さとびごころ
vol.43 2020 autumn
自然の色 手作りの服
江戸時代の奈良では、前期に麻織物の奈良晒が名を馳せ、田畑輪換農法により奈良盆地を中心に綿の栽培が盛んに行われ、後期には大和絣が特産物でした。
現代では、ファストファッション化が進み完成品が輸入されているため素材・製造・流通のプロセスが見えにくくなり、また安価に手に入るためか服を使い捨てるのが当たりまえになっています。
そこで今いちど、自然の素材に立ち戻り、手作りの服に注目してみたいというのが今回の特集です。
素材と、作り手と、使い手の距離が短ければ、服が生まれる物語が見えやすくなり、流通にかかるグリーンコストも下がります。天然繊維であればマイクロプラスチックにもならず、静電気に悩まされることもありません。繊維だけでなく、色もまた、自然から得ることができます。
草木染めは、植物の葉、茎、根、実などを煮だした液に繊維を浸し、染まった色素を触媒(金属イオン)と結合させて発色させたもの。古代には、泥水に含まれる鉄分などがその役割を果たしていました。色とは自然からの恵みであり、どれだけの手間暇をかけて抽出されるものであったかという事を思い出させてくれます。薬効があり染料としても優れている草木から得た色は、環境や体にもやさしく、着心地も安らかです。
自然素材の布から服を縫製し、山で育てた植物で草木染めによる染色を施し、店舗を持たずに販売まで手がけているシガセイサクショの取り組みを通して、自然の素材と色、手作りの服の質感を、誌上で楽しんでみてください。
Contents
目次
04 特集 自然の色 手作りの服
綿・麻などの布→デザイン→縫製→草木染め→直販
ミニマムなアパレル工房・シガセイサクショの場合
07 シガセイサクショの服ができるまで 取材・文 阿南セイコ(編集部)
10 自分でやってみよう シンプルな草木染め
企画記事 寄稿 田んぼのもうひとつの価値再発見
09 田んぼを治水に生かす「田んぼダム」 ペンネーム・農家のこせがれ(農業関係の技術者)
連載
02 《PHOTO ESSAY これからの、これから》 No.05 みんな、しむの? by 都甲ユウタ(フォトグラファー)
12 《森とともに生きる》 十四代目林業家 ドタバタイノベーション奮闘記 第17回 谷 茂則
14 《風は奈良から〜さとびごころ×七つの風》 #03 家業は奈良墨づくり GUEST 長野睦さん(錦光園 七代目) HOST 三浦雅之・阿南セイコ
19 《GOMIGEN 最前線》 # 08 大阪プラごみゼロに向けネットワーク会議を設置 北井 弘
20 《大地を再生しよう》 その4. 土砂災害対策について-1 西尾和隆
21 《森のねんど研究所から》 ④ 小さな森のともし火 静かな研究室 岡本みちやす×編集部
22 山と今日から始まる物語 #07 谷 茂則
23 《季節によりそう食養生》 -秋- 第2回 三瓶歌奈子
SATOBI COLUMN
24 杉さんの里山再生考察録(第4回) 杉浦英二
25 愛菌家みなみの日々是好菌(第7回) 草野みなみ
26 身の丈しごと研究室 # 04 戸上昭司 | さとび的読書さんぽ 嶋田貴子
27 編集後記・さとびごころが読める場所