この記事はさとびごころVOL.22 2015 summerよりの転載となります。内容は掲載当時のものです。
今、わたしと古道具たちとの関係に変化がおこっています。
といっても
わたしが心ひかれるものは
庶民たちが暮らしの道具として
とことん使いこまれた「生活骨董」であることに変わりはありません。
以前は
「販売する商品」としての見方が強かった頃がありました。
古道具の販売をしているのですから当然のことです。
しかし、今のわたしは
「日々の暮らしを大切に」の想いが
前にもまして強く深くなってきて
「販売する商品」である前に
「暮らしの一部」になり
ずっとそばにあってほしいものになっているのです。
わたしはすべてのものには
魂が宿っていると本気で信じていて
(そんな風に思えるいくつかのできごと があったからなのですがそのことはまた改めて)。
今、そばにいてくれる古い道具たちと、
わたしを通してご縁を頂ける方との橋渡しをさせて頂くことも
自分の役割だとも思いますが
やってきたその時からわたし自身とご縁があるのだから
それならばずっとそばにいたらいいよと思えてくるのです。
現代の暮らしは
作られて捨てられる大量消費の流れのなかにあり
エイジング加工を施して
新しいものを古くみせる技法で
ものを作り出す時代にもなってきました。
わざわざ古く「お化粧」をしなくても
本当に古い「すっぴん」のままでも十分素敵。
むしろそっちの方が断然美しい。
ガラクタの山のなかで埋もれてしまう前に
何かに使えないかなって考えてあげることで
「ものたち」はそれだけで喜ぶと思うのです。
「捨てられそうなものを今の暮らしにもういちど。」
わたしにできることは
ちいさなことで限りがありますが
おひとり おひとりの心の中にも
ちいさくてもおなじ気持ちが灯れば
おおきな光になるのではないかな
そんな風に信じています。
さとびごころVOL.22 2015 summer掲載