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上北山村 民宿100年へ。メンバーさんに会いました。

こちらは、10月10日発行の さとびごころ秋号(vol.67)のコラムページと連動した記事です。紙面の都合で書き入れなかった部分を加筆しています。

さとびのメンバーさんは素敵な人がいっぱい。今後とも、さとび紙面でなるべくご紹介したいと思っています。
奈良で暮らしている人同士ですから、もしお会いになることがあったら、「さとび見ました」なんて言っていただけたら、10倍うち解けていただけると思います(あなん推測)。

今回は上北山村へ行ってきました。
奈良県の北部にお住まいの場合は、橿原市から南へは「行ったことがない」という方もめずらしくありません。まして、上北山村は電車の駅がなく、近鉄吉野線「大和上市駅」からバスに乗るか、マイカーです。時間の自由がきくのはマイカー。吉野町、川上村を通って峠をこえたら、そこが上北山村です。静かで美しい村。一度、ドライブに行ってみてください。秋は紅葉が綺麗でしょう。

メンバーさんに会うちい旅紀行
【上北山村】
小谷雅美さん(2020 よりサポーター )
中崎 和徳さん(2022 より定期購読)

何かと「小さな」という言葉を前置詞のように使うさとび。きっと、大き過ぎるものがいろんなものを壊していくのを見て、小さいことに価値を感じてしまうことが関係しているのだろう。また身の丈感もある。「小さな村へ旅しよう(以下ちい村)」 (※1)という特集を作ったのは、2023年。民宿100年という、なんともさとびつながりな名称(さとびごころのキャッチフレーズが「100年住み続けたい奈良のための」というものなので)に惹かれて訪ねたことが始まりだった。
女将の小谷雅美さんはすぐにサポーターになってくれて、宿にさとびを置いてくれるようになった。

その後、村の「孫の手会=孫でもできるお手使い活動」のことを取材・寄稿(※)してもらい、

(※)特集の執筆をお願いした前年、雅美さんに取材していただいた「孫の手会」の記事。あなんも取材の一コマにご一緒させていただきました。小さな村では、助け合いが欠かせません。有志で発足した「孫でもできるお手伝い」チームは、まるでヒーロー戦隊のようでした。

さとびvol.48(2022 冬号)より

たしかな文章を寄せてくれると感じたわたしは、この村のかけがえなさを伝える特集「ちい村」に、女将の思いを綴ってもらうのが最適だと思えた。「ちい村」では、彼女が村に移住し民宿100年を開くまでと、当時始まったばかりの空き家再活用に取り組む「mossumo(モスモ)」の活動紹介として木和田テラスのオープンについて書いてくれた。

特集記事の中で紹介した木和田テラスのページ

さとびvol.53 特集「小さな村へ旅しよう」より
空き家を手入れして民宿100年開いた経験から、村の空き家を地域活性化むすびつけるmoosumoの活動が始まりました。木和田テラスはその最初の事例となりました。

この9月、秋号の原稿がほぼ纏まった頃、以前から予約していた民宿100年へ行ってきた(このところ毎年通っている)。

目的は、女将の雅美さんに会うことと、なんといっても宿泊者に提供される温泉利用優待券(半額になる)。

民宿100 年の女将まさみさん
カメラをむけると照れてる雅美さん
上北山村 村内宿泊者温泉利用優待券
これこれ。チェックインしてからでないと、チケットがもらえません。村内で宿泊される方はぜひぜひぜひぜひゲットしてください。



さとびは「温泉は薬でした」という特集を組むくらいの温泉推しだ。早速村内のホテル「フォレストかみきた」薬師の湯へ。編集で使った集中を、温泉でリラックスに変換するのは極上の幸福…。(温泉特集をしたvol.60は冊子が完売となり、PDF版を提供しております。)

特集内で、フォレストかみきたの温泉も紹介しています(上北山温泉の写真)

さとびvol.60(2025冬号)特集「温泉は薬でした」より
さとびvol.60(2025冬号)特集「温泉は薬でした」より

 宿に戻ると、近所に住まうもう一人のメンバー、尊敬する中崎和徳さんが立ち寄ってくれた。この人こそ、先述の「 孫 の 手 会 」 の 中 心 人 物 だ。今 しがた温泉の帰りに路上で遭遇し、民宿100年に泊まることを伝えていたので、追いかけて日本酒を1本プレゼントしてくれたのだった。中崎さんの「ウエルカム心」が沁みる。

