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なんでもかんでも擬似化してしまうと、毎日が楽しくなる。縄文人もきっと、そんなマインド。

実はわたくし、10年ほど前にある実験をしたのです。「ありがとう」を5000回、紙に書く。

バカにしないでやってみよう。何が起こるのかなと。使い残していたレポート用紙に書き始めると、だるくて、めんどくさくなりかけるのですが、せっかくなのでなるべくていねいに書きました。一度に書こうとすると挫折するので、毎日一定のノルマを設定して書きました。サボる日もありました。そのうち、レポート用紙が終わったので、ノートに拡張。何に感謝するのかさっぱりわかりませんので、どうしても「作業」化するのですけど、それでもいいからとにかく5000回いくぞ、と書き連ねました。

結果。

不思議な達成感。たった紙に書くだけで。そして内面の変化。「すでにあるものの豊かさを感じたい」と思っていたわたしは、次から次へとあらゆるものの有り難みを感じるようになっていました。豊かさとは、気づきなのだとは勘付いていたものの、やっぱり本当にそうなんだ。自分の心が荒れている時ほど、それに気づかなくなるだけ。

そこでわたしは、いろんなものに「さん」づけするようにしてみました。「ちゃん」づずけでも、「くん」づけでもいいんですけど、要するに擬人化、人称化するのです。マックちゃん、机くん、花さん、グリーンちゃん、お鍋さん、スプーンさん、お腹さん、背中さん、胃さん、足さん、虫さん、菌ちゃん、なんでもかんでも。

すると、本当にともだちのように思えてきて、「いつもお世話になってるよねえ。ありがとねえ」「おはよう。今日は元気?」などと、敬語を使ったり使わなかったりしながら、妙に独り言が増えていき。(側からみたら、変ですよね)

ああわかった。人形供養、針供養ってあるなと(箸供養、はさみ供養、鏡供養、財布供養、眼鏡供養、写真供養、 印章供養なんていうのもあるそうです)。道具は「捨てる」のではなくて「供養」するのです。そして、これは縄文時代の貝塚の文化のなごりではないかと思いました。すべてのものに魂がある。だから感謝して、祀るのです。

貝塚は、縄文集落の真ん中あたりにあり、ゴミ捨て場と思っている人もあるかもしれませんけど、これは祀ったものなのだそうです。食べものの残渣などの有機物は分解されて残りませんが、貝殻は残りやすくて貝塚になったそうです(どんだけ魚介類を食べてたかって思いますよね)。

日本列島は酸性土壌であり、骨などの有機物が残り難い。しかし、貝塚は大量の貝殻に由来する炭酸カルシウムが豊富なために土壌をアルカリ性に保ち、鳥獣や魚などの骨格(動物遺体)がよく保存されているので、当時の生産や海辺の生活を知る動物考古学の観点から貴重な遺跡となっている。(wiki)

役割を終えたものに感謝して、祀る。与えてもらったことに感謝して祀る。この感覚はわたしの中にも、はっきりとあります。特に車を買い換えるときなど、今までお世話になった車がこれから廃車になると思うと、申し訳ないような、ありがたいような切ない気持ちになる。ありがとう5000回の前から、そうだった。ただ、忘れてしまう。流れてしまう。

何を忘れてしまうのか。それは、感謝。

すべてを擬人化しなくても、感謝とともにあることができる人は立派だと思います。でも、わたしの場合は、擬人化することで自分の心が楽しくなるので、そうしています。ものには魂がある。そう考えたほうが幸福度はアップします。理由もなく対象もなく感謝しようとするだけでも、「何がありがたいことなのか」が見えてくるし、逆に何を見ても「ああ、これがありがたい」と感じることが増えていく。

縄文人から教えてもらったことは、たくさんあります。でも、まるっというなら魂と感謝ということになるのかなと思う。誰もが、日々の中で、これを取り戻すことが、これからの人生を豊かにしてくれるとわたしは、ほぼ確信しています。

ありがとう5000回、書いてみます?

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奈良県では、あまり縄文がフォーカスされることが少ないのですけど、そこをなんとか!との思いをこめて作った特集がこちらです。

さとびごころvol.36(2019 winter)特集「縄文の奈良」(残りわずか!)

いつか縄文をテーマにSATOBICO BOOKSにしてみたい。。。。思い入れがありすぎて、ちっともまとまりません。できるのか?わたし?

去年、縄文さとび旅をしてきた記事

ありがとう

さとびvol.36

紙に書く

縄文人

貝塚

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