菜も少しずつ採れ始めてきています。

梅雨の養生

 じめじめした湿気によって身体に病のもとになる『湿邪』が入り込むと、血液やリンパなどの水分の流れが滞り、体が重く感じ、だるさやむくみ、下痢や消化不良が起こりやすくなります。

 なまものや冷たい食べ物、水分の取りすぎには注意して、利水作用のある瓜類、黒豆、小豆、はと麦などを食事にうまく取り入れましょう。

 生姜やねぎ、しそや唐辛子などの香味野菜をうまく組み合わせると、湿邪を排出する手助けをしてくれます。

 また、この時期は無性に甘いものを欲することがありますが、お菓子や果物よりも、お米やいも類、なつめなどの自然な甘みを楽しむように心がけましょう。

1年分の梅仕事

 梅の季節になると毎年、我が家は完熟梅の甘い香りで満たされます。

 今年は、友人に頂いた梅で梅干し12㎏に梅シロップ、梅味噌、梅肉エキスを仕込むことができました。青梅の水分を絞り、時間をかけてコトコト煮込んで作る梅肉エキスにはとても強い抗菌作用があるそうなので、最近は毎日飲むお白湯に少しずつ溶かして飲んでいます。

 今年初めて仕込んだので、上手く水分を分けることができず、ちょっと失敗してしまったけれど、その分たくさん出来ました。

 1年分の梅仕事、完成まではまだしばらくかかるけれど、ひとまず今年も無事に仕込むことができてホッとしています。

・・・ 夏のおすすめ食養レシピ・・・

梅冷や汁

・・・ 夏のおすすめ食養レシピ・・・
〈分量〉2 人分
味噌 50g
出汁 400cc
ごはん(冷ましたもの)300g
きゅうり 1 本
豆富 1/2 丁
梅干し 1〜2 個
〈作り方〉
1. 豆富はザルで軽く水切り、きゅうりは塩もみしてしばらく
置いてから小口切り、青しそ、みょうがは千切り、ミニト
マトは縦に4等分する。梅干しは種をとってから、包丁で
叩いてごま油であえておく。
2. アルミホイルに油(分量外)を塗って味噌を広げて、オー
ブントースター等で軽く焦げ目がつくくらい焼く。(すり鉢
で味噌をすって、コンロの上で逆さまにして焼いても良い。)
3. 2を器に入れ、出汁を少しずつかき混ぜながら加える。
4. 3にごはんと豆富を崩しながら入れ、軽くまぜあわせてか
ら、きゅうり、トマト、たたいた梅、薬味類をのせて頂く。
鯵を入れて作る宮崎県の郷土料理ですが、天然醸造のお味
噌を使えば動物性なしでも美味しくできます。真夏は冷蔵
庫で冷やしたり、氷を入れて食べることもありますが、あ
まり冷やしすぎない方が身体には優しいです。

野草のちから

 この春から庭や畑の草刈りを兼ねて、いろいろな野草を干して野草茶を作り始めました。

 カフェインが入った緑茶や紅茶、コーヒーがだんだん身体に合わなくなり、三年番茶やハーブティーを飲むことが多くなってきたことがきっかけでしたが、古代から日本の土地に自生し続けている野草の力は知れば知るほど、その効果に驚かされます。

 よもぎは、何にでもよく効く「ハーブの女王」と呼ばれ、日本だけでなく世界中で万能薬として使われてきたそうです。

 特に血流を改善する効果に優れ、神経痛や婦人科系疾患、冷え性改善などに抜群の効果を発揮するそうです。

 そして、ちょうど梅雨時に白い花を咲かせるどくだみには、循環機能を上げ、解熱や解毒、消炎などの効果があります。

 繁殖力が旺盛なすぎなは、その生命力が弱った身体にエネルギーを与え、腎臓や肝臓の機能を上げてくれます。

 刈っても刈ってもどんどん生えてくる厄介な雑草というイメージですが、このような効果を知れば、刈ってただ放置するのは勿体無いような気がしてくるから不思議です。

 いろんな野草茶を日々の自分の状態に合わせて組み合わせて飲み続けることで、自分の身体にどんな変化が起こるか、とても楽しみです。

薬に頼らない生活

 びわは西洋医学の普及するはるか昔から、自然療法に用いられ、がんや糖尿病、高血圧、肝臓病その他の治療が難しいとされる病気に使用されてきました。

 我が家では、薬箱の中に入っているのは、包帯や絆創膏などの外傷用とお灸だけで、あとはほとんどびわの葉エキス頼り。

 以前、歯が痛くて夜、眠れなかった時もびわの葉エキスを口に含んでいる間は、嘘のように痛みがなくなりましたし、指の傷が化膿して腫れ上がった時もびわの葉エキスをガーゼに含んで患部に巻いていたので、治りが早かったように思います。

 作り方はいたって簡単で、よく洗って水気を拭き取ったびわの葉を細かく切って、35度の玄米焼酎に漬け込み、2か月半~4か月の間、冷暗所で寝かせるだけ。水で薄めて飲用すれば、疲労回復や胃のもたれにも効果があり、化粧水としても使えるまさに万能薬のできあがりです。

 このような自然療法では、同時に内臓の手当てをすることも非常に重要だと考えますので、動物性食品や添加物、甘いものや刺激物を控え、玄米菜食を中心とした食生活を送ることも大事です。

 できる限り薬に頼らず、普段の生活から自然の持つちからを取り入れることで、健康な身体を維持していきたいものですね。

さとびごころVOL.46 2021 summer 掲載

筆者プロフィール さんぺい・かなこ

宇陀市にて穀物菜食の店「菜食ごはん 休日ダイヤ」を運営ののち、2020年4月より食養アドバイザー、ケータリング等の活動をはじめる。

菜食ごはん 休日ダイヤ

facebook https://www.facebook.com/qjitsudaiya/

Instagram https://www.instagram.com/q_jitsu_daiya/

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