今年の残暑の厳しさったら危険レベルですね。編集部は、その中で秋号(vol.67 2026 autumn)の準備を進めています。きっと、あと1週間もすれば、この暑さも緩むはず。そう信じて頑張りましょうー。
8月の振り返り。秋号の取材のため、御所市にある「葛城山麓醸造所」に、執筆をしていただく河口充勇帝塚山大学教授をお連れいたしました。
インスタグラムはこちらです。
葛城山麓醸造所とは?
画像をHPからお借りしました
左から杜氏(醸造責任者・所長)の中川悠奈さん、河口充生教授、山本長兵衛社長
みなさんは、日本酒はお好きですか。数年前までは、あなんの身の回り、得に女子の間では「いえ、日本酒は苦手ですー。焼酎なら少し飲みます」みたいな人が多かったのです。
それが今では、ことごとく奈良酒ファン。そのマーケット形成にさとびも微妙に役に立っているに違いないと、一人勝手に自負しています。おいしいお酒は本能的においしい。飲めばわかります。「通」の人ように、香りや喉ごしや味わいの微妙さがわからなくても、おいしいものはおいしい。さわやかさがあり、刺激もなくすんなり飲めて、ほのかな甘みが味わえる。本能的に美味しい日本酒を知ってしまったら、ファンになります。それには、奈良酒の無濾過生原酒をお試しください。さとびもvol.32、vol.44で応援しています。
そして、奈良酒シーンの中で、熱烈なまでにファンが多いのが風の森。御所市にある油長酒造さんが開発された銘柄です。
その油長さんに、ある意味での転機が訪れた時と、さとびが自主発行になって再デビューする前後は、ほぼ同じくらいのタイミングだったことになります。
転機というのは、さとび連載でおなじみ杉浦農園の杉さんから油長酒造への「こんど引き受けることとなった水源地に近い伏見の田んぼは、無農薬で作りたい。協力してほしい」という提案から始まりました。
というのは、杉さんは以前から油長さんの酒米秋津穂を栽培する農家の一人で、普通に敢行栽培だったんです。でも、水源地に近い田んぼでそれはできなかった。したくなかった。そこで直訴しに行っちゃうところが杉さんらしいなあと思います(元冒険部)。
さとびvol.35(2018秋)より
13代目社長の山本さんも、これにOKして協力されるんですよ(これがまた山本さんらしいと思います。断ることはできたかもしれませんもの)。協力とはつまり、お付き合いのある酒販店に声をかけ、田植え、草取り、稲刈りをいっしょにやろうというもの。こうして通称・秋津穂の里プロジェクトが始まりました。さとびは、このプロジェクトを取材したことが、杉さんとの初対面となりました(vol.32)。
それまで、御所の市街地で酒蔵を営んでこられた山本社長にとって、同じ御所とはいえ、棚田のある伏見地区はまた別世界だったそうです。そして、社長自らも田んぼに入って米作りを体験したうえで、杉さんの無農薬栽培の米作りの現実を直接知ることに(ちなみにこの頃はあなんも田んぼに入って盛り上げてました)。油長さんが仕入れられる酒米は杉さんのところだけとは限らず、先代から積極的に奈良県産米を使ってこられました。でも、13代目にとって、田んぼの現実を知るのは杉さんがきっかけだっだそうです。
そんな中から、山本社長の中でアイデアがうごめきはじめました。この棚田のお米から、特別栽培米で醸す風の森が生まれます!という事実を表現・象徴するマイクロな酒蔵を作ろうと。
S風の森シリーズ
それが葛城山麓醸造所です。実はあなんは、杉さん関係の催しがあったりすると、いつもここでお世話になっているので何度も訪れておりますが(例1・例2)、こうして取材となるとまた別のところにきたような気持ちがしていました(^^)。ここを預かっていらっしゃるのが中川さん。初めて秋津穂の田植えイベントに参加したときは、中川さんはSではないほうの(もともとの)風の森の杜氏さんでした。「え? このかわいいお嬢さんが?」と思ってしまうあなんは、何度も何度も脳に刷り込んだものです。あのおいしい風の森が、こんな若い人たちよって作られている。なんだか希望を感じました。その中川さんは今、ここの所長さんです。
そしてここで醸造される風の森は「S風の森」といいまして、棚田チャリテイーの特性をもつお酒となっています。そのあたりのしくみや経緯も、今回のインタビューで伺ってきました。もちろん、HPにも書かれてありますし、以前から説明は聞いていたのですが、今回でやっと腑に落ちたところがありました。詳しくは、おそらく、原稿の中にも出てくると思います(もし出てこなかったら編集部のほうで補足します)ので、さとび秋号をぜひお読みくださいね。
ともかく、山本社長は「S風の森を呑んでもらえる限り、この伏見の棚田は守られます」とおっしゃるのでした。そして、それ加えて、あなんがちょっと、こめかみに何かが貫通するような、あるいは抱きしめたくなるような感覚になった言葉を拾うことができました。
「風の森でなくてもいいんです。獺祭でも、なんでもいいんです。でも、その酒の酒米は、田んぼで作られているんですよということ。日本酒を飲めば、田んぼが守れます」
それが「里山を100年先につなぐ」という意味なのですよね、ということは、さとびも同志です。単に、この伏見地区の棚田だけが守られたらいいというのではなく、里山、お米、日本酒、失いたくない伝統、それら全体が守られ受け継がれることがイメージされたプロジェクトであったと確認できて、ほんとに、これはさとびで紹介するにふさわしい取材になったと、あなんはしみじみ思いました。
今年は、昨年までの米騒動から一転してお米の価格が下がり、また離農する人が増えるのではと言われています。これからも田んぼは、どんどん消えていくかもしれません。お米の国の人である日本人なのに、輸入米しか食べられない未来になったら、どう思います?それは嫌だー!と思いませんか。
そうであるなら、なおさら守ることにつながる行動をとりましょう。お米の自給率を守るためには、田んぼを守ること。そのためにも、お米をいただき、日本酒を飲み、田んぼとの関わりを作りましょう。葛城山麓醸造所も、その拠点として輝いてほしいと思います。
なお、油長酒造については、秋号にとどまらず来年もひきつづき、河口先生の連載でお伝えしますので、次はどんな話題が中心になるか、どうぞお楽しみに。
あなんもいっしょに撮っていただいた記念撮影ー。(中川さんありがとうございました)
余談
このごろは、文章をAIに書いてもらうことが流行し、定着しつつあるそうですね。これにともないまして、人間が書いた文章は高級化していくそうです。SATOBICOは人間が書いてます。news&info ,blogは100%あなんが書いています。手触り感のある読みもの、奈良の自然と人を感じる読みものをお求めの際はSATOBICO、さとびごころ、さとびこブックスをどうぞ(^^)