さとび読者の中崎和徳さん
中崎さん。さとび紙面では詳しく語れなかったけれど、あなんが尊敬する剣道7段。剣道では、これ以上は名誉職のようになっていて、実質の最高位。まっすぐな姿勢が美しく、若々しい。たしか70代でいらっしゃると思うのだけど、全く想像できない。しかも、今年の鮎の釣果は1000匹。思わず2回確かめてしまった。まちがいない。中崎さんの腕も達人級だし、そんな鮎がまだ釣れるこの村の川の実力が嬉しかった。もう、川のことは、これ以上知られなくてもいいくらいに、あなんは思う(個人的なエゴ)。




雅美さんの手作り晩ごはんで満腹になり、古民家の畳にふとんを敷き、体に溜まっていたものが床を伝って地に吸い取られてゆくかのような安らぎの中で眠った。

民宿100年料理
鹿ひき肉のグラタン、村の道の駅でも売っているトロトロのこんにゃく(刺身)、カレー風味の煮込み、鹿肉ローストのサラダ。この他に、あまごの天ぷら、野菜の天ぷら、そして、ごはん。(満腹すぎて食べきれませんでした)。女将、雅美さんの手作り晩ごはんがいつも楽しみ。

古民家をリノベーションした民宿100年は、かつての雰囲気を壊しすぎないように気を配ったという。板の襖、畳、縁側、そして清潔にコーディネートされた備品。古い良さと、雅美さんのセンスの融合心地よい。布団で寝るとここちよいのは、マンションの畳ので布団で寝るのとは全く違う。床から床束をつたって、地面に通じているのだろうか、体の余分なものが吸い取られるような寝心地の良さ。わたしは体のデトックスと呼んでいる。

朝は、小橡川のせせらぎを聞きに水辺まで降りるのが定番。夏が過ぎ、川に足をつけるには寒くなった上北山村。両手を水浸して、心を清める。ここから上流に向かっては集落も少なく、水の美しさが尊い。

小橡川

宿に戻ると、雅美さんに mossumo のその後のことを聞いた。

mossumoは、村に嫁いでから住民となった久米恭子さんといっしょに立ち上げたユニット。特集の取材時にはスタート段階にあった木和田テラスは今、じわじわと人気スポットになっているようだった。村で開催される名物イベント「ヒルクライム大台ヶ原」のときも、宿泊者でにぎわった。

「木和田テラスをどこで見つけてくださるのか、今年は予約が増えて。しかもゴミを捨てていく人がいない。関わりがあると皆さん綺麗に使ってくださるねと、いっしょに活動している恭子さんと話してます。わたしたちの目的は『空き家をなんとかしたい』なので、再生した空き家をこんなふうに使ってもらえるならと、自信がつきました。借入金のペイも見えてきて、身銭を切らずに続けられそう。実はもう一軒、考えています。まずは整えることからかな」という。

木和田テラスのパンフレットができていました。

木和田テラスパンフレット
木和田テラスパンフレット

今、多くの山村はキャンプや川遊びのスポットとして人気が高まる一方で、ゴミを捨ていくなどマナーの悪い人たちの存在が問題になっている。このままではアウトドア遊びをする人たち全体のイメージダウンになりかねない。もちろん、受け入れる側には観光客として歓迎したい気持ちはある。その問題について、雅美さんは「関係性を持てるかどうか」の違いが大きいと語った。たとえ受付時のちょっとした会話であっても、「ゴミはお持ち帰りくださいね」と伝え顔見知りになると、利用者は来たときよりも美しくして帰る人ばかりだという。もちろん、雅美さんたちの受け入れるムードがそうさせているのかもしれない。ぶっちょう面で淡々と言われたら、また違ったかもしれない。ようは、人と人がごく誠実にこのましい関係を持てるかどうか。やさしさをもって接することができるかどうかなのだと思う。

彼女自身がそうであるように「『この村を好き』になってくれる人の中から関わってくれる人や来てくれる人が生まれたらいい。縁は作ろうと思って作れるものではなく、楽しく活動していることが誰かの心に響いたらそれが一番だと思う」とも。

もう一軒、検討している空き家は、村に宿泊施設が少ないことを考えて、ゲストハウスにしたいという思いも語ってくれた。まだまだ妄想段階なので決めつけないでほしいのだが、これからの第2、第3の木和田テラスが生まれるかもしれないことを気にかけてもらえたらと思う。また、雅美さんたちは、決して自分たちだけでやろうと思っているわけではなく、他の人で取り組む人が増えたら歓迎するとのこと。あえて「競合が増えることになりませんか」と聞いてみた。それでも選択肢が増えるのはいいことだと。魅力的な人は心が広い。

大好きな村の暮らしの延長線上で、肩肘をはらずに前進しているんだと、嬉しくなる。ぶれない在り方に触れて、次回泊まるのがまた楽しみになった。

さとびごころvol.67のコラムはこちら

さとびvol.67コラム_メンバーさんに会うちい旅紀行

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さとびvol.67はオンラインショップからもお求めいただけます。(10月10日以降)

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