本誌編集部阿南も実行委員会に関わった上映会が開催されました。
「杜人」は、タイトルにあるとおり、環境再生医・矢野智徳さんの大地の再生活動を追ったドキュメンタリー。実行委員の一人西尾和隆さんは、本誌vol.54で協力いただいた方。矢野さんに師事し、大地の再生士としてインストラクターとなって奈良を中心に精力的に活動されています。もう一人のメンバーは、生駒市内で古民家を再生して暮らし、周辺の環境も「大地の再生」中のさわたくさんこと、澤本拓也さん。大地の再生にピンときて、今や夢中になって情報や技術を吸収している真っ最中。偶然にも、さわたくさんの家を再生されたのは、本誌vol.41特集「自然にも人にもやさしい家」の中でお話をうかがったFRONTdesignの岩城由里子さんでした。つながってしまうものですね(当日は映画もご覧いただきました)。
西尾さんにさとびで連載していただいた「大地を再生しよう」は下記リンクから全回をお読みいただけます。
矢野智徳さんて? という方はこのサイトがおすすめ
https://watashinomori.jp/interview/image_itv_19.html
「杜人」は、有志が自主上映会をするうねりとなって全国で随時上映されています。わたしたちの場合は、さとび読者さんの「杜人が見たいんです」の一言がきっかけとなってまたたくまに実現しました。最低限の採算計画はありましたが、細かいところは当日まかせ。実際、3月になっても申し込みは4名という状況から、この映画が伝えるところの価値に共感する人たちの口コミやSNSシェアにより、100名近い人たちが興味をもって鑑賞してくださいました。
上映が終わると、パンフレットや関係書籍が完売し、「実際に学んでみたい」という声も上がっていました。
第一部は椅子を追い足しするほどでした。第二部は少しゆったり。西尾さんがあいさつしてくれました。この映画は、オンラインで見ることは今はやっていないそうで、上映会で人が集うことで共感する人のつながりを生み出したいという考えがあるようです。いいですよね、ちいさな上映会。
現代の環境が傷んでいることは、多くの人が気づいていることと思います。でも、それは再生できるのか、どうすればいいのか、何が肝心なのか、まだまだ知られていないと思うのです。その原理原則がたくさんつまったドキュメンタリーでした。
そして矢野さんのように、とてつもない信念のある人によって開かれた重い扉を、後押しできるのは一般のたくさんの人たちしかいません。どんな人でも関われるのが大地の再生。学びながら、できることから取り組むことができます。庭、畑、山、溝、川、路地、外構、プランター、かたや公共工事まで、あらゆるところで応用できます。これからもさとびは地元でじわじわ大地の再生を提唱しつつ、勉強会なども計画しています。次はあなたも「やる側の人」をやってみませんか?
「息をしている限り、あきらめない」
という言葉が、映画の中にも出てきます。もうだめだ、もうあかん。自然や生態系のことを思うと、ついそんなふうに考えてしまいがち。たしかに、呼吸のできない大地が増えていくばかりですが、矢野さんが諦めずに活動されているのであれば、その他全員、諦めずに何かやっていくほうがいいですよね。
すでに自主的に主体的に粛々と何かをしている人や、暮らしがすでにそうである人もいます。わたしは、自分は万年素人なのですが、伝えたいと思って活動してしまう。教えたり指導したりはできませんが、指導的立場の人と興味ある人たちを繋ぐことで裾野が広がってほしいと思う性分なんでしょうか?
過去に取材させていただいた方との再会(左=岩城由里子さん 右=矢部次郎さん)
後日談
「行きたかったー!」という方の一人と「勉強会をしよう」という話になりました。 SATOBICOが主催するかどうかはわかりませんが、何かしら関わって、近いうちに始まりそうです。ご興味のある方は続報をお楽しみに。