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季節によりそう暮らしと食養生 7 ─冬─ 菜食ごはん 休日ダイヤ 三瓶歌奈子

この記事はさとびごころVOL.48 2022 winterよりの転載となります。内容は掲載当時のものです。

 今年も寒い寒い冬がやってきました。東吉野村では、毎年、秋が深まる頃になると、必ず「今年の冬は寒いらしい」とか「今年はそうでもないらしい」という予測めいた噂話が取り交わされるのを耳にします。無事に一冬を越す、ということが寒さの厳しい山村でのひときわ大きな関心ごとのようです。さて、今年はどんな冬になるのでしょうか。

季節を保存する

 冬の始まりは、秋に採れた収穫や山の恵みを加工し、保存するのに忙しい時期。毎年、ご近所からたくさん頂く柚子は柚子ジャムやポン酢に、柿は軒先に紐で吊るして干し柿に。

 昨年はアライグマに全て食べられてしまった干し柿も、夜に家の中に入れることで、今年は無事に完成しました。

 畑で獲れたさつまいもは薪ストーブで蒸し焼きにしてから、スライスして干し芋に。こちらは焼き芋の時点で美味しすぎて、ほぼなくなってしまい、なかなか完成を見ないのが難点です。

 山からはひのきの葉や赤い実を採取して、リースやスワッグを作ったり、伐採された木を切って運んで、来年用の薪を作ったり、毎日やることがたくさん。

 自然の恵みと人の暖かさをとりわけありがたく感じる季節でもあります。

引き継がれる家 

 私達の借りている家は築100 年程の平屋の古民家です。屋内は、新建材でのリフォームがほとんどされずに、造り付けの水屋や高い吹き抜けの天井など、おそらくは建てられた当時のままの姿を保っています。

 細かく区切られた引き戸ばかりの部屋、トイレやお風呂などの水回りが離れにあることなど、現代の生活には少々使いづらい点はあるものの、少しずつ夫がDIY で手を入れてくれ、徐々に快適で住みやすい空間になってきました。

 夏はほぼ陽が入らない縁側にも、冬は陽がよく入るように工夫されていて、猫たちのお気に入りの昼寝場所になっています。

 200 年、300 年と、また誰かに引き継げるよう、大切に使っていきたいと思っています。

七代先の子供達のために 

 この村には、三本の清流が流れ、丹生川上神社で合流し、奈良、和歌山を流れ、紀伊水道に流れ出ます。上下水道の整っていない東吉野では、生活排水はすべて川に流れ込みます。

 我が家では、川を汚さないように、食器を洗うときは、繊維たわしだけで洗い流し、ひどい油汚れの時のみ、古布で拭き取ってから、自らの力で分解し自然に戻ることができる生分解性の洗剤を使用しています。洗濯もマグネシウム粒と生分解性洗濯洗剤を併用することで、洗剤の量を半分に。シャンプーや歯磨きなどもお湯や水で洗うのみで、日常的に使用することは控えています。

 村に長く住む方々からは、道路工事や温泉施設、発電所の稼働などで川の生態系も年々変わってきていると聞きます。今年は、近所の蛍スポットでも、近くで橋の工事をしていた為か、ほとんど蛍の姿を見かけることが出来ませんでした。自然生態系は、ほんの小さなきっかけで簡単に失われ、取り戻すには長い年月がかかります。

 アメリカ先住民では「七代先の子供達の為に今、為すべきこと」を考えるそうです。世界で増え続ける自然災害を見ていると、もはや開発や発展を念頭に置いていては、地球環境は取り返しのつかないところまで来ているように思います。

 七代先の子供達の為に、思い切った方向転換が必要な時期に来ているのかもしれません。

・・・ 冬のおすすめ食養レシピ・・・

菊芋とかぶのポタージュ

冬の過ごし方

 お正月休みは、寒くて一日こたつから一歩も出なかった、なんてことはありませんでしたか。この時期は、冷えによって、筋肉も硬くなり、日常生活でも思わぬ怪我に繋がる事がありますので、散歩など毎日できる適度な運動を取り入れましょう。身体を動かすことで、体温も上昇し、血流も改善、免疫力も上がり、いいことづくめ。

 外に出て、日光を浴びるというのも心肺機能を上げるためにとても重要なことです。

 常日頃、車での移動ばかりで、身体を動かしていないという方は、ぜひ新しい年から生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。

食物で冬の気を取り入れる

 東洋医学では、冬をつかさどる味覚は『塩気』となります。

 冬になると寒さに耐えるために、身体は塩気を欲するようになります。高血圧の原因と、目の敵にされることが多い塩ですが、にがりを含む天然の塩にはカリウムやマグネシウムなどの成分が含まれるため、精製塩に比べ血圧を上げることはありません。

 実際は、欧米型の食事や油、糖分の取りすぎによって血液の流れが悪くなることで血圧は上昇するそうです。塩気は人体にとって、そして寒さの厳しい冬には特に欠かせないもの。

 天然の塩気やミネラルを含む海藻類、味噌や漬物などの発酵食品、身体を芯から温める根菜類をたっぷりと火と時間のエネルギーを入れて調理することで、冬の寒さに負けない身体をつくりましょう。

さとびごころVOL.48 2022 winter掲載

筆者プロフィール さんぺい・かなこ

宇陀市にて穀物菜食の店「菜食ごはん 休日ダイヤ」を運営ののち、2020年4月より食養アドバイザー、ケータリング等の活動をはじめる。

菜食ごはん 休日ダイヤ

facebook https://www.facebook.com/qjitsudaiya/

Instagram https://www.instagram.com/q_jitsu_daiya/

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