さとびごころでは、vol.51に「炭はサーキュレーション」という特集をした中で、小さくですが4パーミルイニシアチブというものを紹介しました。
4パーミル・イニシアチブとは、世界の土壌の表層の炭素量を年間0.4%(4パーミル)増加させることで、人間の経済活動によって発生する大気中の二酸化炭素を実質ゼロにすることができるという考え方に基づく国際的な取り組みになります。日本の都道府県としては山梨県が2020年4月にはじめて参加し、果樹産地である山梨県の特徴を活かした取り組みを実践しようとしています。(農林水産省HP)
※世界中の土壌の表層30から40センチの量とは、約9000億トンだそうです。ピンときませんけども。
※人類の排出量は年約43億トンだそうです。
※理論上はそうでも、実際にとなると完全な実現は難しいそうです。
地球温暖化防止を考えるうえで、太陽光発電だけでない可能性として炭には注目したいところ。でも、「世界」や「人類」のレベルの話になると、われわれ一般の生活者は遠過ぎて、ピンとこないですよね。
「土壌の炭素量を増加させるって、つまりどういうことか」
それはつまり、こういうことですね。木(植物)は成長するときに二酸化炭素を吸収しています。それを燃やしてしまうと元通り吐き出します。出入はチャラなので、カーボンニュートラルではありますが、燃やす時にせっかく貯蔵していたCO2が空気中に出てしまう、ということは言えます。それを、燃やすのではなくて燻す=炭の状態にとどめておくと、それだけCO2を貯めておけるということです。
山梨県さんのYouTubeよりお借りしておりますhttps://www.youtube.com/watch?v=ZxgUTwVcYwI
※木はほうっておくと腐って分解されて、最後は消えますが、そのときも燃やしたのと同様CO2は出ていきます。
(畑活でいうと、草マルチの草も、土になる量よりも分解されて水と二酸化炭素になるほうが多いんじゃないでしょうか。だから土と混ぜて、消える手前の状態「腐植」にすると堆肥になるんですよね。てことは、堆肥もなかなか、いいんじゃないですかしら。)
炭を土に入れるのはいいことだ!ということは認識できます。それも、上記にあるように「理論上はそう、実際は困難」というくらい難しいのではれば、入れても入れても足りないでしょうから、入れ過ぎを気にせずどんどん入れても大丈夫ということで、いですか?
「土壌に炭を入れると、土にとってどうなのか」
仮に、木や枝をどんどん炭にして、土に入れたとして、何か副作用はあるのでしょうか。CO2排出を減らせても、土によくない効果があるとしたら、困りますね。
炭の特徴は、分解しないっていうことです。ですから、キャンプ場などでは地面で焚き火をしないでくださいって言われます。かならず焚き火台を使ってくださいと。地面が炭化すると、いつまでたってもそのまま。キャンプ場がおごげだらけになる。これはよくないことでしょう。
でも、農地で炭を土に入れるのは「土壌改良効果」があります。炭は、見た目からは想像もつかないくらい多孔質で、そこに見えない菌たちが住みついてくれることによって、土が肥沃になります。(土の肥沃さというのは、結局のところ微生物や菌がどれだけたくさんいるかどうかということに関わってきます。あとは水や空気とのバランス。ですから、科学農薬などで命を全部死滅させてしまうと土が砂漠化すると言われるんですね)
炭そのものには栄養はないんです。炭だけで植物を育てても死んじゃう。でも、土に炭を入れることで豊かな土になります。みなさんはテラプレタのお話を聞かれたことはありますか。
テラプレタは、アマゾン盆地で見つかった、めっちゃ肥沃な黒い土。数千年前の古代からそこで暮らしていた人たちが、知ってか知らずか(たぶん知ってたんでしょう)、燃やしたものをそこに入れ続けた結果、大量の木炭、有機物、多様な微生物を含んでおり、現在でもなお作物がとてもよく育つ土として有名です。すごいですよね。
(ちなみに、日本の黒ボク土は火山灰から自然にできたとされる日本の土ですけど、その黒い色の原因は「腐植」なんだと本で読んだことがあります。黒ボク土の黒い正体は、稲科などの植物の燃焼炭粒子に腐植がくっついたものだそうです。有機質を含んだ肥沃な土なんですね。縄文人が野焼き・山焼きなどをした結果、そんな粒子ができたそうです。テラプレタみたいじゃないですか?_『日本の土 地質学が明かす黒土と縄文文化』山野井徹著 築地書館_)
テラプレタのような土を作るために、バイオ炭(コークスのように石炭から作るものと区別してこのようにいわれています)は販売されています。あなんのような町暮らし住民は、畑活で使いたい「籾殻くん炭」をホームセンターで買いますけど、少量ならともかく畑に入れるにはなかなかのお値段で、思い切って使えないんですよねえ(もっと使おう。反省)。
一方で、炭焼きや、野焼きは、どんどん減ってしまいました。これって、…もったいないことですよね。せっかくあったのに、失われてきた。そして気づく。失ってはいけなかったのではないか。
しかし、なかなかこれは、畑活のように「自分で今日からやればできる」というものではなく…。法的に認められている「農家による野焼き」でさえ、クレームが来るご時世、農家でないあなんには遠い夢。
ですが、条件が合う人には、おすすめです。土壌改良用の炭は、備長炭のように高温処理である必要はなく、焚き火をして水をかける原理で十分作れるのです。
そこで、もう一度、全畑活民が炭の価値に目覚めて、農家さんや竹林整備をされている方が取り組んでいらっしゃる炭づくりが大流行したらいいのではないでしょうか。炭、炭、炭、炭でルンルン栽培ができたら、どんなにいいでしょう。農家さんから野菜を購入させていただくように、籾殻くんたんも購入させていただいたり、山村の直売所で、野菜といっしょにバイオ炭がどーんと置いてあったりしたら…。そしてそして、ホームセンターよりやさしいプライスだったら、いいなあああああ。
なお、特集では、高価なものになりますが炭焼き職人の技術がなくても炭を作れるプラントと開発者の方の紹介もしています。その後も発展されているようですー。
ところで、山梨県では、どうなっているのか気になりますね。
山梨県のサイトへ行ってみました。
果樹が盛んなことを生かす取り組み。燃やしていた剪定枝を炭化して土に。
2021年2月に山梨県が主導して「4パーミル・イニシアチブ推進全国協議会」が設立され、他県や研究者との情報共有が進められているそうです。すごいぞ、山梨県。がんばれ山梨県。
そういえば、定期購読している雑誌「季刊地域」でも見たことがあったような気がします。(2022年冬vol.48でした。28P 炭で土が良くなる、カーボンニュートラルに貢献 やまなし4パーミルイニシアチブ農産物等認証制度とは」)
最後に。4パーミルイニシチアチブ。土の炭素量を増やすという意味では、炭でなくとも、緑肥や堆肥化も含め、燃やさず、土から生まれたものは土へかえそう、という原則でOKですよね。夏の気温が40度になる前に、できることからやりましょう。やらないよりは、何かやりましょう。
最後の最後に。炭は、環境再生にも欠かせません。環境再生では、大地の呼吸を取り戻すために土に穴をあけて枝や枯れ葉、そして炭を入れたり撒いたりします。さともだちの西尾くん(環境再生ウオッチング連載中)は、業務上の必要からいつも炭を購入しているそうです。農業だけでなく、環境再生の面からも途中に炭が入れられます。これも地球温暖化防止に役立っているといえますね。
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