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醤油小噺 第7話 ー第2部ー

この記事はさとびごころVOL.34 2018 summerよりの転載となります。内容は掲載当時のものです。

 

 片上醤油、片上裕之です。前回の後半です。ブドウが豊富にとれるところはワインができる。ブドウの無いところでも何とかして酔っぱらって気持ちよくなりたい。さてどうしましょう?

 ブドウはないが穀物ならたぁんとある。穀物=植物の種子ですから、発芽から成長して葉を広げて光合成ができるまでに必要なエネルギーをデンプンの形で溜め込んでいます。ブドウ糖や果糖など、糖がいくつも繋がってできているのがデンプン。穀物もデンプンからエネルギーを取り出すには一旦ブドウ糖にしなければなりません。ということは、穀物(の芽)はデンプンを糖に分解する力を持っています。この力が酵素なのです。

 もうお察しだと思いますが、ビールに不可欠な麦芽のことです。デンプンは微生物が食べられないので、発芽の機会が来るまでエネルギー(種子)を保存することができます。発芽するとデンプンを糖化する酵素が活性化して少しずつデンプンを糖に代えていく。いのちを繋ぐとても巧妙な仕掛けが種子にはあるのです。

 酵素って説明するにはとても厄介なものですけど、発酵をはじめ、生命活動(DNA)という工場の中の工具のようなもの。と言っておきましょうか。酵素の実態はたんぱく質です。でもその酵素(たんぱく質)が存在することで物事がとてもスムースに運ぶのです。生命活動に欠かせない酵素ですが、酵素そのものはたんぱく質で生命ではありません。工具(酵素)を使ってエンジン(生命)を整備、稼働させているイメージです。

 大麦は特に芽の酵素力が強く、麦芽をお湯に漬けておくと酵素の作用で甘い汁になります。そこに酵母が生えてくれるとビールが出来上がります。さて、大麦はそれでよいのですが、小麦、米、トウモロコシなど、大麦ほど酵素力がないものも多いです。あ~酒が飲みたい! どこかに酵素はないものか? あります。

 カビは強力な酵素を持っています。特に麹菌と呼ばれるカビは強力です。しかもカビても風味が良い! 美味しい! 中国、朝鮮、日本のように温帯で多湿な気候では食べ物がカビてしまうことも多々あります。カビてしまったお米をお粥にしておいたら泡がぴちぴちと…腐りそこないのお粥はめでたくお酒になりました。

• ブドウ糖がアルコールになるシンプルな発酵形態=単発酵(ワイン)

• 糖化工程の後、甘い汁が発酵する二つの工程がある=複発酵(ビール)

• 酵素による糖化と酵母による発酵が同時に進行する=並行複発酵(清酒)

と言います。最後は無理やり格調高く終わる醤油小噺です。

さとびごころVOL.34 2018 summer掲載

文・片上裕之(片上醤油蔵元)

さとびごころ連載

片上裕之

片上醤油蔵元

醤油小噺

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