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さとびの企画をするうえで、柱になること。手探りのリスタートから10年。

次の秋号が発行になると、さとびこ編集室は、さとびの編集を任されるようになってから10年になります。
創刊の2010年から数えると15年め。創刊時は編集会議に参与するだけでしたが、2015年からは全体をとりまとめるようになり、責任が増すことで緊張した憶えがあります。
その後2018年から、リスタートとなり(継続が難しくなったため)これを機に企画編集・発行(こちらは個人事務所のエルインクより)すべてを負い、「自然にも人にも」の方針で作り始めました。このとき、さとびは少し質が変わったと感じられたかもしれません。

これまでの間に時代も変わり、地方への移住が推進されたり、SNSが広まったり、SDGSが喧伝されたりするようにもなりました。さとびはエルインク発行となった2018年以降、「自然にも人にもやさしいとは?」という大きな枠をもって企画し続けてきましたし、今後もそれが変わることはありませんが、このフレーズがなんだかぼんやりして感じられるようになってきたんです。誰もが同じような言葉を口にし、他にもメディアがたくさんある中、このうえ、さとびは何を伝えていきたいのか、また求められているのか、より一層さとびらしくフォーカスしていきたいとの思いが生まれてきています。


それが、そろそろ「こういうことかな?」という感触を得ました。

自然も人も豊かになっていくには、(自然は常に自然のままなので)人間のほうに「近づく姿勢」が必要。命のあるものに対するかけがえなさと、人智を超えたものに対する謙虚な思いが必要です。自分も含めて現代人が置き去りにしてがちなものが、今一度、どうしても必要だと思います。地球を思うなら、足元の地域を。地域を思うなら暮らしを。生活者の立場から考えていこう。

それを伝えられるようなテーマって具体的に、なんだろう。

と、いうことで今考えていること。(というか、整理してみる)

再生型環境づくり=自然に負荷をかけないあり方もまだまだ行き渡っていないかもしれませんが、それだけでは足りなくて、調和を失っている場所を「再生」していく時代だと思います。環境の大部分を占める森林は、これからもさとびが大事にしたいテーマ。人口の大部分を占める里(農村集落、市街地)でも、自然に近づく環境づくりを。


自然共存型の食文化づくり=農産物の栽培、加工、調理法、食物残渣まで、食に関係するあらゆることが自然と共存できるあり方を求めていきたい。人間が自然を大切にすることで、自然が人間を守ってくれるような関係になるように。ヒントは、昔の日本。現代にどうやってカスタマイズしていけるでしょうか。


自然治癒力型の健康づくり=健康は、病気になってから対症療法で治療してつくれるものではないはず。まして健康なうちからむやみに「いわゆる薬物」を体に入れていいのでしょうか。病気になりにくい体になるとともに、自然治癒力を高めるにはどんな食べ方、暮らし方をしたらいいのでしょう。


身の丈型しごとづくり=グローバル企業が増え、製品の向こう側が見えにくくなっています。まずは地元で賄うことを優先して考えませんか。地球の身の丈、地域の身の丈、自分らしい身の丈の利潤で経済が回っていくには?「こうするべき」以上に「こうありたい」という素直な心を犠牲にせずに生活を営んでいる人たちに出会い、しごとのありようを考えていきたい。欲張ったことをいうと、身の丈しごとびとたちが、互いに応援しあえるような経済圏ができたらいいなあと思います(さとびは手の届く範囲ですでにそうしています)。

これらをアンテナとして、感応するような事例や人を取材していけたらと。その延長線上に、自然も人も豊かで幸福度の高い社会が見えてきたら幸甚です。

そんなさとびになっているかどうか、読者のみなさんの目でチェックしてみてください。投稿なども歓迎しますので、文章を書くのが好きな方、情報に敏感な方、さとびらしい原稿をぜひ、お待ちしています。

これからは、「それはほんとうに自然にやさしいの?健康にいいの?豊かになるの?」というリテラシーも求められると考えています(リテラシー=必要な情報を引き出し、活用する能力)。マスコミが声高に流す情報を、もう鵜呑みにはできませんよね。何を信じたらいいのでしょう。ここで重要になってくるのが、日頃からの信頼関係から生まれる口コミではないでしょうか。さとびを通じて、読者さんと紙面に掲載された方、読者さんとライターさん、読者さんとお取り扱いスポット、読者さんと読者さん…、あちこちで信頼が生まれていったら…嬉しいです。ネット上のコミュニケーションとは一味違うことでしょう。

もし、そんな地域ができちゃったのであれば、あとは類は友を呼ぶ式に、波調の合う人たちが楽しくつながりながら、時に助け合って(助けてーと言ってもらえることが嬉しい関係で)、たとえ考え方の違う人とも勝ち負けで争うことなく(いい意味で、不要な干渉をせず)、生活していけたら最高です。

エルインクが発行デビューした号(vol.32 特集「地酒であじわう奈良」)




さとびづくり

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