危険な暑さが続いていますが、お元気ですか。
今手元に植物分類学者の牧野富太郎さんの言葉を集めた本がありまして、ペラペラしているところです。
牧野富太郎博士は、NHK朝ドラのモデルになった方なので、ご存知の方も多いことでしょう。
1862(文久2)年生まれ。1957(昭和32)年没。明治維新から戦後まで、日本が激変していく様を体験された世代の方です。(写真もwikiより)
ちょっと引用します。
「人々は道端の草や野原の草をつまらぬ雑草と言って見向きもしないけれども、雑草といえどもこれを知ればおもしろく感ずるようになります。
どんなことでも、なにも知らずにただ見ているばかりでは、いっこうにおもしろく感じませんが、予備知識をもってすれば面白く感ずるものです」
さとびでいつも言っていることと同じですよね。100年以上も同じことを言っているということは、日本人はその間ずっと「雑草を見向きもしない」できたんですね。
雑草の価値を知りましょう。という動きは、近年高まっていると思いますので、あと何十年かして、提唱しなくてもあたりまえになっていくといいのですが。。。相変わらず一部の人だけが大事にする状態が続くのでしょうか。あ、それは今を生きるわたしたち次第ですよね。
再び、引用に戻ります。薬草になるということも記していらっしゃいます。
「ゲンノショウコという草は、下痢をしたとき飲むとたいそうよくききます。お医者さんにかかると高い診察料をとられますが、ゲンノショウコがどんな草であるかを知っていれば、下痢などはただでなおすことができます。庭先にちょっと植えておけばいくらでも増えます。
このほか、薬草になる植物の知識をもっていれば、いろいろ役にたちます。むかしの人はこうした植物のことをよく知っていて、日常用いていたものです」
まさにさとびそもののではございませんか。牧野先生、21世紀にもなってやっと薬草ブックなどを作りまして、遅くなってすみませんでした!奈良は一見したところ自然が豊かであるがゆえに、価値に無頓着な人も多いかもしれません。その奈良でも、気づく人たちが増えてほしいとの願いをもって編集いたしました。
これからのわたしたちは?
牧野博士のように膨大な専門知識を蓄えたいとのモチベーションは持てないはずです。でも、身近に生えている雑草の名前のひとつやふたつや、せめて10種類くらい、「どんな草であるかを知っていれば」これは相当に暮らしが豊かになるに違いないと思います。あなたはいくつ言えますか。ふだんから食べたり使ったりしていれば、きっとすらすら言えますよね。雑草を必要とする文化があるから、雑草が残る。雑草が残れば、今明らかになっているさまざまな効果が未来へ継承されていく。さとびは、そんなガイドブックを作りたいと思います。
むかしの人は知っていた。なぜわたしたちは知らないで育ったのでしょう。文化が分断したのです。「むかしの人は知っていた」ことの中に、消すのがもったいなさすぎる大切なことがまだまだ、たくさん、他にもあるはず。それこそが未来へのヒントなのだと、さとびは言いたい!雑草はそのきっかけです。
さとびらしい・さとびならではのガイドブックが作れたらいいな。