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GOMIGEN ─ごみ減量─ 最前線 #13 激変する古紙輸出事情

この記事はさとびごころVOL.48 2022 winterよりの転載となります。内容は掲載当時のものです。

 

リデュース(そもそも減らす)、リユース(もう一度使う)、リサイクル(資源化する)、etc…

ごみを減らす面白い取り組みを、全国からみつけてお届けします。ゴミ減、GO!

古紙ジャーナル社の本願貴浩社長

中国が古紙輸入完全停止

 今年度、地球環境基金の助成を得て「ごみ減量連続セミナー」を開催しています。テーマは「ごみ減量最前線」。全5回の中でも、今回は第3回「日本の古紙・廃プラリサイクル市場の変化」についてご紹介します。講師にお招きしたのは、古紙ジャーナル社の本願貴浩社長です。古紙ジャーナルは創刊30年を誇る我が国唯一の古紙業界専門紙で、本社は何と奈良市にあります。

 本願さんのお話全体を貫いていたのは、古紙業界が大変な転換期にあるということ。というのも、2020年末をもって中国が古紙の輸入を完全停止したからです。日本はこれまで10年以上、年間約400万トンの古紙を輸出してきました。そしてその7割以上は中国が輸出先でした。それがゼロとなったのです。2021年1~9月の輸出先は、ベトナムが約3分の1、続いて台湾、韓国、インドネシアとなっています。輸出量はほぼ半減しました。

 そもそもなぜ日本が古紙を輸出するかというと、回収した古紙を国内で使いきれないからです。古紙回収量は年間2000万トン以上と高いレベルを維持しているのに、紙の消費量は人口減やIT化により減少の一途。こうした需給ギャップを埋めるため、余った古紙を輸出しているのです。

古紙の中身も大きく変化

 中国はこれまで、経済発展に伴う紙の需要増により、それほど品質の良くないものも含めて世界中から古紙を輸入してきました。しかしそれが大量の残渣を発生させ、不十分な処理体制のため深刻な環境汚染を引き起こすことになりました。有害廃棄物の国境を超える移動を禁じるバーゼル条約に違反する可能性も指摘されました。国際的な批判の高まりを受けて、2017年から段階的に再生資源の輸入規制を進めることになったというわけです。これまでにも、廃プラ、繊維くず、金属類などが次々に輸入停止となりました。

 ただ、古紙のままではなく半製品(パルプ)や製品にすれば、中国にも輸出できます。今後は輸出相手国の開拓と半製品化しての輸出が、古紙リサイクルのポイントになりそうです。

 なお、発生する古紙の中身も大きく変化しつつあります。2020年、初めて板紙(段ボールなど)の生産量が紙(印刷用紙など)の生産量を上回りました。新聞や雑誌が売れなくなっている一方で、ネット通販の拡大等により段ボールの需要は高まり続けているからです。当然ながら回収される古紙の内訳も、段ボールが増え新聞や雑誌が減るということになります。

 激動の古紙業界ですが、本願さんは「ボランティア精神できれいに分別して排出する日本の文化が業界を支えている」と指摘。私たち市民は、これまでと変わらず分別を心がけましょう。

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ローズアップされた新しいごみ問題に、原田先生が答えます。

さとびごころVOL.48 2022 winter掲載

文・北井 弘(ごみ減量ネットワーク主宰)

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さとびごころ連載

北井 弘

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