やっと表題に関係のある話にこぎつけました。過去3回の記事はこちらです。
今回は、「3、植物による発電」の話をご紹介いたします(投稿としては4回目ですが)。
植物発電が開発されたきっかけも、「耕作放棄された田んぼをどうにかならないかなあ」という相談を受けたことからだそうです。単純に田んぼを田んぼとして維持できるのが一番なのでしょうけれど、それがどうにもならないから課題になります。今では稲のかわりにソーラーパネルも見かけることが増えましたね。電気といえばソーラーパネルと決めつけず、微生物や植物によって電気が得られるようになったとしたら?
その時自然に負荷をかけず、水を浄化して、資源を輸入せず、地域で生み出すことができて、日照などの気象条件にも左右されず、森の中でも真夜中でも問わず、高額な施設投資もいらず、、、、という希望の光があるのが植物発電です。
電気とは何かというと、電子の流れでした(投稿1)。
電池で発電する仕組みとは、金属のイオン化傾向の差と電解質に溶ける性質を生かして電子の流れを作ることでした(投稿2)。微生物発電とは、有機物を分解すると電子を出す微生物を増殖させて電子の流れを作ることでした(投稿3)。植物発電は、投稿2の要素も、投稿3の要素も含んでいます。まだ、いきなりこれで生活できるような発電ができるわけではないようですが、未来へ1歩前進していると思います。開発したのはnisoul という会社(本来は基盤設計の会社)で、わたしが知らなかっただけですでにマスコミでも紹介されているそうなので、ご存知の方もあるかもしれませんね。
なんで植物で発電できるの?と好奇心を持ってしまうわたしのような人のために、わたしにわかる範囲で説明してみたいと思います。詳しくはnisoul さんのサイトで納得いくまで調べてみてください(そしてわたしの理解に間違いがあったら、優しく教えてください笑)。
植物発電では、土に電極を挿します。レモン果汁の代わりに土です。
電極になるのは、マグネシウムと備長炭。投稿1を思い出してください!土じゃなくても、レモンでええやん、と思いますか。そんなにたくさんのレモンを実用的な発電には使えませんよね。バチが当たりますよね。
マグネシウムでなくてもいいのです。リチウムだったら、もっともっと性能がいいそうです。でも、リチウムは高価ですし、世界で争奪戦になりますよね。マグネシウムはとても手に入りやすく安価なんですって。電池作りの実験で登場したアルミニウムでもできるんですが、マグネシウムの方が(リチウムには及ばずとも)性能が良いために、使われています。備長炭は、イオン化しにくいので、マグネシウムとのイオン化傾向の差はバッチリ。(ここで酸化還元電位という言葉を紹介すべきですが、ややこしくなるので省きます)
これだけなら、電池作りの実験と似ていますよね。でも、これだけだとマグネシウムがどんどん溶けてなくなってしまいます。乾電池だったら「終わった」「切れた」ということに。そこでnisoul さんはマグネシウムが長持ちするような特許を取られました(酸化チタン入り樹脂コーティング・酸化還元能力あり)。これが同時に、微生物による分解(下記)を促進する働きもあるそうで。
(nisoul HPよりお借りしました)
植物が光合成すると、なんとも不思議なことに影も形もないところから糖分を作りますよね(ほんま、植物ってえらいわ)。その余りが根っこから土に入ってきます。この糖分(有機物)を、ジャジャン!!発電菌たちが分解して電子を出します。ほら、有名どころのシュワネラ菌がいますよね、微生物発電と同様のことが起こるわけですね。土の栄養素として有名なリンやカリウムもイオン化(陽イオン化)して、放り出された電子がマグネシウムに集まってくるそう。
ここで、畑活民のわたしとしてはですよ、「あ!」と思うところがあるわけです。陽イオン化したリンやカリウムが根っこから吸収されて栄養になるんですよね!!!植物の栄養の吸収には電気が関係しているらしい、、、ということは小耳に挟んでいました。これって発電するほど、植物にもいいってこと??
しかもマグネシウムが土に溶けても栄養になりますね。現代人はマグネシウム欠乏症とも言われていますので、もしかして、体にいい作物が作れるのかな?
ということは、つまり、畑に電極を挿したらいいのかな????
この原理は、エレクトロカルチャーと呼ばれている農法と、関係があるのかな????
などと、畑活がらみの興味も刺激されました。だからこそ、私学文系脳を引きずりながらもこのような投稿を4回も続けられたような気がします。笑
微生物の分解を促進するため、今までの微生物による発電よりも桁ちがいの電気が得られるそうです。
電子がマグネシウム電極から備長炭電極に向かって流れることで発電、LEDが灯る。この技術に注目した企業が、nisoul社とコラボしてLEDイルミネーション付きの鉢植え設置サービスをされています。
(グリーンディスプレイ社 ボタニカルライトよりお借りしました)
ボタニカルライトは、「プロトタイプとして開発中のプロダクトのため、商品単体での販売は行っておらず、弊社が設置・メンテナンス・経過観察も含めて承っております」とのことです。
土だけでなく、水でもできます。水槽にメダカを飼って、そこに電極をセットしても(めだかのフンが有機物なので)発電するんっですって。当然ながら水も浄化。これも微生物を生かした発電ならでは。(微生物を使った電池が廃水浄化システムへの応用が研究されているのは、投稿3で触れた通りです)。
理解不能な複雑なことを省いていますので、説明不十分なところや、もしかして誤解もあるかもしれませんが、大まかに捉えるとこのように、微生物燃料電池とマグネシウム電池のいいところ取りをした発電と言えるのです。
「太陽光パネル1枚を作るのに、どれだけの工程がかかるか、資源が必要か、半導体を作るのにどれだけの設備投資が必要かを考えると、この技術は画期的」というふうに、開発に関わった技術顧問の先生がおっしゃっていました。
技術顧問の博士のお話はこちら。(また後で見たくなるーわたしがーと予想されるのでリンクしておきます)
しつこくてすみませんでしたが4回も続けて書いてきました。これで終わります。ここまでお読みくださって、本当にありがとうございました。今回はnisoul社の例をご紹介しましたれど、これからも世の中の賢い人々によってまた進化した技術が開発されるかもしれません。感謝ですね。わたしにはつくれませんもの。
わたしはわたしにできることを、日々積み重ねたいと思います。それは自然にやさしいか。それは人に優しいか。その視点を持ち続けて。
この国で、いつか地球で、自然にも人にもやさしいエネルギーが行き渡る世の中が訪れることを祈っています。