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野迫川村(奈良県吉野郡)へ行ってきました。人口300人台のまさに小さな村。

高野山に近く和歌山県との県境にある野迫川村を訪ねました。明治22(1889)年に野川、迫、川波の三つが合弁して生まれ、平成の合併もなく、130年以上続いている村です。

地図→https://goo.gl/maps/MLzyqP4uvwxdNvs66

野迫川村の風景 
野迫川村の風景 


今回訪れたのは、初夏とはいえ、野迫川村では上着を着ないと寒い雨の日でした。
そんな中、沢わさび田を案内していただきました。

わさびは自然のままの水と砂で育ちます。栽培に取り組んでいる若者は、アイターンしてこの村の人になった津田林業の社員の南 祐希さん(→奈良県のサイトでも紹介されています。)。
放棄寸前のところを引きつぎ、軌道にのせるべく奮闘中です。


南さんは、会社の理解のもと、副業としてさわび栽培をしています。
野迫川村の沢わさび、最近はお問合せも増えています(野迫川村わさび組合0747-38-0122)

野迫川村は今回(vol.53)の特集「小さな村へ旅しよう」に通じる人口341人、奈良県最少の村。
人混みが苦手なわたしは、小さい村が大好きです。少なくとも月に1度は、どこかの山村に行かないと調子が狂ってしまいます(笑)。


広葉樹の多い美しい森。雨でも濁らない清い川。水と緑と土からはき出される清浄な気に包まれて内側から蘇生する感じ。野迫川村は、どこを切り取ってみてもとってもそんな村です。


おみやげに、わさび、いただきました。わさびは苗を植えてから収穫まで2年かかります。このわさび田はまだ2年たっていませんが、けっこう立派なものをいただきました(その後、この「わさびを食べたい」だけのために、我が家の厨房大将(あなんセイコの旦那ですが)が作る晩御飯のメニューがお蕎麦になりました。ためしに、摺り下ろしたものをちょっとだけ味見してみると、最初は甘く、じわーっと辛味がきます。香りも最高。本物のわさびがこんなに美味しいなんて。いただきものだけに、ありがたさも手伝ってひときわ美味しく感じました!)。

南さんは、わさび田のあとで「寒いー。コーヒーが飲みたいー」と勝手なことを呟くわたし(笑)を津田林業さんの原木しいたけ栽培基地へ連れて行ってくれました。

津田林業の原木椎茸

ストーブに火をつけてもらい、濡れて冷えた体も回復。

自動販売機のある場所も限られているので、缶コーヒーが貴重品に見えてきます。わたしはコーヒーが好きで、ドリップでもインスタントでも缶でも好きな自称コーヒー中毒。
缶コーヒーが燗コーヒーになり、ご機嫌です。

基地でいただく缶コーヒー

原木栽培の基地には若き3代目、津田林業の代表、一馬さんがいらっしゃいました。

「会えた」

と、思いました。

かつて、野迫川村には、林業、あまご、わさび栽培などに取り組み、地域のために尽力するキーパーソンがいました。わたしはその方にいつかお会いしたいと思っていましたけれども、それが叶わないうちに、その方は林業の仕事中に事故で亡くなられたことを知りました。津田晃さん。わたしのまわりでも惜しむ声が聞こえ、その功績やお人柄が偲ばれました。一馬さんは、その方の息子さんです。「息子さんが継いでおられる」ということはわたしの耳にも届いていましたので、もし許されるならいつかお会いしたいと思っていた人でした。何も聞かなくてもいい、ただ会えただけで感謝です。南さんは、その晃さんに誘われて津田林業に入社した人。年齢でいうと、36歳の南さんは、33歳の一馬さんの兄貴分ですが社員として一馬さんとともに、晃さんの魂を受け継いで活躍されていると感じられました。

参考記事(2017年のもの)父が守った林業と沢ワサビ 遺志継ぐ奈良・野迫川村の男性(産経新聞ウェブサイト) 

津田さん、南さんと
津田さん、南さんと

「10代の頃から林業を継ごうと思っていたんですか」と、一馬さんに聞いてみました。

「子どもの頃からそれは思っていたんですけど、いよいよ決めたのは大学進学のときですね。三重大の林学を選びましたので」

林業は野迫川村にとって大切な産業です。津田林業は唯一の林業会社。誇りも使命もあったかもしれません。でもこんなに早く継承することになるとは思っていなかったはずですよね。どんな思いがあったことでしょうか。静かな笑顔の似合う若者は、年月を経て今、立派な代表です。


外に出ると雨がやんでおり、空を見上げると山の新緑が、水分を含んだ空気の向こう側で少し近く見えました。一馬さんがそれを見て「大好きだ」と微笑みました。この景色が、この村が、大好きなんですね。
こんな後継者のいる村のことを、わたしも改めて大好きになりました。南さんと津田さん。今や、この二人こそがキーパーソンであり、明日の野迫川村のホープですね。

野迫川村には何度か訪れたことがありますが、こうして村の人と交流できたのは初めて。ずっと願っていたことが叶って印象深い1日になりました。次は6月に、泊まりがけで!と約束しました。まだまだ知らないことがたくさんありますのでお話しできる日が楽しみです。インプットしたものが発酵熟成してきたら、「小さな村へ旅しよう」野迫川村バージョンを作れるかもしれません。

余談 野迫川村をさとびで紹介したことがあります。

旧俚心時代の2012年秋号(vol.11)で、災害復興とむらづくりというテーマで当時の角谷喜一郎村長にインタビューしたことがあります。わたしは、まるで見学者のようについていくことと、原稿を編集して記事にすることしかできていませんでしたけど(その時の執筆は現在も連載していただいているフリージャーナリストの北井弘さんです)。

2011年9月の豪雨で大規模な山腹崩壊が8ヶ所で発生する中、一人の人的被害も出さなかった状況をうがかいました。そこで、ここが奈良県内でもめずらしく日本海側と似た気候で冬の寒さが厳しいことや、1000メートル級の高山に囲まれ夏が涼しいことを知りました。雲海の美しさにも人気があり、天空の村だなあと実感させられます。

小さな村は、いつも活性化に一生懸命。ほぼ100%が山、人が住んでいるのは村の面積の2%ほどです。どこの村でも山林面積80%、90%というのはよく聞きますが、98%が山というのは特別ですね。それだけに、俗世間から離れたような気持ちになれます。加えて、コンクリートの大きな構造物がなく、川の護岸も石積みが多く、自然そのままの風景や、昔の人たちが築き上げた風景が残っているところは、今となっては希少価値だと思います。村長もインタビューの最後に「ぜひ野迫川村を訪れてその風景を五感で感じてほしい」とおっしゃっていました。このインタビューの後からは、わたしも、野迫川村へ行くようになりました。奈良市からは車で2時間ちょっと(運転者は部員さんです。いつもありがとう)。精神的なデトックス、デジタルデトックスがしたい人は野迫川村へ行ってみませんか。

わたしと好みが似ている方は野迫川村、絶賛おすすめです。

間に合えば…夏号でちらりとご紹介できるかも。。。

コーディネートしてくださったうっしー(サポーターさんです)に感謝。じゅんぺーくん、ありがとう。

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