画像は、https://www.ffpri.affrc.go.jp/special/04-bear/index.htmlよりお借りしました。
最近、熊被害のニュースをよく聞きます。秋田県では、市街地で人が熊に襲われたそうですね。
画像はクローズアップ現代 HPより
野生生物である熊を殺さないでほしい、という声もあるそうです。なぜ熊被害がでるかというと、人が山村で暮らさなくなり、市街地と山が隣接しており、冬眠を控えた熊が里におりてくるからですよね。里山が廃れ山に餌がなくなったからだ、という説と、すでに里の味を覚えてしまい、繁殖し、頭数が増えすぎてしまっているという説があるようです。どんぐりよりも畑の作物のほうが確実に簡単に手に入り、美味しくて、人間は怖くないと学習してしまったら、どうなるのでしょう。奈良では鹿や猪について、同じような説を聞いたことがあります。
山の餌不足は山林の開発と放置に起因していると思いますが、今となっては里の味を覚えた熊が増えてしまっているという現実があるのでしょうか。人間の都合でそうなっているわけなので、いずれにしても殺される熊は受難ですが、かつては人間が熊の天敵の役割もあったのではないかと思います(絶命させないような狩猟によって)。おそろしいのは、畑の作物だけでなく、ひとたび人を襲った熊は人間の味を覚えてしまい、子供にも遺伝するそうです。マタギの言葉に、「里の作物に手をつけた熊は母子ともに殺せ」というのがあるそうです。残酷ですが、マタギさんが減ってしまった現代では、どうやって熊に人里は危険な場所だと伝えたらいいのでしょう。
先のNHKのサイトでは、人と熊の棲み分けに取り組む事例が紹介されていました。特殊な訓練を受けた犬と共に追い払いに向かい、熊に危険感を感じてもらう取り組み。
このように人の被害を防ぐための地道な対策があることを知りました。同時に、里山にもう一度人の気配を取り戻すという長期的な取り組みも必要ではないでしょうか。さとびで連載(「杉さんの里山再生考察録」最新号vol.55では第4回掲載中)していただいている、杉浦農園の杉浦英二さんは「人がそこに住むから里山」なんだと言い、里山に人を呼ぶプロジェクトや、里山で産業を成り立たせるプロジェクトに取り組んでいらっしゃいます。街で暮らすわたしたちも、「人も自然も豊かに」なれるよう地道に活動している人がいることを知る、買う、参加する、伝える、などなど自分なりの行動を意識してみませんか。それが杉浦農園さんに限定されなくてもいいと思います。あなたの暮らす街から近い里山や放棄林のことを、少し知ってみていただけたらと思います。熊の話から、少しそれましたでしょうか?
人と自然が離れてしまったことに起因する課題がここでも見えてきます。離れたのなら、近づこう。
さとびはCLOSE TO NATURE を提唱しています。
参考 クローズアップ現代HP
森林総合研究所
<杉浦さんのインタビュー記事>
「人がそこに住むから里山」 杉浦英二さん(杉浦農園Gamba farm 主宰)
風は奈良から ~さとびごころ×七つの風~ #05
さとびごころVOL.45 2021 spring