この記事はさとびごころVOL.39 2019 autumnよりの転載となります。内容は掲載当時のものです。
こんにちは。愛菌家のみなみです。夏ですね~、ぬか床を始めるのにいい季節(8~ 9 月の猛暑の時期を除く)です。ぬか床は米ぬか・塩・水を混ぜて発酵させたもので、これに漬けたものがぬか漬けです。玄米を精米すると白米と米ぬかに分かれますが、米ぬかとはつまり玄米の表皮と胚芽部分のことで、玄米の栄養分の実に9 割がこのぬか部分にあると言われます(米×白=粕、米×健康=糠)。また、ぬか床の発酵は主に乳酸菌が担当しており、ぬか漬けにすることで米ぬか由来の栄養分や発酵生産物が素材に浸み込み、漬ける前より食味や栄養価が増し、整腸作用も期待できます。
さて、ぬか床の材料は米ぬか(精米仕立ての新鮮なもの)500g、浄水500㏄、塩75g、それと風味付けに昆布や鷹の爪少々、捨て漬け用野菜適量です。これで2ℓ程度の容器一台分、わたしの思う最小サイズのぬか床ができます。作り方はぬか・水・塩をよく混ぜ合わせたら容器に入れて昆布や鷹の爪も加え、捨て漬け用野菜を漬け込みます。捨て漬け野菜はその名の通り食べるためではなく、ぬか床に水分や乳酸菌が繁殖するための栄養分を与えるためのもので、キャベツの外葉やブロッコリーの茎、大根や人参のヘタ・皮などで十分です。
ぬか床は仕込んですぐには使えません。翌日から一日一回よく混ぜて発酵を促し、捨て漬け野菜を2~3日に一度は変える、を続けると、一週間~10日ほどでぬか床らしい酸味が出てきますので、そうしたら食べたい野菜を漬け込み始めます。発酵・熟成して味が乗ってくるのは一か月後くらいから。ぬか床名人から一握り床分けしてもらい混ぜ込むと出来上がりも早いです。出来上がってからも基本的には一日一回混ぜます。
やってみたいけど、でも…という方のネックになっているのがこの「ぬか床は毎日混ぜなければならない」ことでしょうか。
冷蔵保存にすると週に1~2回混ぜるだけでよくなりますし、長期間使わない場合は実は冷凍保存もでき、意外と気軽にお付き合いできるぬか床さん。だかしかし、わたしは常温保存をおすすめしたい。ぬか床乳酸菌の適温は20~25度、少し暖かい環境が好きです。そして毎日ぬか床を混ぜるという行為は一種のメディテーション(瞑想)だと思っています。素手で毎日混ぜている内に、自分だけの味わいが出てくるぬか床さん。塩は足りているかな…水分量は…今日のぬか漬けもおいしかったよ、さて次は何を漬けてあげよう…。ぬか床さんはあなたが想った分だけ、それはそれは素直に育っていきます。もうこれはペットを超えて子育て気分なのはわたしだけでしょうか♡
さとびごころVOL.39 2019 autumn掲載
文・渡部みなみ
東京農業大学短大醸造学科出身。ライフワークとして「発酵ワークショップ」を随時開催。