この記事はさとびごころVOL.44 2021 winterよりの転載となります。内容は掲載当時のものです。
昨年この愛菌家コラムを連載中に、結婚して母となった草野みなみちゃんによる、愛菌子育ての実況中継です。子育ての終わった方には懐かしさを、今まさに子育て中の人には愛菌ライフのエッセンスをお楽しみいただけます。(編集部)
こんにちは。愛菌母ちゃんも板についてきました、みなみです。愛菌赤ちゃんは9ヶ月になり、赤ちゃんらしくよく笑いよく泣き、常に新しい刺激を求めて動き回っています。あっという間に歯まで生えてきて、目下愛菌父ちゃんとふたり「うちの子、今が一番かわいい!!(生まれてからずっと言ってる。笑)」と親バカも日々更新中です。
相変わらずお湯シャン石けん無し・布おむつ・完全母乳・ノーワクチンの育児ですが、今のところ何も問題無くすくすく元気に育ってくれています。
離乳食も進めていて、主食はわたしたち夫婦が食べる発芽玄米ごはんをお粥に炊いてすり鉢ですったものを基本に。おかずには湯がいた大根菜や自家製納豆、しらす干しや根菜の味噌汁なども。好物は焼き芋と海苔で、服や顔をべたべたにしながら手づかみでもぐもぐもぐもぐ。塩抜きした人参のぬか漬けをおしゃぶり代わりにちゅぱちゅぱするのもお気に入りです。
夜は一緒の布団で毎晩9時頃から翌朝の8時頃までよく寝てくれますが、母乳で消化が早くてお腹が空くのか0 時・3 時・6 時頃と3 時間ごとに規則正しく起きて泣くので、まずは枕元に用意したおまるに乗せておしっこをさせ、濡れていたら布おむつを替え(ここまでぎゃん泣き)、添い乳でおっぱいをあげながら寝かし付けます(すやすや) × 毎晩3 回。夜中起きることには慣れましたが、冬の寒さがちとつらい季節ではあります。玄米食の為かうんちは少々固めで、ほぼ毎朝寝起きのトイレで出してくれますし、たま~に布おむつにしてしまっても固めなのでぽろっと取れてトイレに流せて便利です( 笑)。
ところでわたしは妊娠中から、だんなさん(もうすぐ自然農の研修を終えて村へ移り住む予定)のアパートと村の自宅とを車で2時間かけて行き来しています。
2拠点生活をしながら、村と街の暮らしを経験してみると、特に街ではこの新型コロナウイルス感染症に関連してますます生きづらくなってきたなと感じます。規模にもよりますが、村(田舎)ではそもそもお店や人口自体が少なく密な環境にならず、自給できる食料(野菜や加工品)などもあるため生活に大きな変化は感じません。しかし街(都会)での生活は消費活動が前提であり、宅配や通販でも使わない限り、大勢の知らない人が行き交う街中へ買い出しに行かなくてはなりません。その度に店舗入り口に置いてあるアルコール消毒液をシュッ、シュッ…。
わたしが一愛菌家としてお伝えしたいことは、殺菌・消毒活動の弊害です。新型コロナウイルスの感染拡大防止という共通認識の下、殺菌・消毒は確かに必要な場合もあるでしょう。難しい問題ですが、ただ、殺菌・消毒= 100%良いこと、では無い。ということも知っておいて欲しいのです。
わたしたちの身体は自分だけの物ではなく、体内外の数百~数千兆にもおよぶ人体常在細菌と共有することで初めて成り立っています。わたし=わたしの身体+ 常在細菌であり、殺菌・消毒活動の目指す無菌状態とは自然界ではあり得ない、全く不自然な状態です。殺菌・消毒活動の影響を受けるのは新型コロナウイルスや人間に悪いことをする細菌ばかりではありません。日頃お世話になっている自身の常在細菌も悪影響を受けていることを念頭に置き、盲目的に殺菌・消毒活動を行うのではなく、自身の判断で本当に必要な場合のみ行って欲しいと思います。
うちの愛菌赤ちゃんは人見知りも始まり、よその人に抱っこされると泣く様になってきました。それでも幼い内にできるだけたくさんの人に抱いてもらい、できるだけたくさん自然に触れさせ、できるだけたくさんの常在菌に接することが、この子の一生涯の健康に関わる腸内細菌叢(腸内フローラ)の健全な形成に欠かせないことは確かなのです。今日もかわいい我が子を泣かせながら(笑)みなさんに抱っこしてもらう愛菌母ちゃんです。
さとびごころVOL.44 2021 winter掲載
文・草野みなみ
東京農業大学短大醸造学科出身。ライフワークとして「発酵ワークショップ」を随時開催。