この記事はさとびごころVOL.37 2019 springよりの転載となります。内容は掲載当時のものです。
こんにちは。今日もおみそ汁飲んでます、愛菌家のみなみです。今回のお題は「味噌」。味噌とは、蒸すかゆでるかした大豆を潰し、麹と塩を加えて発酵・熟成させた、日本独自の発酵食品です。日本各地に郷土に根付いた様々な味噌が存在しますが、原料となる麹の違いで米みそ(米麹)、麦みそ(麦麹)、豆みそ(豆麹)に大別されます。
大陸から味噌の原型が伝わって以来1300 年余り。健康長寿で有名な日本人の食の原点は「ごはん・みそ汁・野菜のおかず(漬け物)」を基本とした「一汁一菜」でした。米を主食とする日本人にとって、大豆を主原料とする味噌は良質なタンパク源であり、「ごはんとみそ汁」の組み合わせが理に適ったものであることを先人たちは経験的に知っていました。今日、日本国内のみならず世界的にも食の欧米化が進み、それに伴う様々な健康問題が山積する中、日本の伝統的な「和食」に世界が注目しています。日本の誇る優れた発酵食品である味噌は、その味わいや調味料としての万能性だけでなく、機能性食品としての働きも期待されています。(例:ガン・脳卒中・高血圧抑制、老化・動脈硬化・骨粗鬆症予防、抗アレルギー・放射性物質除去作用…)
さて、冬に仕込むイメージのある味噌ですが、実は年中仕込めます(笑)。ただ冬は、新大豆が出回ることと空気中の雑菌が少ないこと、それと農閑期に当るので色々と都合が良かったんですね。さすがに夏の仕込みはおすすめしませんが、まだ間に合う☆春みそ仕込みがおすすめです。
材料は大豆500g、米麹(生)500g、塩220g 、それと好きなお味噌200gくらい。これで出来上がり約2kgのスタンダードな米みそになります。
作り方は簡単、大豆を柔らかくなるまで煮て、潰して、塩と麹を混ぜたものとよく混ぜ合わせ、容器に仕込むだけ。最後にカビ予防のおまじないに好きなお味噌を表面に蓋をするように塗ったら、あとは秋まで寝かすだけ。簡単でしょ? もちろんもっと寝かせてもオッケー。味噌は腐りませんから。
一度自分で作った味噌を食べると、「手前みそ」の意味がよく分かります。やっぱり、手づくりのもの、自分の常在菌の入った発酵食品はしっくりきて、身体に「おいしい」。自分で作った味噌のおみそ汁、おいしくないわけがありませんよね。季節の変わり目、体調が優れない時、ほっとしたい時…おいしいお味噌をお湯で溶いただけでもいいのです。
一日一杯のおみそ汁習慣、これ、本当におすすめです◎
さとびごころVOL.37 2019 spring掲載
文・渡部みなみ
東京農業大学短大醸造学科出身。ライフワークとして「発酵ワークショップ」を随時開催。