さとびこ編集室は、2018年からリスタートしてから始まりましたが、現在の編集長阿南セイコは、2010年に創刊された旧バージョンのさとびごころ(俚志)でも編集委員をしていました。その頃企画して取材した人の中にクレメンツかおりさんがいます。阿南セイコとクレメンツさんの繋がりは、2013年にさかのぼります。
2013年秋号に掲載したクレメンツさんの記事
当時クレメンツさんは、橿原市内で自然療法の専門家を育成する学校を始めていました。当時の編集部は、今のように自然と人とのつながりにことさらフォーカスしていたわけではなかったのですが、わたくしが企画取材を担当すると、ついつい当時からこんな具合でした(笑)。クレメンツさんとは、どんな方なのか、なぜ自然療法にこだわり育成をされているのか、伺ったことは今のクレメンツさんと少しもブレることがなく、あらためて一筋に信じて活動してこられたのだなあと感じます。
「子どもの頃から草花とお喋りするようなタイプだった」
「肌だけをきれいにしようと思っても限界がある。心と体はつながっているから」
「自然療法はプロになるだけが全てではない。むしろ家庭の中に一人、ホームセラピストがいたら…」
「美味しいなあ、気持ちいいなあっていう快適さが大切です」
「正しくできれば、実際に、調子がよくなるんですよ」
わたくしも当時の取材から、のちの自分にも影響を与えるような学びを得ました。しかし、「実際に調子がよくなるのか?本当に?」という思いだけは、どこかに残っていたものです。それを知るためには、自分自身も自然の力を暮らしや生き方に(もっと)取り入れて、反映させるしかないと思いました。
記事の見出しをごらんください。
「森の中で宿泊できるヒーリングハウスで 訪れた方に自然療法で癒されてもらいたい」
この記事から10年後の2023年、さまざまな曲折や偶然が重なり、気がつけばクレメンツさんは夢を叶えていました。今、精霊の森を主宰して宇陀市内に「養生庵」という拠点を持つことができ、自然療法をはじめとする各種の講座や、見出しにあるとおりのコース(完全予約制)も始まっています。また宇陀では近年、薬草の里としてプロモーションの機運が高まり、地域のキーパーソンとしても活躍中です。
この記事は、クレメンツさんが今でも大切にしてくださり、「わたし以上にわたしのことを知っている人」と言われるようになりました(照れ臭いですが、ありがたことです)。「こうあってほしい」と望んでいたことと、実際のクレメンツさんが重なっていたために、無理なく書けたことが結果的に的をえることになったのかもしれません。
さとびとクレメンツさん
そんなクレメンツさんには、今でも度々記事づくりでお世話になっていますし、vol.46の特集「薬食同源奈良」では監修をしていただき、そこから派生して「雑草キッチン」セミナーをともに企画するようにもなりました。さらに、2023年5月25日にはさとびこ編集室とクレメンツさんとが力を合わせて、レシピや薬草を紹介する本を発行する運びにもなりました。
さまざまな社会課題は、人と自然が切り離されたこと(その状態が当たり前すぎて気づいてさえいないことがあります)に起因するものがなんと多いことでしょう。もういちど、自然に向き合い、近づくために、自然療法のコンセプトはさとびがこれからも大切にしていきたいものとなっています。
vol.46の紹介はこちら
さとびこ編集室として初の試みとなるSATOBICO BOOKS 企画
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