最近は、グレーインフラという言葉があるそうですね。いつの間にか新しい言葉が生まれています。気をつけておかないとあぶないわ(笑)でも、意味を辿ると同じようなことが昔から提唱されていたりもします。言葉もときどき更新しないと錆びていくのかもしれませんね。
グレーインフラとは?コンクリートなどの人工構造物によるインフラのこと。これに対してグリーンインフラとは、生態系の機能を生かす自然のしくみを生かしたインフラ。定義や言葉づかいにはいろいろと違いはあるようですが、わたしはそのように理解しました。
雨庭(あめにわ)というのは、家庭でも取り組むことができる家の周りの水害対策です。詳しくは、下記のサイトでよくわかりますよ。
https://www.nhk.or.jp/minplus/0019/topic139.html
雨の水を、三面張りの側溝から下水に流してしまうと、昨今のように「想定外の雨量」が降ってきたら街に溢れてしまいます。上記サイトでは、このように説明されています。
市街地に降った雨水は地面に浸透しにくく、ほとんどが排水口などから下水道に流れ込みます。一般的に下水道は1時間あたり50ミリの雨でも問題なく流せるように設計されていますが、地球温暖化の影響もあって1時間100ミリを超える豪雨が頻繁に降るようになり、下水道で処理しきれない水が市街地にあふれてしまうのです。
また大雨で河川の水位が上がると、下水道から川に水が流れにくくなったり、川から水が逆流したりして、市街地が浸水することもあります。
これらは「内水氾濫」と呼ばれる現象で、毎年のように各地で発生しています。
もし、地下に大きな貯水施設を作ったとしても、原理として限界はあることは同じなので、溢れるかもしれないですし、メンテナンスも人工的に永遠に続けないといけないですね。その洪水が、いっきに川に流れ込む前に少し時間稼ぎできるように、大地に染み込ませようというグリーンインフラ。
上記のサイトに飛ぶのが億劫な人のために、画像をお借りしますと。
BEFORE(グレーインフラ)
AETER(グリーンインフラ)
AFTERのほうは、手前の自転車置き場のところは映ってないですけども、これだけでも素晴らしく美しいですよよね。やはり美しくないと、ですね。しかし自然を生かそうとすれば、自動的に美しさは増すと思います。水が浸み込む、大地が呼吸できる、植物が元気になる。美しくなる。大地の再生にも通じるように思います。
ここから連想するのは、田んぼダムです。さとびの読者さんなら、思い出しませんか。農家のこせがれさんが書いてくださいましたことがありましたね。
田んぼの水を調節する出入口の部分を少し改変して、通常以上の雨が降ったら一時的に田んぼに水を溜めておくしかけ。大袈裟な工事は必要なく、農家の方の理解があれば実装可能な技術です。
ダムというと、山村で、住民を半ば強制的に立ち退かせ、推進と反対でお互いにボロボロになるほどに地域の分断を生じさせながら日本中の川に作られてきましたね(そこにはしばしば縄文の遺跡が眠っていたりするんです)。
さかんに作られる時代が過ぎても、まだこれから作る計画も消えません。そのダムは、80年や100年に一度の洪水を想定して設計されるのですが、近年は、それを上回る雨量も記録されてしまう時代なのです。危険な水位になると、(ダムが壊れる前に)緊急放流されます。すると、高いところまで溜まった水は位置エネルギーを持っていて、ものすごい力で放流されることになり、これが原因で人が亡くなったりするのです。わたしの知人からも、2011年の紀伊半島大水害のとき命からがら生き延びた時、ダムの放流によって本流の水かさが増して支流に逆流し、1階の天井近くまで浸水したとのお話を聞きました。
参考「ダムで命は守れるか 元ダム担当職員が見た現場」
の方による講演です。こちら(さとび読者メンバーの方から教えていただきました)
(この動画は、ダムや川に関心のある方には目を通していただきたいと思いました)
人工的な構造物でどうにかするだけでなく、その雨に、家の庭で、田んぼで、山や森で、水を浸みこませ、留め、ゆっくりと放流する方向へチェンジしたほうがいいと思います。自然はそのようになっています。国家プロジェクト級の土木工事のことは、わたしが今何を望んでも簡単には変わらないかもしれませんが、家庭レベルでもできることを多くの人が取り組めば、世論になっていくのでは(そう信じたい)。庭のある方、雨庭はいかがでしょうか。
美しくて、季節感があって、洪水対策になるグリーンインフラ。ぜひ広まってほしい。日本庭園は、もともとそういうことがよく考えられていたようです。わざわざ失って、再び、やっぱりすごかったと理解するのも大切なことですね。
参考
建設総合ポータルサイト
グレーインフラとグリーンインフラ 〜自然資本の恵みを活用する〜
京都市の例
京都市ホームページ「雨庭」とは…